2017/02/10 更新
今回のエントリーでは、NTT東西のフレッツ光回線における「v6プラス」オプションについて、
- 「v6プラス」オプションのメリット
- 「v6プラス」オプションデメリット
- 「v6プラス」オプション対応のインターネットサービスプロバイダ(ISP)
- 「v6プラス」オプション対応の市販ルーター
をそれぞれまとめてみました。
- 「v6プラス」オプションとは?
- 「v6プラス」オプションのメリットは?
- 「v6プラス」オプションのデメリットは?
- 「v6プラス」オプション対応のインターネットサービスプロバイダ(ISP)
- 「v6プラス」オプション対応の市販ルーター
- 番外編①:「v6プラス」オプション相当の接続方式を提供するプロバイダ
- 番外編②:YAMAHA社製ルーターも「v6プラス」オプションに対応しています(ネットワークエンジニア向け)
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「v6プラス」オプションとは?
このページに検索からたどり着いた方にはきっと不要な説明かと思いますが、「v6プラス」オプションとはなにかの説明を先に書いておきます。
「v6プラス」オプションとは、NTT東西のフレッツ光回線において提供されるIPv6 IPoEのネイティブ接続方式に加えて、IPv4 SAMの通信方式を利用可能にする追加オプションです。
IPv4 SAMがざっくり何かというと、旧世代通信技術であるIPv4形式の通信パケットを新世代通信技術であるIPv6形式の通信パケットに変換する技術のことを指します(これをカプセル化といいます)。
- IPv6ネットワーク上にIPv4パケットを流すための技術
- SAM(Stateless Address Mapping)と呼ばれる技術
「v6プラス」オプションこと、このIPv4 SAMの仕組みを支える通信事業者には
- JPNE(日本ネットワークイネイブラー)
- IMF(インターネットマルチフィード)
- BBIX
の3社がありますが、各社それぞれIPv4 SAMに対する呼び名が違うので注意が必要です。IPv4通信パケットをIPv6形式にカプセル化することを「v6プラス」と呼んでいるのは、上記3社のうちJPNE(日本ネットワークイネイブラー)の1社だけです。
以下に各社が説明するIPv4 SAMについてのリンクを掲載します。
JPNE(日本ネットワークイネイブラー)
IPv4 SAMの呼称→v6プラス
IMF(インターネットマルチフィード)
IPv4 SAMの呼称→transix
サービスのご案内 - transixサービス|インターネットマルチフィード株式会社
BBIX
IPv4 SAMの呼称→IPv6 IPoE + IPv4 ハイブリッド・サービス
「v6プラス」オプションのメリットは?
この「v6プラス」オプションを使うといったいどんなメリットがあるのでしょうか?
それは、インターネットの通信速度が大幅に向上するというメリットが享受できるという点に尽きます。
なぜインターネットの通信速度が向上するのか?
なぜインターネットの通信速度が向上するのか、その仕組みを以下に解説します。
「v6プラス」オプションを使うと、旧世代通信技術であるIPv4のパケットはIPv6形式のパケットにカプセル化され、IPv6の通信経路上を流れるようになります。
フレッツ光回線においてIPv4の通信経路は概ね最大200Mbpsという速度上限が設けられていますが、「v6プラス」オプションにより通信経路がIPv6 IPoEのものに変化するとその速度上限から逃れることができ、IPv6 IPoEの速度上限である1Gbpsまで引き上げられるという事象が起きます。イメージとしては以下の図のような感じです。
これまでIPv6 IPoE接続の速度上限である最大1Gbpsの恩恵を受けられるサイトは、FacebookやYoutubeといったごく一部の限られたIPv6対応サイトのみでした。
しかしこの「v6プラス」オプションは、IPv4通信にしか対応していないWebサイト(例えばこのはてなブログとか)に対してもIPv6 IPoE接続の速度上限最大1Gbpsの恩恵を受けられるようにしてくれます。
「v6プラス」オプションのデメリットは?
