集中治療医の受け持ち患者数は院内死亡率に影響する
2017年 02月 08日
Hayley B. Gershengorn, et al.
Association of Intensive Care Unit Patient-to-Intensivist Ratios With Hospital Mortality
JAMA Intern Med. Published online January 24, 2017. doi:10.1001/jamainternmed.2016.8457
背景:
ICUにおける患者-集中治療医比( patient-to-intensivist ratio :PIR)※は標準化されておらず、PIRと患者アウトカムの関連性は確立されていない。アウトカムにPIRがもたらす影響を理解することは、適切な人員配置と高質のケアの提供に必須である。
※PIR:「the total number of patients cared for by the intensivist」
目的:
以下の仮説を検証した。①ICUによってPIRはまちまちである、②高いPIRはICU患者の高い院内死亡率と関連している。
方法:
ICUに入室した16歳以上の患者を対象にした、イギリスの後ろ向きコホート解析である。PIRは集中治療医が各日どれだけの患者にケアしているかで定義された。標準要約統計量を用いて、ICUにおけるPIRの違いを調べた。また、多変量混合効果ロジスティック回帰分析を用いてPIRと院内死亡率の関連を評価した。
結果:
94ICU・49686人の成人患者の年齢中央値は66歳(IQR52-76歳)で、45.1%が女性だった。院内死亡率は25.7%だった。PIR中央値は8.5(IQR6.9-10.8、範囲1.0-23.5)で、ICUによってばらつきがあった。PIRと院内死亡率の関連性を表す曲線はU字形になり、PIRが7.5に到達するまでは死亡オッズ比は減少したが(同値がnadir)、その後はゆるやかに上昇していった(最低PIRにおける平均死亡率22%、PIR7.5における平均死亡率15%、最高PIRにおける平均死亡率19%、P = 0.003)。同様のU字形の関連性はPIRとICU死亡率にも観察された(PIRのnadirは7.8)。
小さなICUほどU字形になる傾向が大きく、大きなICUではその曲線はまちまちだった。
結論:
PIRはイギリスのICUによってばらつきがみられる。本コホートにおけるICU・院内死亡率を最低にするための適正なPIRは7.5と考えられる。1人の集中治療医が受け持つ患者数は患者アウトカムに影響を与えるかもしれない。
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by otowelt | 2017-02-08 00:56 | 集中治療