アウトサイダー 〜陰謀の中の人生 / フレデリック・フォーサイス
『ジャッカルの日』の著者にして、最高のスリラー作家フィレデリック・フォーサイスの自伝本。
御歳、78歳。人生も黄昏時をむかえ、自分の人生を振り返ってみようという気になったのだろうか。
ジャケットの写真は、おそらく一番のお気に入りなのだろう。
太ってみえないし、かっこいいもの・・・
リチャード・ギアとブルース・ウィルスの焼き直しの劣化版の映画「ジャッカル」しか観てないという人は、是が非でも『ジャッカルの日』を読むべきだ。
あの一作で、フォーサイスという作家がわかる。
その『ジャッカルの日』で華々しいデビューを飾り、以来常に第一線の作家であり続けたフォーサイス。解説の真山仁をして「なんだこれは。人生、楽しすぎだろ!」と言わしめるほどだ。
あまりに痛快すぎて、どこまでが本当で、どこからがフィクションなのかと疑いたくなるが、そこは作家の自伝。盛って当然ではないか(笑)
ドイツ語、フランス語はネイティブが見抜けないほど堪能で、他にも数カ国語を操ることができるフォーサイス。彼はわずか15歳で大学進学資格試験にパスし、ケンブリッジ進学を蹴って空軍入隊。19歳で幼い頃からの夢だったパイロット記章を手にいれたという。
とくかく華麗。
カッコよすぎですから(笑)
記章を手に入れるや否や空軍とはオサラバし、ジャーナリストに転向。そこでも活躍し成功を収める。1地方新聞の記者からロイター通信の記者となり、東ドイツ駐在も経験、BBCに移たもののあっさりとその職を辞し、作家に転身した。その後の活躍は周知の通りである。
まあね、、、まるでスパイ小説の主人公みたいな人生なのだ。
若きフレデリックには素晴らしい環境(特に父親)に恵まれていただけでなく、それを十二分にいかすことのできる能力があったのだ。
しかし、待ってよ?
え?ケンブリッジを蹴ったって???
それには、彼の根底には常にエスタブリッシュメントヘの反発があったからだという。今は中流出身のプリンセスも誕生したが、当時の英国はガチガチの階級社会。支配者層はイートンからオックスフォードかケンブリッジというコースを辿る上流階級によって占められていた。
一方のフォーサイスはといえば、父親は裕福ではあったが一介の商店主。中流出身だ。
フォーサイスで忘れてはならないのは、『ジャッカルの日』で得た莫大な印税を、ビアフラのナイジェリアからの独立運動(ビアフラ戦争)につぎ込んだという逸話である。本人は関与を否定しているそうであるが、ビアフラ戦争への彼の入れ込みぶりは尋常ではない。
BBCの記者の職を辞したのも、このビアフラ戦争がきっかけだ。
ビアフラ戦争は、黒いユダヤ人とも呼ばれたイボ族を主体としたナイジェリアの東部州がビアフラ共和国として、ナイジェリア連邦から分離・独立を企てたことに起因する内戦である。当時の英国政府はナイジェリア連邦を支援、包囲され食料と物資の絶たれたビアフラの飢餓は国際問題となった。
飢えてお腹だけが膨らんだアフカの子供の写真を覚えている方も多いだろう。
ビアフラの指導者のオジェクに惚れ込んでいたフォーサイスは、英国政府に対し激しく憤っている。怒りの矛先は、エスタブリッシュメントの権現のような当時の高等弁務官だ。ただ、件の人物ももうとっくに鬼籍に入っているだろうが。
訳者の黒川氏は「あとがき」で、フォーサイスがビアフラ側に肩入れしたのは、感情面からいえば、ナイジェリア連邦を支配する古いイスラム社会のエスタブリッシュメントと、進取の気性に富むイボ人の対立に、英国のエスタブリッシュメントと中流階級の対立に同じ構図を見て取ったからだろうと分析すしている。
そういう一面もまた、スパイ小説のヒーローさながら。
フォーサイスには、常に「反エスタブリッシュメント」の精神があり、『アウトサイダー』というタイトルは、それを強く意識したものなのだろう。
同じ国際陰謀を扱う作家のジョン・ル・カレとフレデリック・フォーサイス、どちらも大変魅力的であるが、一緒にお酒を飲みたいのは、断然フォーサイス!
