すかいらーくが逆風下で強さを発揮した。9日に発表した2016年12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期比21%増の182億円だった。上期は節約志向を背景に、主力のファミリーレストラン「ガスト」が苦戦。これをデータ分析によるメニュー変更や業態転換、コスト削減で巻き返して2桁増益につなげた。
「これから深夜営業を減らしても、しっかり対応できる体質になっている」。9日に都内で記者会見した谷真社長は自信をのぞかせた。同社は2月以降、「ガスト」や「ジョナサン」など深夜営業をしている約1000店のうち、約7割の営業時間を短縮する方針を打ち出している。
前期は売上高に当たる売上収益が前の期比1%増の3545億円、営業利益が12%増の312億円。終わってみれば増収増益だったが、当初は業績に懐疑的な見方をする市場関係者が多かった。
予想を良い意味で裏切ったのはデータ分析の効果だ。同社はグループで採用しているTポイントカードや携帯アプリを通じ客層や単価を分析。顧客の節約志向が予想以上に強いとの結論に至り、昨年6月にガストのメニューを大幅に見直した。
「かつて無いほど入れ替えた」と谷社長も語るようにメニューの8割を変更。価格据え置きでハンバーグを増量したほか、500~600円の値ごろ感のあるメニューを充実させた。9月と11月にもメニュー改定した。
この結果、ガストの16年の既存店売上高は前年比1.3%減まで減少幅が縮まり、上期(2.6%減)よりも改善。グループ約3000店の既存店売上高も同0.1%減まで回復した。さらに全店の採算性を分析し、ガストなどで収益性の低い店舗を、高採算のしゃぶしゃぶ店「しゃぶ葉」などに相次ぎ転換した。
営業増益を支えたのが39億円のコスト削減だ。配送では、傘下の業態別から地域ごとに変更して物流効率を向上させた。国内外の原材料調達も見直し、質を保ちつつ割安な食材に変更した。効果が薄い宣伝費用も減らし、従業員の人件費上昇などを吸収した。
外食業界は「ちょい高」「節約志向」など消費者の志向が目まぐるしく変わる。17年12月期の純利益は前期比5%増の192億円を見込むが、今後も変化に機動的に対応できるかが連続増益へのカギとなる。(松井聡)