今回も読者からもらったモヤモヤに軽めにコメントします。
何度言っても反省できない子どもと、妻がキレてしばき倒すのにモヤモヤ
トピシュさんへ
私自身のモヤモヤとして、最近気になっているのは、何度叱られても反省できない子供のことと、妻の子供へのキレ方についてです。
現在、私が40歳、妻が35歳、小1男子と2歳の女の子の4人家族です。上の子はマイペース、運動は中の下ですが、文化的な方面には光るものがありそうです。下の子は運動神経抜群で、上の子が話しかけていることによるものか同年代の子の中でも長文を話します。
子育てをしていて色々問題はありますが、一つ目のモヤモヤとしては、上の子が全く空気を読めないことがあります。
日常のやり取りは問題ないのですが、例えば、同級生の悪ふざけに乗っかって一緒にふざけているところ、子供たちまとめて大人に注意をされたとします。他の同級生は「これ以上やるとひどく怒られる」と察し、とっくにやめているのに、我が子は気づかず悪ふざけを続け、主犯ではないのに一番怒られています。
トピシュさんがブログに書かれているように、してほしくないことは無視しても、期待を伝えて・ルールを伝えて、できたら・守れたら褒める、ということを意識して続けても、結局歯止めがきかず、誰かが止めないと、人に迷惑をかけたり、人を怒らせるレベルにまでエスカレートします。もう二度とこんな思いはしたくないと思うような、傍から見ていても気の毒になるような怒られ方を何度繰り返しても、学習はしません。
あまりにひどい場合、ほんとたまにですが、父親である私がガツンと言い(よほどでない限り手は出しませんが)、母親が叱るより効果はあるように思いますが、それでもほんの一時的です。
二つ目のモヤモヤとして、妻は罰が足りないから再犯するんだと思っているのか、妻のしつけ・体罰もエスカレートしているように見えることです。
最初は言葉で伝えていましたが、体罰がないことを理解しているのか、都合の悪いことは全くスルー、親を舐めたような口答えをするため、そこでまず妻がキレます。当初は息子の耳を引っ張ったり小突くぐらいでしたが、子供をしばき倒して、地面に倒れたところに蹴りを入れる(もちろんケガしない強さで)のは、最近よく見かける光景です。
確かに犬畜生と同じで、言って聞かない、徐々にきつく、でもわからないなら、安全や他人への迷惑に関わることなら体罰もやむなしなのは同意しますが、少しやり過ぎとも思いますし、学習しない息子に対しては同情よりも情けなさが勝ります。
こういった、反省できない息子に対して、親としての接し方(原則は押さえてるつもりですが、仏ではないのでやはりキレることもあります)、これはただ耐えるしかないのかもしれませんが、こんな息子に反省を促し、再発防止させるよい仕組みなどありましたら、教えて頂けるとありがたいです。
Kより
言って分からなければ500回ぐらい言う
私は教師でもないし、児童心理学の専門家でもないので、あくまで一般人としてコメントします。別に答えだとも思っていません。
まず、色んな意見があるとして、
- 犬のしつけに関しては、最近のトレンドでは体罰はあまり行われていないはずです。鼻やお尻を軽く叩く程度ぐらい?
- 体罰は脳を委縮させるという研究があったはず。また、親からの体罰が子どもの自己肯定感を下げるという研究もあったはず。怒鳴る悪影響も研究されていたはず。
という何となくの知識が私にはあるため、子どもを叩くことはしませんし、怒鳴ることもしません。部下も怒鳴りません。長時間一方的に話すことはしません。言い聞かせるにしても、自分のほうが5分以上一方的に話しっぱなしだとヤバいと感じて「ごめん、話しすぎた」と謝ります。
何度言っても分からないのであれば、手順を細分化したり、分かるまで何度も繰り返し説明するようにしています。
「おまえ何回言えば分かるんだ」「500回」:日経ビジネスオンライン
何度も言ったと思っていることは自分の中で何度言ったか実は覚えていないものです。「ハンカチを持っていくように」「公共の場では大きな声で騒がないように」「友達に暴力を振るわないように」というのを何回言ったか、余裕があればカウントしておくといいんですけど、せいぜい100回ぐらいしか言ってないものです。
なお、私は精神科医でも何でもないですが、もし自分の子どもが他の子どもより学習に困難を覚えているような印象を受けたとしたら、発達に何らかの偏りがあるのではないかと専門医にチェックしてもらいます。
私がこの記事で紹介した、
ぐずる・たたく・いたずらする……子どものして欲しくない"行動"を無視して無限ループを回避する - 斗比主閲子の姑日記
読んで学べるADHDのペアレントトレーニング――むずかしい子にやさしい子育
- 作者: シンシアウィッタム,上林靖子,中田洋二郎,藤井和子,井澗知美,北道子
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2002/03/22
- メディア: 単行本
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この本はADHDを持つ、育てる難易度が高い子どもの臨床から得られた知見で書かれたものです。私が記事にしたのはこの本の一部分でしかないので、子どもを育てるのに苦労している人は実際に買って、子育てに関わる人たち全員でじっくり読むといいかもです。
