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趣味に生きるホビヲのブログ。

本棚に眠る20冊の名著!ブックオフに売りに行く前にレビューしてみた

思ったこと 感想

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読まなくなった本を並べておくスペースは、我が家の本棚にはない。ブックオフに持っていく候補の20冊について、レビューしておく。

では、いってみよう。

1.人を動かす

人を動かす 新装版

  • 著:カーネギー デール
  • 訳:山口 博

学生の頃、お世話になった人から本書をプレゼントされた。「矢沢永吉が人生で最も感動した本です」と、手紙も添えてあった。なぜに矢沢永吉?彼の曲を聴いたことがなく、どのような人物なのかをよく知らなかったので、困惑したのを覚えている。読んでみると、いちいち納得した。自己啓発書の本家と言われるだけはある名著だった。人を動かす三原則、人に好かれる六原則、人を説得する十二原則、人を変える九原則、幸福な家庭をつくる七原則、と合計三十七原則が紹介されている。原則多すぎ、とつっこみを入れたのはここだけの話。

2.ドラえもん(6)

ドラえもん (6) (てんとう虫コミックス)

  • 著:藤子・F・不二雄

ドラえもんは、1巻と6巻と7巻と26巻を読めばいい説がある。映画「STAND BY ME ドラえもん」で採用された主要エピソードは、この4冊に収録されている。その中でも6巻は必読。未来に帰らなければいけなくなったドラえもん。彼に心配をかけてはならないと、のび太は道具に頼らずひとりで生きていける、現実に立ち向かえると、身をもって証明しようとする。ジャイアンに殴られても殴られても立ち向かい、ボロ布のようになるのび太の姿は、涙なしでは読めない。しかしながら、7巻ではさらっと復活する肩透かし感がなんとも味わい深い。

3.ブッダがせんせい 心を育てるこども仏教塾

ブッダがせんせい 心を育てるこども仏教塾

  • 著:宮下 真
  • イラスト:まつおかたかこ
  • 監修:名取 芳彦

キリスト教系の学校に通っていたが、道徳の授業が苦手だった。「水をワインにしました(酒屋が廃業する!)」「目が見えない人を治しました(医者いらない!)」「死者を生き返らせました(ゾンビじゃないか!)」新訳聖書に掲載されているありがたいエピソードの数々に、心の中でつっこみつづけた。しかし、本当に信じている人も世界にはたくさんいるという。キリスト教文化圏の作品には、「神の存在」という重いテーマをぶち込んでくるケースも多い。毎回わかったようなわからないような不思議な感覚に陥ってしまう。やはり、神の子と言い切るキリストより生身の人間だったブッダのほうが、ぼくには合っているのかもしれない。

4.日記力―『日記』を書く生活のすすめ

日記力―『日記』を書く生活のすすめ (講談社プラスアルファ新書)

  • 著:阿久 悠

阿久悠の日記論に触発され、彼が23年間もの間、欠かすことなくつけていたものと同じ日記帳を探した。ナヴァデザインというイタリアの文具メーカーの「Day by Day」というシリーズだった。お値段は一冊4,400円。高すぎる。阿久悠先生を如何に尊敬していようとも、日記帳一冊にこれだけの大枚は無理。購入を思い立ったのが、1月も終わりだったので、ダメ元で文房具屋さんに相談してみた。「以前から興味があったのですが、もう1月過ぎようとしてるので、半額にしてくれませんか?」と。意外にも交渉成立で、2,200円で購入。言ってみるものだ。しかし、1日1ページのボリュームが多すぎて、1週間ほどで挫折した。そして思った。阿久悠はやはり天才だ、と。

5.日本語の作文技術

【新版】日本語の作文技術 (朝日文庫)

