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恋姫†無双に落ちた時
「生きているか?大丈夫か?」
うん…背中を、棒で突付かれてる?
さっきの声は母さんの声じゃない。
!
また空き巣か!
俺は両手を付いて飛び起きつつ、枕元に置いてある木の棒を取ろうとし、
は?草?
「おお、思いの外元気そうだな」
女性の声がしたので顔を向けると、若い女の子が4人立っていた。
うっ、寝てたのに急に起きたので、立ちくらみがする。
「うん?そうでもないのか?大丈夫か?」
「あ、いや、飛び起きたので立ちくらみがするだけです」
昨日は何時もどおり寝たのに起きたら広い平野に寝ていて目の前には…すっごい美人が4人?
何が、どうなった。
呼吸が荒くなるのが分かる。
落ち着け、何時だって混乱したら凄い失敗をしてきた。
呼吸を大きく、ゆっくりするんだ。
「辛そうだな。やはり行き倒れか?干し肉でも食べるか?」
「でも、行き倒れにしてはとても綺麗な格好をしていますよ星ちゃん。いい天気ですし、外で寝ていただけでは?私も眠くなってきました。 すぅ」
「寝ちゃ駄目風。運ぶの大変」
夢と思いたいが、違う。覚えてる夢の感覚じゃない。
俺は、どうするべきだ?
「おお、そうですね。もうすぐ宿ですしそこで寝ましょう」
ここが何処か全く分からない。
着ているのは、昨日寝巻きで寝た筈なのに外出用の服装か。
寝てる間に着替えさせられて起きないわけは無いのだが。
「そうやって又私達にだけ雑用をやらせるつもりですか?今回は風にも手伝ってもらいますよ?」
周りを見回すと、どこまでも広がる平野だ。
人工物が全く見えない。
あ、でも遠くに人の群れが、休憩を…
って馬車?
今平野で馬車を走らせてる国なんて何処にある?
アフリカとかか?
何をしていいのか全くわからない。
これは、まずい。
なんとかこの人達に付いていくことが出来ないだろうか。
「いやですねー、稟ちゃん、風が何時もサボってばっかりみたいに言わないでくださいよ。ちゃんと食料の準備位しますよ」
女性4人組、しかも美人と行動するのは嫌な感じしかしないが何とか付いて行って落ち着いて考える時間を手に入れたい。
ああ、いや、あの人の群れに混ぜて貰えばいいのか。
人生でここまで混乱したことはない。
自分がどんな失敗をするか分からない。
追い詰められたときは、何時も信じられない失敗をしたからな。
「そうあって欲しい物ですね」
所で、この4人凄まじい格好だな。
自分が美人と知ってるから出来る格好なのかもしれないが。
ギャル浴衣?
頭に太陽の象徴かあれは?
やたら体に張り付いたチャイナ服、ミニスカにビキニでマフラー?
ほわっつふぁっく?
二人が持ってるのはでっかい槍と斧か?
今俺はどんな表情をしてるんだ。
特殊な祭り以外であんなの持つ奴居ないだろ。
あんまりな状況に心臓の鼓動がヘビーメタルだぜ。
いや、服装なんかどうでもいい。
とにかくお願いしないと。
「すみません。皆さんお願いがあるのですが」
「おお、放って置いて済まんな。体は大丈夫か?ほら、干し肉と水だ」
「あ、有難うございます。頂きます」
とりあえず食べる。
か、かってぇ肉!まずいし!
うお、この竹筒の水、へんな匂いがする。
いや、表情に出すな。
とりあえず口を付けないように飲もう。
「すみません。助かりました。あの、私ここがどこかも分からないのですが、皆さんに付いて行かせてもらえないでしょうか?」
「元よりそうするつもりでしたからな。次の村で落ち着いて事情を聞こう。安心する事だ」
「星ちゃん本当にいい人ですねー。私惚れてしまいそうですー」
「風、そこはいい女と言うべきであろう?後、そなたしょっちゅうそういう事を言ってるが、私はそういう趣味はないぞ?」
「私もそんなに無いですよー?それにそういう関係になるならもう少しからかいがいがある方が好みですねー」
「風、こっちを見ないでください。貴方とそういう関係になる気はありません。私はもっと、強引な人が・・・は!?そ、そんな、女性どうしでなんて、あ、いや!?!」
鼻血を出しながら倒れたぞこの美人。
ここまで変な人見た事がない。
見た目が高校の頃居たホモ同人買い集めてる子にそっくりだから親近感を持っていたが、気をつけた方がいいかもしれない。
「・・・また、シャンが背負うの?服に血が付く」
「それは大丈夫ですよー。風がちゃんと拭いてあげますからねー。ほらー、稟ちゃん良い子良い子」
ハゲが進行しそうな状況だが、とりあえず目先は何とかなりそうだ。
全てはこの槍を持った美人のお陰か。
良い人だ…
ありがたい。
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