ジョンよりも気さくそうだし、色々と盛って楽しい話をしてくれるに違いない。
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category: ノンフィクション・新書
人質の経済学/ ロレッタ・ナポリオーニ
今、世界では何が起ころうとしているのかを分析している本。
『人質の経済学』というと、いかにも人間の命を金儲けの対象にしているようで嫌悪感を掻き立てるが、現実世界で起きていることだ。
本書では、いかにして「誘拐」がテロリストのビジネスになったのか、そして、それが今欧州を悩ましている難民の大量流入につながっているのかが語られている。
これまでも「誘拐」は儲かるビジネスではあった。
「破産しない国イタリア」には、多くの人がまともに税金を払っていないのにもかかわらず、なぜ破産しないのかが書かれていたが、それを支えているのは「徹底的なコネ社会」であることと、「誘拐」がビジネスとして認知されていることにあった。
70年代に石油王のポール・ゲティの孫が誘拐された事件を記憶されている方もいらっしゃるだろう。
冷戦が終わりグローバリゼーションが加速したことで、ここ10年で誘拐は劇的に増加し、世界は誘拐危機に直面しているという。
最も狙われやすいのは、ジャーナリスト志望の欧米人の若者だ。欧米人というものの、そこには当然日本人も含まれる。なんといっても彼らは高価で、政府は表向きは「テロリストとは交渉しない」といいつつ、裏では支払いに応じるからだ。就中、金払いのよいのはイタリアだという。
本書では、前述のような無謀なジャーナリスト志望の若者に、繰り返し警告をし、苦言を呈す。
彼らが何の知識もコネもなくシリアのような国に行ったところで、簡単に誘拐された挙句、運がよければ、税金で莫大な身代金われることになるだけだから。そして、その身代金はジハーディストの資金になる。運が悪ければ、見せしめとして殺害される。
その金は、時にその地域経済を変えてしまうくらい巨額だという。それはテロリストたちの資金源となるだけでなく、同時にこの「誘拐ビジネス」に直接・間接的に関与する多くの人々の懐をも潤すほどだ。
「誘拐」は、人質という商品を起点にした投資スキームでもあるという。
不注意で無知な若者だけでなく、用心深いプロのジャーナリストですら誘拐されることがある。後藤健二さんはおそらく入念な準備をしてシリア入りしたのだろうが、ツキに見放されていた。
著者によれば、彼ら日本人は当初は解放される予定だったという。政府が20億円を払いさえすれば…。
それが一転、斬首という最悪の結末に至ったのは、安部首相による声明のせいだという。折しも、安部首相はカイロでの経済ミッションの会合の際、イスラム国と戦う国へ軍事支援を約束したのだ。
日本政府としてみれば、これまで国際貢献に消極的な姿勢を非難されてもおり、人道支援の形でそれを示そうとしたのだろうと著者は一定の理解を示している。
ただ、この総理の発言は人質の運命を左右してしまった。彼らは身代金目当ての人質から外交戦略の駒にされた。
斬首のシーンをwebで流すことは、日本人に恐怖を植え付け、平和活動の維持にすら消極的にさせる狙いがあったという。そして、実際にその狙い通りにもなった。
私も含め多くの人が、もう遠い中東のことなんて放っておけと考えるようになった。
著者はいう。多くのウォッチャーは、とかくイスラム国の残虐性に目が行きがちだが、彼らの巧みな外交手腕を見落としがちだと。イスラム国を動かしている者たちは、実際とても頭がいい。
本書の著者は、マネーロンダリングとテロ資金調達に関する研究の専門家だというが、彼女はイスラム国が単なるテロリストではなく、本格的な「国家」を築こうとしていることにいち早く見抜いた人だともいう。
ところで、ジハーディストが跋扈する地域で誘拐されるのは、プロアマを問わずフリージャーナリストが多い。これは、本書中最も考えさせられたことだった。
フリーランスが多いのは、ひとえに大手メディアの衰退に起因するのだ。
ここ20年でメディア業界は大きく様変わりしてきた。電子媒体の発展によって競争が激化、さらにソーシャルメディアの台頭によって、大手メディアは減収減益に追い込まれている。