インターネット通信を高速化してくれるメリットがある「v6プラス」オプションですが、一応以下のデメリットもあります。
用語が難しくて何言っているのか分からないかもしれませんが、基本的にはエンジニアまたはオンラインゲーマー以外に「v6プラス」オプションのデメリットに該当する人はいません。
「v6プラス」オプションのデメリット①:固定IPサービスが利用不可(主なデメリット対象者:自宅サーバーを外部公開したい方やIP電話を利用したい方)
「v6プラス」オプションでは、固定のIPアドレスを持つことが出来ません。
もし自宅サーバーをインターネット上に外部公開したい方*1やIP電話(050番号)を自宅で利用したい方は「v6プラス」オプションの適用はデメリットとなりえます。
「v6プラス」オプションのデメリット②:特定のプロトコル&通信ポートを使用した通信が不可(主なデメリット対象者:PS4でオンラインゲームをしたい方)
「v6プラス」オプションでは、特定のプロトコルや通信ポートを使用した通信ができないことがあります。
PS4のマルチオンラインゲームでは特殊な通信ポートを使用したオンライン通信をしていることがあるため、FPSのような協力プレイ等のオンラインゲームを好まれる方はこのデメリットに抵触する可能性があります。
「v6プラス」オプション対応のインターネットサービスプロバイダ(ISP)
上述の仕組みにより「v6プラス」オプションはインターネット通信の速度を向上させてくれる、超優れたオプションであることはご理解いただけるかと思います。
ただこの「v6プラス」オプション、対応しているインターネットサービスプロバイダ(ISP)はあまり多くはありません。2017年2月現在において「v6プラス」オプションに対応しているISPは以下のとおりです(地方プロバイダを除く)。
GMOとくとくBB
| マンションタイプ月額料金 | 4,000円 |
| 戸建てタイプ月額料金 | 5,200円 |
| v6プラスオプション利用料金 | 有料(991円/月) ※要レンタルルーター契約 |
| おすすめ度 | ★★★☆☆(中) |
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「v6プラス」オプションを利用するためにはGMO社が用意する有償のレンタルルーター(月額991円)の契約しなければならないため、下記のおすすめプロバイダと比較すると毎月の回線利用料がどうしても高く付きます。
「市販ルーターを買わずにリース的に使ってみたい」という方にとってはこれが逆にメリットということもできますが、GMO社には今後の無料化に期待したいところです
@Nifty
| マンションタイプ月額料金 | 転用3,980円(回線新規3,400円) ※25ヶ月目以降は月額料金が増加(回線新規+580円) |
| 戸建てタイプ月額料金 | 転用5,200円(回線新規4,500円) ※25ヶ月目以降は月額料金が増加(回線新規+700円) |
| v6プラスオプション利用料金 | 無料 |
| おすすめ度 | ★★★★☆(高) |
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「v6プラス」が無料で利用できるプロバイダの一つです。
既存のフレッツ回線を転用した場合の月額料金は、下記の最もおすすめするプロバイダ2社(BIGLOBE,DMM)と比較すると若干高めです。
逆に、フレッツ回線を新規に敷設する場合はこのプロバイダの月額料金が最も安くなります。なので新規の回線契約なら@Niftyは検討の余地があるかと思います。
BIGLOBE
| マンションタイプ月額料金 | 転用3,700円(回線新規3,600円) ※25ヶ月目以降は月額料金が増加(転用+380円、回線新規+480円) |
| 戸建てタイプ月額料金 | 転用4,800円(回線新規:4,700円) ※25ヶ月目以降は月額料金が増加(転用+380円、回線新規+480円) |
| v6プラスオプション利用料金 | 無料 |
| おすすめ度 | ★★★★★(最高) |
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下記DMM光と並んで最もおすすめしたいプロバイダの一つです。
回線開通後24ヶ月間においては転用の月額料金が最も安いプロバイダという点と、キャッシュバックキャンペーンがかなり加熱しており工事費相当額が丸々還元されるという点がおすすめする理由です。
また、マイラー御用達のGポイントも微量ながら貯めることができるので、より還元率を高めやすいのも評価できます。
DMM.COM
| マンションタイプ月額料金 | 3,780円 |
| 戸建てタイプ月額料金 | 4,820円 |
| v6プラスオプション利用料金 | 無料 |
| おすすめ度 | ★★★★★(最高) |
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最近現れた光コラボの超新星であり、「v6プラス」が無料で利用できるプロバイダの中ではかなりおすすめです。
