|
CAMNETマガジン3+4号(2月20日〜)から
性について誠実にそしてユーモアで向き合う深夜放送的番組 「UNIQUE」
(camnet.jp => channel-D) の連動コラム
トランスジェンダー(ノーホル・ノーオペFTM)臼井崇来人の INTO THE UNIQUE 〜あるがままにわがままに
最近流行りの「さき読み」で、一部お届けします。
==================================================
「お前は女だ!」息子のドヤ顔にブチ切れる
トランスDV親父の風呂場しごきと悲劇
〜和解のための五感活用のルール〜
風呂場で事件は起こりました。流血惨事にこそならなかったものの、頭蓋骨に突き刺さろうがおかまいなしの形相で「ゴチン」と歯ブラシの尻で頭にゲンコツを入れるや否や「なんださっきの言い方は、馬鹿にしとんか?」と腹に足キックをかまし、そのまま壁に押し付け、息苦しそうな顔を睨みつけます。
DVで通報レベル! と思った方へ白状すると、その犯人は私です。でも、私は「被害者」です。その直前に、トンがったよく切れそうな言葉のナイフで突き刺されていたからです。やっと最近「お父さん~」と言ってなつくようになった嫁の連れ子、6歳男児が犯人です。「たかきーとは、男じゃない、女だ!」と人をあざ笑うかのような目つきで、ニヤリとし「言ってやったぜ」というドヤ顔。無意識に出るヤツの癖です、少し右肩を下げて頭を後方へずらして斜に構え、上唇をちょっと突き出しての、タレ眉。
「馬鹿にしてません。間違えました。」と言ったっきり、壁に向いて指で文字など書いてその場をごまかし、お互い口を聞かず冷戦状態でいたところに、嫁が丸腰で入ってきました。「どしたん?」犯人を嫁に引き渡し、そそくさと風呂から上がり、布団に入り考え込んでしまいました。「男とか、女とか、何をもって判断するかって、難しいよな。たしかに戸籍では女性扱いだし、結婚もできない、風呂で見る体は母親と同じで、むしろ母親よりもふくよかな胸。そんな父を子どもが『女』じゃないと確信しうるものなのだろうか?
※昨晩、審判結果が出たとの連絡を受け、
本日家庭裁判所津山支部へ夫婦で出向きます。
息子が忍び足で、音も立てずに寝室を覗いてきました。お風呂場で母親と話をしたらしく「ごめんなさい、傷つけるようなことを言って。仲良くしたいです。」と頭をうなだれ、涙を浮かべて謝ってきました。「あなたにとって、たかきーとは何者?」「お父さん。」「あなたにとって、男って何?」「強い人。」「じゃあ、女ってどんな人?」「可愛い人。」あー、二人のいざかいの原因は、言葉一つ一つの「定義」が違うことで起きている…。
私が「馬鹿にされた」と感じた理由(体が女型だから、所詮あなたは女でしょ)が侵害されていたわけじゃないのかもしれない…。男女って、どうやって区別する? 特に体と心のちぐはぐが、生んでしまうトランスジェンダーを抱える一家にとっては悲劇のトリガーだ。6歳児に理解しろとも思わないし、かといって、ヘラヘラ「いいよ、いいよ、父ちゃんも悪かったんだよ。」とその場を取りつくろい、なかったことにもしたくない。否が応でも考えて、向き合っていかなければいけない。このテーマは、この一家の前に横たわる深くて、底なしの苦しみなのだ。
息子にも言いました。「あんたに(トランスジェンダーの)父親を男と思えとか、女に見るなって規制をかけられるものでもないんだよ。」「父ちゃんがあんたを許す、許さないの問題じゃないんだよ。」私が寝そべっている布団の外で、立ち尽くし、寒いだろうに、きっと言われている言葉の意味も分からず、微動だにせず許しを請うている姿を見ていると泣けてきます。同じく息子も、まん丸の目を真っ赤にして、涙を浮かべこちらを見つめ返し「ごめん、ぼくが悪かった。」って言って、手を握って離しません。なんと言っていいか分からず、つい、顔を背けてしまいました。
