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【衝撃事件の核心】
仕様済み切手かき集めて「本物」偽造 57歳みずほ行員のセコい“内職”
「まさかそんなやり方が」
日本郵便によると、切手を交換する場合、1枚につき5円を手数料として徴収するが、高額の切手を細かくしたり、細かい金額をひとまとめにしたりするなど、依頼されることは多いという。
日本郵便の担当者は「切手は金券と同じなので、窓口でもかなり入念にチェックする」と話す。切手の周りのギザギザ部分がきちんと残っているかや、図柄がきれいな形で残っているかを厳しく確認するという。
担当者は「『破れてしまったので交換してほしい』という申し出はたくさんあるが、図柄がきれいに残っていないと交換に応じることは少ない」と説明する。
しかし、小林容疑者はそうしたチェックを突破して本物と交換することに成功した。
方法は言われてみれば実に簡単だ。消印が押された仕様済み切手を大量にかき集めて、消印のスタンプが付いていない部分を巧みに切り取り、パズルのように組み合わせて“本物”に仕立て上げる。日本郵便の担当者も「そんな方法があるとは思わなかった」と驚く。
仕様済み切手の原価は1枚1円以下?
捜査関係者によると、小林容疑者はインターネットオークションを通じて安く大量に使用済み切手を調達していたとみられる。実際にオークションサイトには、「仕様済み切手359枚 350円」など、1枚1円以下で出品されており、原価は安く抑えることができる。
小林容疑者の逮捕に伴い、丸の内署が行った家宅捜索で大量の使用済み切手や偽造した切手、カッターやはさみも見つかっており、自宅が“密造工場”となっていたようだ。
別の郵便局でも同様の手口で交換された偽造切手が見つかっており、丸の内署が関連を調べている。
とはいえ、仕入れから消印の切り取り、本物のように組み合わせる“労力”を考えると、あまりに実入りが少ない。捜査関係者は「小遣い稼ぎだったんだろうが、なぜやろうと思ったのか」と首をかしげる。
日本郵便の担当者は「窓口でごまかせても、偽造した切手は必ず分かるのでやめてほしい」と呼びかけている。