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「屋内禁煙」骨抜き危機…小規模バーなど喫煙OK

小規模飲食店(30平方メートル以下)での喫煙に関する厚生労働省案

反発受け、例外案

 他人のたばこの煙にさらされる受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案で、厚生労働省が酒類を主に提供する小規模なバーやスナックなどは例外として喫煙を認める方向で検討していることが分かった。厚労省の当初案は、飲食店は一律「原則屋内禁煙」としていたが、飲食店業界などの反発を受けて後退した。今後、自民党などに案を示して詳細を調整するが、例外をどこまで認めるかについて難航も予想される。【山田泰蔵】

 厚労省は2020年の東京五輪に向けて、飲食店を原則として屋内禁煙とし、一定の排煙性能を備えた喫煙室の設置を認める原案を公表していた。しかし、飲食業界などから「小規模店では喫煙室設置の対応ができない」などと一律規制への反発が大きく、例外を設けることにした。

 例外的に喫煙を認めるのは、延べ床面積30平方メートル以下のカウンター席が中心の小規模店のうち、未成年や妊娠中の女性の利用が想定されないバーやスナックなど酒類を主に提供する店。店頭表示や換気設備などを条件に喫煙を認める。

 さらに、バーやスナックに加え、食事に合わせて酒類を提供する居酒屋や焼き鳥屋、おでん屋などに例外を広げる案も検討する。一方、ラーメン店やレストラン、すし店などは未成年者らの利用も想定されるため、例外に含めない方針だ。

 日本禁煙学会の作田学理事長は「例外を認めると、なし崩し的に法律が意味のないものになってしまう。スペインでは面積によって当初は規制に差をつけたが、『不公平だ』として廃止された。例外を認めていけば、たばこのない東京五輪の実現は危うくなる」と話した。

線引き巡り綱引き続く

 厚労省が例外の検討を始めたのは、飲食業界や自民党から「規制によって廃業に追い込まれる飲食店が出かねない」と反発が大きいためだ。今年1月には飲食やホテルなど5業界団体が緊急集会を開き、「小規模店の喫煙室設置は、場所の確保や費用の面で難しい」などと訴えた。

 今月に入ると、飲食業など16のサービス業でつくる全国生活衛生同業組合中央会がたばこ業界と連携し、「各事業者の多様性・自主性が尊重されるべきだ」として一律の規制に反対する署名活動を始めた。同会は「一律規制は弱いものいじめだ」と訴える。

 自民党の部会でも、小規模店への配慮を求める意見のほか、「路上喫煙防止条例がある地区は中でも外でも吸えなくなる」「営業の自由に触れる」など批判が噴出。9日の部会でさらに議論するが、厚労省の例外案には「面積30平方メートル以下の根拠が分からない」「スナックでおでんや焼き鳥を出したらどうなるのか」などと既に異論が出ており、厚労省はさらに検討を加えた案を来週にも部会へ提示する方針だ。【山田泰蔵】

最も緩い五輪都市に?

 近年の五輪開催地はいずれも、罰則付きの法律や条例で受動喫煙対策に取り組む。国際オリンピック委員会(IOC)などが「たばこのない五輪」を求めているためだ。

 昨年夏のリオデジャネイロでは、法律で公共交通機関や飲食店、宿泊施設など屋内を全面禁煙とし、喫煙できる場所は個人の住宅内か屋外に限定された。2012年夏のロンドンも、ホテルの客室などを除き屋内を全面禁煙にした。10年冬のバンクーバー(カナダ)も州法で飲食店を含めた屋内の全面禁煙を義務付ける。

 平昌での冬季五輪が1年後に迫る韓国は、法律で医療機関や学校などが屋内全面禁煙、飲食店や官公庁、駅は喫煙室の設置を認める屋内禁煙としている。飲食店は段階的に対策を進め、12年に店舗面積が150平方メートル以上の大型店のみの規制から始め、14年に100平方メートル以上、15年から店の広さに関係なく全飲食店を規制対象とした。

 日本で飲食店の例外が認められれば、近年で最も緩い規制の夏の五輪となる。【下桐実雅子】

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