そこへ、嫁です。スタスタとやってきて布団をめくると「地蔵プレイするな! 謝っとる子どもが可愛そうじゃろうが。無視するな! あんただけ泣いとればええんか、家族が一緒にがんばるんじゃろうが。自分だけ被害者意識でふざけるな。」「時間がかかることじゃ、今結論が出んだってええじゃんか。子どもが人生をかけて、自分でどう考えるか決めたらええことじゃ。ああいう言い方をしたら、言われた方からはこんなリアクションが返ってくるんだというだけのことじゃ。それで次どうするか、自分で決めたらええ。(身の上に降りかかったこの家族の現実を)憎んだり、受け入れたり、それも自由にしたらええことじゃ。」「謝っとんじゃから、許してあげて。」「いや、自分が許す許さんのことじゃない。保留にして、もうみんな寝ろ。」嫁はかたくにも態度を変えない私に嫌気がさし、さんざんボロクソに言って、息子の布団に潜りこみ、やがて二人は同じようないびきをかいて眠りに落ちていきました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
私のような、体と中身が違うトランスジェンダーは、外見だけで性別を決めつけられるのを非常に嫌がります。人格を踏みにじられた気がして、怒りをあらわにします(私の場合。)性同一性障害者は1万人に1人いるとも言われ、世の中に一定数存在しています。相当数の当事者を見てきたので、特徴や雰囲気が分かってきて、チラッと見るだけで、たいてい見抜くことができます。でも、一般の人には「見えて」いません。当事者側からすると、存在が受け入れられていないし、ゆえに理解もされていないということです。
この問題がなぜ起こるのか? 今までは当事者が「言わない」「隠れている」ことに起因すると思っていました。でも、社会的にはもうそのステージは通り越した感があり、当事者が存在を主張し、ネットやマスコミや表舞台で活躍・注目されるようにもなってきました。そこで気づいたのです。「見え」やすい五感情報に踊らされがちだということ、「見え」にくい「内面」情報まで「見え」ているかどうかということです。
人の75%が五感で「情報認識」をするそうです。服装、髪型、ヒゲ、顔だちといった見た目、声の低さ、しゃべり方、使う単語といった耳から入る情報、筋肉の硬さや皮膚の肌触り、耳元で甘い言葉をささやかれるときの吐息の温もりやぎゅっと手を握られた時の握力の強さで感じるスキンシップ、枕の臭いや車に同席した時の体臭のきつさ、化粧や制汗剤やシャンプーの臭いといった嗅覚情報、キスした唇やあそこや汗の味。五感フル活用で、一瞬一瞬に情報を捉えているということです。こういった五感を使った情報認識&ジャッジは、見た目と中身のギャップがあるトランスジェンダーにとっては不利です。
==================================================
さき読みはここまで。
だからと言って、
体にメスを入れて
五感で情報認識しがちな世の中に
自分のセクシャルアイデンティティを
合わせる必要があるんですか?
手術のあるなしに関わらず
私は「父」として「夫」として生きている、
先に、わたしのアイデンティティありきで、
社会(法)にも「男」として「家族」として認めてもらいたいんです。
先日、津山で行った講演会で
参加者の方がかけてくれた言葉に涙が出そうでした。
(音声→1時間25分の時点)
LGBTを取り巻く社会のステージは確実に進んだ、
必ず法律が変わる日はくる、
一人一人の顔を見て、話をするごとに
そういう確信が深まっています。
講演参加者の声を一部紹介します
===
20170121津山男女共同参画センター「さん・さん」講演会
(多様な性と生き方への理解、LGBT理解を訴え)
トランスジェンダー臼井崇来人【ノーホル・ノーオペFTM父】
===
「お前は女だ!」息子のドヤ顔にブチ切れる
トランスDV親父の風呂場しごきと悲劇
〜和解のための五感活用のルール〜
気になる続きは…
CAMNETマガジン 次号(3+4月号、2月20日発刊)で無料で読めます
五感情報認識タイプの落とし穴を補完する
六感タイプの紹介と
トランスジェンダーの「完全理解」へつながる 五感+六感タイプの融合論を展開します。
|
この記事に