青函トンネルに「ゆがみ」…列車運行に支障なし
鉄道 テクノロジー
青函トンネルは、青森県の奥津軽いまべつ・中小国両駅から北海道の木古内駅までの区間にあるトンネルのうち、津軽海峡の下をくぐるトンネル。鉄道トンネルとしては世界で2番目の長さ(53.85km)を誇る。1988年3月に在来線(海峡線)のトンネルとして使用を開始し、2016年3月からは北海道新幹線も使用している。施設は鉄道・運輸機構が所有し、JR北海道が新幹線旅客列車、JR貨物が在来線貨物列車を運行している。
掘削工事は1964年5月から始まり、まず斜坑を建設。1967年3月からは地質確認・調査用のトンネル(先進導坑)の建設が始まり、これに続いて作業用のトンネル(作業坑)と列車走行用のトンネル(本坑)が建設されている。場所によっては建設後40年以上が経過している部分もある。
発表によると、ゆがみが発生したのは北海道側の地質確認・調査用トンネル(吉岡先進導坑)の部分。路盤が最大52mm隆起(盤ぶくれ)したほか、トンネルの幅も最大47mm縮小しているという。
JR北海道によると、トンネル周辺の地盤が弱い場合はトンネルのコンクリートに大きな力がかかり、盤ぶくれやトンネル断面の縮小が生じるとしている。鉄道・運輸機構によると、先進導坑と作業坑は列車が走る本坑に比べて簡易な構造となっており、「地質が悪い区間においては、経年による変状が見られる」場所もあるという。
JR北海道と鉄道・運輸機構は随時修繕を図っていく方針。トンネル内から棒状の鋼材(ロックボルト)を打ち込むことで周辺の地盤とトンネルを一体化させ、トンネルの強度を向上させる計画を立てている。本坑では「対策を必要とする変状は確認されておりません」(JR北海道)としており、今のところ列車の運行への影響はない模様だ。
先進導坑や作業坑では、盤ぶくれのほかにもコンクリートの剥落などが発生している。JR北海道と鉄道・運輸機構はこれらについても対策を検討していく方針だ。