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子どもと情報メディア
著者 村田育也
「第5章 子どもとテレビゲーム」 から抜粋を立ち読み
売れるゲームは依存させるゲーム(抜粋)
テレビゲームメーカーにとって,作ったゲームが売れなければ商売になりません.ですから,テレビゲームメーカーが生き残るには,売れるゲームを作るためのノウハウを多く持っている必要があります.それでは,売れるゲームとは,どんなゲームでしょうか.
まず,飽きさせないことが必要です.子どもが飽きてしまえば,そのゲームは中途で放棄され,面白くないゲームという評判が広がって売れなくなります.子どもを飽きさせずにプレイさせ続けるには,いくつかの方法があります.たとえば,緊張感の緩急を適度な間隔で配置します.これは,映画にもよく使われる手法です.見ている者を映画のストーリーに引き込んで,どきどきわくわくさせるために,スリルある場面とほっとさせる場面を交互に配置します.スティーブン・スピルバーグ監督のSF映画や,宮崎駿監督のまんがアニメ映画をよく見てみてください.緊張感の緩急の場面が,絶妙な間隔で配置されています.この手法自体は良いのですが,問題なのはプレイ時間です.映画の場合は1時間半程度で終了しますが,テレビゲームの場合はゲームクリアまで何十時間,何百時間も必要になります.オンラインゲームならエンドレスです.
もう一つ飽きさせない手法を紹介しておきます.プレンスキーは,ゲームが子どもたちをプレイさせ続ける理由として,「レベルアップ」をあげています(1).レベルアップは,プレイヤーに上達していることを理解させるための方法で,ゲームの難易度がプレイヤーにとってちょうど良いレベルになっていれば,「本気でやればクリアできる」と感じてプレイし続けたくなると述べています.でも,ちょっと待ってください.これは,何かによく似ています.「今度こそ,うまくやれる」と言って,何度も繰り返してしまうことです.ゲームセンターにあるUFOキャッチャーでいつの間にか何千円も使っていたり,競馬や競輪,パチンコなどで気がついたら所持金を全部使っていたりすることに似ています.この手法は,ギャンブルの誘惑と同じものです.
これらのテレビゲームを飽きさせないテクニックは,子どもたちを長時間プレイさせることに役立ち,テレビゲームに依存させることに成功します.つまり,売れるテレビゲームは,依存させるテレビゲームなのです.
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