今、アメリカ合衆国においては、もはや20パーセントの人しか新聞やテレビを信用しないという。10年後、果たして新聞は生き残っているだろうか…
ジリ貧の大手メディアには、戦争取材を専門に手がけるプロを雇う金もなければ、自前の特派員を派遣する余裕すらなくなってしまっているという。
日本だってというか、いや日本だからこそかもしれないが、メディアは「週刊文春」に負けっぱなし。世界情勢のことを報じるより、芸能スキャンダルを追ったほうが効率的に利益をだせる。
シリアのような国の内情を報じようとするならば、フリーランスを使わざるを得ないが、フリーランスの彼らとてライバルはいくらでもいる。そしてライバルに勝つには、よりリスクをとらざるを得ない。そこには当然「これからジャーナリストとして一旗あげよう!」という若者が多く含まれ、彼らはいとも簡単にジハーディストの餌食になる。
誘拐ビジネスとともに、ジハーディスト組織の資金源になっているのが難民の密入国斡旋だという。今、欧州は、あまりに膨大な数の難民を前に途方にくれている。
ドイツはもはや数年前旅行した時のような安全な国のままなのだろうか?
シリアの難民密入国斡旋業者は、「イスラム国の支配地域を通るほうが安全だ」とさえ言っているという。もちろん、しかるべき対価を支払えばの話。ジハーディスト組織にとっては効率の良いビジネスだ。
「誘拐ビジネス」にしろ、難民問題にしろ、現時点で解決策は見つかっていないし、著者もそれを提示しようとはしていない。
イスラム国に無視を決め込むこともできないし、難民をヨーロッパの端でいつまでも堰き止めておくこともできない。ただそこに留めておけば、難民にとって欧米は憎しみの対象となる。新たなジハーディストが誕生するだけだ。
トランプ政権は中東やアフリカの7カ国の人の米国入国を禁止するという極端な措置を講じ、世界中から大避難を浴びているが、日本だって、もし中国が崩壊し、膨大な中国人が大挙して日本に押しかけてくれば、そのトランプと同じことをするかもしれない。
ジレンマに陥っている中、ただ「大丈夫!希望を失わずにいればなんとかなる!」などと自分すら信じていないことを口にすることは私にはできない。
なんだか、世界は悪い方向に向かっていく一方のような気がするなぁ。だが、一方で歴史を振り返れば、いつだって危機にあったともいうことができる。
わたしのような非力な個人にできることは、ただ事実を正しく認識することによって、意識を変えることくらいか。
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食べることについて
「エンゲル係数」が29年ぶりに高水準なのだそうだ。
その背景には「食のイベント化」があるのだとか。庶民にとってはグルメは最も気軽な娯楽でもある。
私も⚪︎⚪︎フェスみたいなのには行かないけど、親しい人などとの過ごし方はいつも
「何か、美味しいものを食べにいこう!」が多い。
どうせ食べるなら、少しくらい高くても落ち着いてゆっくり食事のできる店がいい。
ただ、全方位的に贅沢ができるわけでもないので、スーパーでの私は結構ケチです(笑)
それでも、節約ブログなどをなさっている方に比べれば、足元にも及ばないけれども。
ケチではあるけれども、根底では「いつ死ぬかわかないし、食べたいものを食べよう」と思っているので、正直そこまで頑張ろうとも思っていない。
というか、食べることと読書が人生の楽しみなので(笑)
しかし、「食べないことこそが健康と長寿の秘訣」なのだそうだ。
私個人としてはそれほど長生きしようとも思わないけど、テレビなんかに出てる南雲医師も後者の提唱者だし、「3日食べなきゃ、7割治る」という人までいる。
この本、Kindleunlimited の対象だったので、パラ読みしてみたのだが、癌でも、どんな病気でも食べなきゃ治るといっている、ただ、この著者は、少々スピリチュアルな方らしく、????な部分もあり、後半は論理矛盾を起こしてしまっていたけど。。。。
ま、いずれにせよ、過ぎたるは及ばざるがごとし。食べ過ぎはよくないということで(笑)
それはさておき、先日のお料理教室は、、、豪華な中華のコースメニュー!
