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子どもと情報メディア
著者 村田育也
「第6章 子どもの健やかな成長のために」 から抜粋を立ち読み
第1章で,ネット社会は大人向きにできた社会なので,子どもたちに情報メディアの使い方指導をどんなにしたとしても,ネット社会を1人で生きていきなさいと言うわけにはいかないことをお伝えしました.使い方指導の内容が,道徳教育を基礎とした情報モラル教育になったとしても,この事情は同じです.どんなにすばらしい情報モラル教育を行ったとしても,低年齢の子どもに一人でインターネットを使わせるわけにはいきません.これを,「情報モラル教育の限界」と私は呼んでいます.言い方を換えると,情報モラルには質的な差があり,年齢によって身に付けられる情報モラルの質が異なるので,その子なりの情報モラルを身に付けるだけでは,インターネットを一人で使えるようにはならないということです.
第3,4章で,子どもがケータイやインターネットを使うことで起きる問題を見てきました.これらの問題が起きないように,子どもたちに身につけてもらわねばならないものが,情報モラルです.しかし,5歳の子どもと10歳の子どもと15歳の子どもでは,理解して身につけられる情報モラルが同じであるはずがありません.情報モラルは,社会性の発達と強く連動しています.社会性は年齢とともに発達しますから,それに合わせて情報モラルは質的に向上します.たとえば,情報メディアの匿名性を正しく理解できる年齢になって初めて,匿名でのコミュニケーションにおける情報モラルを身につけられるでしょう.また,個人性の高い情報メディアを使えるかどうかは,情報モラルを身につけたかどうかだけでは判断できません.法的な責任能力を抜きにしては考えられないことです.つまり,ケータイやインターネットなどの情報メディアを適正に使えるようになるには,情報モラルと社会性と責任能力が必要なのであって,情報モラルを指導するだけで「使用可」にすることはできません.
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