以上が私のスタンスです。これを誰かに押し付けるつもりはありません。繰り返しですが、あくまで私のスタンスです。
2歳の子どもの子育てと関係しているかも
このモヤモヤ特有の状況で気になるのは「2歳の子どもがいる影響があるんじゃないか」ですね。
子どもは下にきょうだいができると、一時的に親の愛情が下のきょうだいに注がれる(ように見える)ために、ちょっと荒れることがあるというのはよく聞く話かと思います。具体的には、上の子が下の子を攻撃することもあれば、親にアピールをするためにわざといたずらや悪ふざけをしたりします。
このモヤモヤでは上の子が下の子によく話しかけているので、子ども同士の攻撃にはいっていないものの、悪ふざけをしがちなのはその通りのようです。今下の子が2歳ということであれば、上の子は5~7歳ぐらいまで親にあまり構ってもらえていないと上の子本人が思っていた時期があった可能性は考えられます。
上の子が荒れるのが終わるのは、上の子どもにも愛情を注がれていることを本人が確認できたり、下の子どもの世話にあまり手がかからなくなるときというのが、経験則としてよく語られます。
すでにやっていることかもしれませんが、「あなたを大切にしているからね。大好きだよ」と毎日寝る前にギュッと抱きしめたりするのは、子どもに愛情を伝える上で割と有効と聞きます。
いつまで続くかというのは、下の子どもが保育園や幼稚園に入るようになると、親も楽になるので、上の子も落ち着く可能性はあると思います。
妻がキレがちならば子育てから一旦退避させることも
このモヤモヤでもう一つ気になるのは「女親であるパートナーさんのキャパシティが限界に来ているのではないか」ということですね。
アンガーマネジメントの本に書いてありますけど、人が怒るのは自分自身が攻撃されているという意識があるからというのがあります。言うことを聞かない子どもは、自分の時間や努力を無駄にする悪意のある存在として見えることはありがちなので、親が、なかなか成長しない子どもに怒りを覚えるのはよくあることじゃないでしょうか。
特に子どもの言語が通じるようになっているのに、自分の言うことを聞いてくれないと「なぜ話ができるのに言われた通りできないのか」とイライラするものです。期待が高いだけに。
「怒り」がスーッと消える本―「対人関係療法」の精神科医が教える
- 作者: 水島広子
- 出版社/メーカー: 大和出版
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怒らないようにするには、攻撃をしてきているわけではなく、その人はそういう人だと受け止めることと物の本には書いてあります。
ただ、実際にこれがなかなかできないこともあると、これは私の経験として認識しています。特に、本人に自己肯定感がないとか、心や時間の余裕がないとか、そういうとき。
パートナーさんがあまりにキレまくるということであれば、
- パートナーさんが子育て以外で社会から認められる機会はあるのか
- 子育てを忘れて友人・家族と話す時間が一定程度確保されているか
- 睡眠時間は十分に取れているか
- 育児と家事の分担にパートナーさんが不満を感じていないか
といったところをチェックするのはアリです。
下の子が2歳児であれば子育ては楽になっている部分もあれば、言うことをまったく聞かなかったり、どこに行くか分からないので注意をしていないといけなかったり、子育てにそれなりに苦労がある時期です。
そんな時期に、親の言うことを聞かない上の子がいれば、「どうしてこんな大変なときに私に苦労をさせるの!?」と怒りを抱きやすい可能性は十分あるように思います。
今パートナーさんがやっている、
当初は息子の耳を引っ張ったり小突くぐらいでしたが、子供をしばき倒して、地面に倒れたところに蹴りを入れる(もちろんケガしない強さで)のは、最近よく見かける光景です。
というのは、児童虐待とも捉えられてもおかしくなく、今後更にエスカレートする可能性もありそうです。
※画像は児童相談所全国共通ダイヤルについて|厚生労働省より
せっかく「キレすぎじゃないか」と気づいているなら、パートナーさんを一時的に子育てから退避させることも検討した方が、子どもだけではなく、パートナーさんにとってもいいかもしれない。
お金の面や人的リソースの面から、実際問題として、日本社会では女親から子育てを剥ぎ取るというのは簡単ではないでしょうけどね。ただ、今やらないでいつやるかというのはあります。
締め
私は専門家ではないので、ここに書いてあるのは聞きかじりのものばかりです。
もし私からアドバイスを受け取りたいと思う人がいれば、私のアドバイスより、私がアドバイスをするのに準拠している原典(この記事でいえば、ペアレントトレーニングとアンガーマネジメントの本、厚労省の児童虐待の定義等)を読まれることをお勧めします。その方が確実な知識・知見です。
なお、紙の本の特典記事は、『1. 大学時代の新興宗教と裁判所ウォッチ』は書き終わりました。書き始めたら思ったより長文になってしまいました。残り2つの特典記事が書けたら、特典応募された方のお手元にお届けします。お楽しみに!