まずは、エビのレタス包み
これ、簡単なのにすごく美味しかった。
下味をつけたエビに片栗粉をまぶし、ニンニク、生姜のみじん切りと玉ねぎの粗みじんとともに炒めたものをレタスで包んでいただく。
エビの下に敷いてあるのは、ワンタンの皮を素揚げしたもの。
これがパリパリ〜
スイートチリをつけて食べるとGood!
油淋鶏
他には卵とトマトの炒め物
絹ごし豆腐と青菜の炒め物
そして、本日のメインは豚肉と豆豉のご飯
土鍋でご飯を炊いて、蒸らす時点でトーチと酒、醤油、砂糖、ニンニク、ごま油で味をつけた豚肉を入れて火を通すというお料理。
これ、絶品!
豆豉はこんな感じの中華調味料
麻婆豆腐や回鍋肉に入れるとワンランク上のお味になるそう。。。
食べ過ぎより、飲み過ぎのほうが心配な今日このごろ・・・
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category: 雑談その他
残念・・・
全豪オープン決勝は負けてしまった・・・
前日の夜、Wowowでは、2009年決勝を流していたので、本番もすっかり勝つつもりで見ていたのに…
大会前は、苦手な全豪だし、ここのところGSは早期敗退が続いていたので、3回戦くらいまでいけな上出来と思っていたのに、勝ち進むとつい欲がでてしまう。
でも、やっぱりジャンピング・バモスが見たかったなぁ…
本当にあと一歩及ばずだった。
ディミトロフ戦の疲れもあったのだろうなぁ。
死ぬほど悔しかっただろうに、ナダルのスピーチは素晴らしかった。
グッド・ルーザーのお手本!
フェデさまとフェデファンの方々、おめでとうございます!
これで、フェデラーのグランドスラムタイトルは18個
決勝のフェデラーはすごかった。
フォアも全盛期のようだったし、ナダルのバック攻め対策もバッチリだった。
負けはしたけど、シーズン最初のGSにしては上々のスタート。
あとは、怪我などしませんように。
クレーシーズンで活躍できますように。
全仏は優勝できますように。。。。
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フェデナダ決勝!
錦織くんが負けて、ほとんどの日本人は興味をなくしてるだろうけど、、、
まさかのフェデナダ決勝
キタ―――(゜∀゜)―――!!!
大会が始まるまえは、きっと誰も想像もしていなかったにちがいない。
フェデラーは怪我明けだし、ナダルもここ最近はGSは早めの敗退ばかり。
怪我も多く体力の衰えも目立ってきており、そろそろ引退なのかなぁとも思っていた。
それがファイナルまで勝ち進むとは!
さすがナダルさんやっぱり違うわ
めでたいので、前祝い❤️
スーパーのお肉だけど。
しかし、昨日のディミトロフは強かった。以前のように大事なところで崩れることもなかったし、サーブフォアもバックも良かった。それに試合時間が4時間過ぎても、全く関係なく動けるあのフィジカル。いきなり覚醒した感があるわ。。。
2009年の準決勝ベルダスコからの決勝フェデラーの再現なるか。
5時間マッチでさすがに疲れているだろうけど、もし優勝すれば、ナダルはキャリアグランドスラム2周目という快挙。
優勝してほしいなぁ。
決勝チケットはすごいプレミアムがついてるだろうなぁ。
現地で生観戦できる人がうらやましい〜〜〜
いい試合になりますように。
テニスの合間には、翻訳ミステリシンジケートの評者の方々の評判がよかった「氷結」をちまちまと読んでおったのですが、後半急激に失速・・・
というか、それどころではなくなってしまった(笑)
ちょこっとだけ「羊たちの沈黙」っぽい感じかな?
おフランスものなので、特に最後のところは好みが割れるかも。
ただ、料理上手な元判事がでてきて、彼が作る手料理やワインにはそそられた(笑)
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