オハイオ州の自宅を火事で焼け出された男性ロス・コンプトンが、放火と保険金詐欺の容疑で逮捕されました。逮捕の決め手となったのは、心臓ペースメーカーのログデータです。
2016年9月19日、自宅が燃えているのに気づいたコンプトンは、慌てて寝室に行き、身の回りに必要なもの一式を「荷造り」して窓から庭に飛び降り、さらに車に積み込み、通報した先の消防署職員に「その場から逃げてください!」と指示される前に避難を完了していたとのこと。
しかし、埋込み式の心臓ペースメーカーを使用するほど心臓が悪いコンプトン氏にしてはあまりに鮮やかな手際の良さを疑問に思った警察は、捜査令状を取ってペースメーカーのログデータを取得、医師の判断を仰ぐことにしました。
証拠として提出されたデータを調べた心臓専門医は「このデータを見るに、この患者が必要な道具を家中から集めてパッキングして、それを持ってベッドルームの窓から飛び降り、さらに消防に電話をかけながらほかにもいくつか重量のある荷物を運び出すようなことができたとは到底思えません」と証言。
これに対し、電子社会の自由を守ることを目的とする電子フロンティア財団が派遣した弁護士ステファニー・ラカンブラ氏は「テクノロジーが進化するのは良いことだが、保護されるべき個人の医療データを法執行機関に渡すよう強要されるのは、プライバシー侵害行為だ」と反論しました。
ただその後消防の検証によって火の手が家の外側、しかも数か所から出ていたこともわかり、コンプトンが自身で火を放ったと断定されました。
コンプトンがどれほどの額の火災保険金をだまし取ろうとしたかは報じられていないものの、事件によって発生した家の損害額はおよそ40万ドル(約4500万円)にのぼるとのこと。
そんなことよりなにより心が痛むのは、コンプトン家に飼われていたネコたった1匹だけが、火事の犠牲になったことかもしれません。合掌。
[Image : WCPO]