  • 著:本多 勝一

国語を学ぶ時間を、文科省の学習指導要領で確認した。小学校で1461時間、中学校で385時間とのことらしい。高校も合わせれば、2000時間はゆうに超える。それだけの時間を費やしてきたのに、「日本語の作文技術」を学んだ記憶がない。本書では、「修飾する側とされる側」や「句読点のうちかた」など、筆者が記者として学んできた伝わる文章の書き方が、論理的に説明されている。とくに、接続助詞の「が」の扱い方は、目から鱗が落ちる。「が」を乱用している文章を見るたびに、本書のことを思い出してしまう。

6.わたしはとべる

わたしは とべる (講談社の翻訳絵本)

  • イラスト:マリー ブレア
  • 著:ルース クラウス
  • 訳:谷川 俊太郎

ディズニーランドのイッツアスモールワールドに行った。楽しい夢の世界を船で巡ろうと、子供と一緒に。しかし、古めかしい人形をみて、子供は泣き出してしまった。たしかに薄暗く、人形も不気味な薄ら笑いを浮かべているようだ。世界を巡り終わり、明るい屋外に出てやっと笑顔になった子供の顔が印象的だった。「わたしはとべる」は、イッツアスモールワールドのコンセプトをつくった、マリーブレアの作品。たしかに、本書のイラストはあの薄ら笑いを浮かべている人形と同じテイストだ。イラストも、谷川俊太郎の訳も素敵なのだが、どうしてもディズニーランドでの船旅が思い出される。

7.竜馬がゆく

竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)

  • 著:司馬 遼太郎

本書を読んでいた学生の時、忘れられない思い出がある。新幹線で隣に座ったおじさんが、「竜馬がゆく」を読んでいた。自分が手にしている書籍と同じものだ。3時間ほどの移動時間、隣り合わせになったのも何かの縁。おじさんに声をかけようかどうしようかものすごく悩んだ。「あれ? 神戸海軍塾は解散しちゃいました?」「もう、薩長同盟は結ばれましたか?」しかし、いきなりそのような質問をされても困るだろうと思い、ぐっと堪えた。あれから、20年ほど経ったが、声をかけなかったことは、今でも後悔していない。

8.やさしいライオン

やさしいライオン (フレーベルのえほん 2)

  • 作・絵:やなせ たかし

まだ、やなせたかしが存命であった頃の話。新宿のアンパンマンショップで絵本を購入し、お願いをするとサインを書いて郵送してもらえる特典があった。アンパンマンで莫大な富を得た彼は、おごることなく文化活動、慈善事業に勤しみ、子どもたちが喜ぶ社会をつくろうと尽力していた、と思う。作品に貫かれるメッセージ、絵本でも歌でもそこには、力強い意志が感じられた。やさしいライオンでも、ライオンと犬という種族を超えた親子愛が描かれていた。また、そこには人間のエゴや、他者を誤解して悲劇を生む理不尽さも描かれている。ごんぎつね同様、目頭が熱くなる展開に、涙する。

9.次郎物語

次郎物語〈上〉 (新潮文庫)

  • 著:下村 湖人

この本を読もうと思ったきっかけは、あるテレビ番組で発した北野たけしのコメントだった。明治大学に入った当時、彼は己の文学的素養のなさを恥じ、嘆いたという。そこで、文学の基礎から学ぶことを決意したという。手始めに選んだ最初の一冊が「次郎物語」だった。世界的映画監督の文学的素養がここから始まったかと思うと胸熱。番組中「次郎物語」というタイトルがたけしから発せられた瞬間、隣に座っていた田嶋陽子が「わたしもだいすきぃ!」と言っていたのにイラっと来たのを覚えている。

10.ノルウェイの森

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

  • 著:村上 春樹

上下巻あわせて、全世界で1000万部のベストセラー。桁違いである。昔、自宅の本棚に「ノルウェイの森」が並んでいた。幼心に、緑と青の背表紙がやけに印象的だったのを覚えている。中学生になってから、単行本となった「ノルウェイの森」を読んで驚いた。これ、エロすぎる!と。中学生には刺激の強い作品だったのかもしれない。しかし、それ以来、好きな作家に村上春樹をあげる人に会うたびに、その人をこっそり「エロい人認定」している。ここだけの話。

