ロシアで不法滞在者として20年近くひそかに暮らしていた脱北者が、現地の警察に逮捕され、北朝鮮へ強制送還される危機に陥っていることが分かった。
ロシアのサンクトペテルブルクの新聞「フォンタンカ」は4日(現地時間)、「チェ・ミョンボクという脱北者が最近警察に逮捕され、ロシアの裁判所は彼を北朝鮮へ送り返すよう命じる判決を下した」と報じた。チェ氏はロシア極東沿海州で伐採作業員として働いていたが、1999年に脱出し、当局の監視を逃れて20年近くサンクトペテルブルクで隠れ住んでいたという。
チェ氏の強制送還は、北朝鮮とロシアが昨年2月に結んだ「不法入国者と不法滞在者の収容と送還に関する協定」によるものとみられる。しかし協定の履行が脱北者の生死を左右しかねないため、締結当時 から非難が絶えなかった。チェ氏送還を命ずるロシア裁判所の決定は、今月10日に執行される予定だ。現地メディアは「ロシアの人権団体『メモリアル』が、『強制送還された脱北者は死刑を避けられない』として控訴を推進している。欧州人権裁判所(ECHR)にも身辺保護の申請を行うなど、チェ氏強制送還を防ごうと努力している」と伝えた。