@niftyとBIGLOBEは24ヶ月間の割引期間終了後は月額料金が数百円分増加するのに対し、DMM光は25ヶ月目以降の利用分についても据え置きのまま。3年以上の長期回線利用が決まっているならDMMを選んでおけば間違いないと思います。
「v6プラス」オプション対応の市販ルーター
「v6プラス」オプションに対応している市販ルーターもあまり多くありません。2017年2月現在において「v6プラス」オプションに対応している市販ルーターは以下のとおりです。
WXR-2533HP2(先行機:WXR-2533DHP)
サイズ:316x161x57 mm
重量:900g
おすすめ度:★★★☆☆(中)
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v6プラスを使うためだけにこの機種を購入するにははっきりいってオーバースペックです。
下記のWXR-1900DHP2と比較して一番分かりやすいスペック差異としては「無線の伝送速度が最大1733Mbps」という点があげられますが、この電送速度のメリットをフルに受け切れるような無線子機(ネットワークアダプター)が実は市場に出回っていません(2017年現在では1300+600Mbpsの子機が最大?)。
細かいスペック差異は他にも有りますが、単に「v6プラス」オプションを利用するためだけなら下記のWXR-1900DHP2で事が足りるのでそちらの購入を推奨します。
WXR-1900DHP2(先行機:WXR-1900DHP)
サイズ:41x185x185 mm
重量:560 g
おすすめ度:★★★★★(高)
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「v6プラス」オプションに対応した市販ルーターでは最も安価な製品であり(下位モデルのWXR-1750DHPは既に生産終了)、「v6プラス」オプションを利用するならこの機種一択になると思います。
機器の特徴としては電子レンジ等の電化製品のノイズに強い「干渉波自動回避機能」や通信端末の位置を検出して指向性を持った電波届けるビームフォーミング機能等を備えており、Wifiの室内利用に最適化されたものとなっています。
WXR-1750DHP(生産終了)
41x185x185mm
545g
おすすめ度:★★☆☆☆(低)
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かつて生産されていた「v6プラス」オプション対応の市販ルーターです。Amazonからは新品の取り扱いが既に無いため、これから買いたい場合は楽天市場での購入を検討する必要があります。とはいえWXR-1900DHP2の方が性能がよくまた価格差もほとんど無いため今からこの機種を買い求める必要性はほぼありません。
番外編①:「v6プラス」オプション相当の接続方式を提供するプロバイダ
「v6プラス」オプションとは呼ばないものの、「v6プラス」オプション相当の仕組みを提供するプロバイダを以下にまとめました。
Softbank
| マンションタイプ月額料金 | 3,800円 |
| 戸建てタイプ月額料金 | 5,200円 |
| 「v6プラス」オプション相当サービス利用料金 | 有料(467円/月) ※要BBユニットレンタル契約 |
IIJmio
| マンションタイプ月額料金 | 3,960円 |
| 戸建てタイプ月額料金 | 4,960円 |
| 「v6プラス」オプション相当サービス利用料金 | 有料(800円/月) ※要IPoEオプション契約 |
番外編②:YAMAHA社製ルーターも「v6プラス」オプションに対応しています(ネットワークエンジニア向け)
ネットワークエンジニア(NE)が使うような高度な知識が必要となりますが、バッファロー社製以外にYAMAHA社製ルーターでも「v6プラス」オプションは利用することが出来ます。
YAMAHA社製ルーター「v6」プラス対応機種一覧
- RTX5000
- RTX3500
- RTX1210
- RTX1200(Open in new windowRev.10.01.24以降)
- RTX810
- NVR500
設定方法
フレッツ光ネクスト インターネット(IPv6 IPoE)接続 « 設定例
RA(ルータ広告)装置はRTX1200とする
ローカル(LAN1)のDHCPv6 サーバーはRTX1200とする
Oフラグを有効にしたRAを広告する
ダウンロードのみ遅いフレッツ速度 問題をIPv6(IPoE)+DS-Liteで解決してみた - 元「なんでもエンジニ屋」のダメ日記
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*1:「v6プラス」オプションを利用しつつ自宅サーバーを外部公開するやりようはいくらでもありますが、今時自宅サーバー立てるぐらいならAWS上にサーバー借りたほうがやれることが多いし&安い。