11.ヨセフのだいじなコート

ヨセフのだいじなコート (ほんやくえほん)

  • 作:タバック シムズ
  • 訳:木坂 涼

物を大事にしなさい。そう言われて育てられてきた。しかし、ヨセフには負ける。彼ほどものを大事にしている人に会ったことはない。コートをジャケットに、ジャケットをチョッキに、チョッキをマフラーに、マフラーをネクタイに、ネクタイをハンカチに、ハンカチをボタンにつくりかえる。なんにもなくなってからは、その出来事を本にするという。新しい物を欲しがって、次々に消費していく社会に一石を投じる絵本。この本は、アメリカの絵本の著名な賞、フルデコット賞を受賞。そこまですごい絵本だとは思わないけど。

12.はじめてのせかいちずえほん

はじめてのせかいちずえほん

  • 監修:赤澤 豊
  • イラスト:てづか あけみ

地理という授業があまり好きではなかった。先生との相性か、そもそも世界に興味がなかったのか、覚えることが嫌だったのか、そのどれもなのかは分からない。とにかく、あまり好きではなかった。世界一高い山はどこか、長い川はどれか、海はどれだ、どこにどんな動物が住んでいるか、世界の人々はどのような家に住んでいるのか、何を食べているのか。ワクワクしながら先生の話をきいた記憶はない。この「はじめてのせかいちずえほん」では、インフォグラフィックなどを多用し、そういったことが分かりやすく表現されている。子供用に買ったものの、もう一度地理を楽しんでみようかという気持ちになれる。世界は広い。もっといろいろ学びたい。

13.妖怪ウォッチ2 元祖/本家/真打 オフィシャル完全攻略ガイド

妖怪ウォッチ2元祖/本家/真打 オフィシャル完全攻略ガイド (ワンダーライフスペシャル NINTENDO 3DS)

  • 著:山田 雅巳
  • 監修:レベルファイブ
  • 企画・原案:利田 浩一

「誕生日、何がほしいの?」と子供に問う。妖怪ウォッチの攻略本を所望される。それだけではさすがに可哀想なので、Amazonを回遊し、ニンニンジャーのサーファーマルも一緒にプレゼントすることに。しかし、なぜに、シリーズ中、1、2回しか登場しないマイナーなロボットを選ぶ? ささやかながら誕生日パーティーをお祝いした。そして、その日の以降、子供はこの妖怪ウォッチ攻略本を愛読書とし、半年以上にわたって一日も欠かすことなく熟読していた。キャラクター紹介ページが特にお気に入りで、妖怪をはしから眺める。そこまで熱中できれば、なんでもできそうな気がする。若いって素晴らしい。

14.鬼太郎の地獄めぐり

鬼太郎の地獄めぐり (角川文庫―水木しげるコレクション)

  • 著:水木 しげる

死んだらどうなるのか? だれもが疑問に思うも、死後の世界を見たものはいるわけなく、答えることができない。時代により、地域により、宗教により、様々な想像がなされてきた。葬式仏教と揶揄される日本の場合は、死後、山に登り、川を渡り、裁判を7回受け、6つの世界のどれかに生まれ変わるという。そんな馬鹿なと思うも、数百年に渡り信じられてきたフィクションに、いまさら異議を申し立てるのは野暮な話。もう、エンタテインメントとして楽しむのが正解だろう。本書には水木しげる先生の答えがある。なかでも、鬼太郎の母親のエピソードは胸が痛くなる。必読。

15.リヴァイアサン

リヴァイアサン (新潮文庫)

  • 著:オースター ポール
  • 訳:柴田 元幸

TBSラジオ「荻上チキのセッション22」で、山内マリコがゲストの回を視聴していた。WOWOW大好き、アカデミー賞大好き、そして京都在住という彼女。興味深く発言を聴いていた。自身の著作、「アズミ・ハルコは行方不明」の創作秘話について語っている時のことだった。気づいてしまった。「これ、めっちゃポール・オースターの『リヴァイアサン』じゃん」と。調べてみると、彼女は本作が別格に好きとのこと。すごくわかる。「ムーン・パレス」も好きだけど、「リヴァイアサン」は、物語として完成しているから。

16.深夜特急

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

  • 著:沢木 耕太郎

同僚がタイに行くという。「へー、いいですねー」とコメントしたものの、内心はそれほど羨ましくなかった。タイに対してあまりいい印象を持っていなかったからかもしれない。それはなぜかと考え、そして、独り合点した。『深夜特急』のマレー半島・シンガポール編で、タイはあまり良い描写をされていなかったからだ。もっとも、いまから30年前、1986年に出版された当時の話なので、今ではまったく違う状況だとは思う。しかし、当時、夢中になった作品では、最初に訪れた香港・マカオの素晴らしさばかりが印象に残り、次に訪れたマレー半島編は良いエピソードが少なかったのだ。実際に行ってみれば違うのかもしれない。しかし、しばらくは行けそうにない。

17.赤と黒

赤と黒 (上) (新潮文庫)

  • 著:スタンダール
  • 翻訳:小林 正

ずいぶん昔の話なので、どうして「赤と黒」を読もうと持ったのかは覚えていない。しかし、ドキドキして、繰り返し読んだ。本書は、1827年に書かれたおフランスの話。貧しい製材小屋のせがれジュリヤンは、ブルジョアに対して激しい憎悪の念に燃える。容易には逆転できない固定化された階級社会において、出世しようという野心家の物語。ドキドキしたポイントは、ジュリヤンとレナード夫人の愛のかけひき。ゲームのように心理戦を繰り返すジュリヤンに、恋愛とは如何に恐ろしいものなのかと学ばされた。手を繋ぐ繋がないであんなにドキドキする描写は、なかなかお目にかかれないと思う。

18.小説上杉鷹山

小説 上杉鷹山〈上〉 (人物文庫)

  • 著:童門 冬二

日本人記者団が、時のアメリカ大統領ケネディに質問した。「尊敬する日本人は?」と。そんな質問もどうかと思うが、ケネディは「上杉鷹山」と即答。当時、記者たちは彼の名を誰も知らず、閉口したという。その話を聞いて、この本を手にとってみた。簡単にまとめると、財政難の藩に就任した若き殿様が、下々の立場に立ってがんばったというお話。小説だけあって、かなり盛っていると思われる。ちなみに、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」という歌も鷹山のものとのこと。

19.ぼくのニセモノをつくるには

ぼくのニセモノをつくるには

  • 作:ヨシタケ シンスケ

ロボットに「ぼく」の情報をインプットし、「ぼくのニセモノ」をつくろうとする男の子。インプットする中で、ぼくとは何かを考える。前作「りんごかもしれない」につづく哲学系絵本。平素な切り口で、深い自己探求が行われる。いろんなぼくがいるね、哲学だよね、ニセモノつくるのなかなかむずかしいよね、という話。読み聞かせには話が長く、後半飽きてきた子供。この本は自分で読んでなにかを感じ取ってほしいと思う父であった。

20.日曜日の読書

日曜日の読書 (新潮文庫)

  • 著:阿刀田 高

富士通の社員研修プログラムには「四十五歳研修」があるらしい。仕事だけではなく、教養を高めることで人間力をつけるのが目的とのこと。そこで、文学の講義を担当していた阿刀田高。社員に向けての講義内容をまとめたのが本書となる。大江健三郎から吉本ばななまで、10作品を軸に、小説の楽しみ方を指南している。小説家らしく独特の表現を用いて作品を論評するため、俄然興味が湧き、紹介された作品を読まずにはいられなくなる。楽しみ方だけでなく、創作の技術論についても言及が多く、学びが大きい。四十五歳になったらもう一度、読み直そう。

まとめ

今回の20冊は、どれも思い出が詰まった作品ばかりだった。ブックオフに持っていくのは他の本にしようと思う。