駐韓大使帰任いつ? 県内コリアン「両国対話を」

 日本政府が慰安婦少女像問題への韓国対応に反発し一時帰国させている長嶺安政・駐韓大使のソウル帰任時期は3月以降となる見通しとなった。朴槿恵(パククネ)大統領の進退問題が節目を迎えるとみられる3月中旬までの間、韓国側が問題解決に取り組むのは困難との見方が日韓双方で強まっており、兵庫に暮らす在日コリアンらも緊張する日韓関係を不安視している。大使の帰国措置は決定から6日で1カ月が経過した。

 2015年12月、日韓両政府は慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的に解決」すると合意し、両国関係は改善に向かうとみられていた。在日3世の主婦(31)=姫路市=は「日韓合意で安心していたのに…。関係がこれ以上悪化すると、安心して暮らせない」と唇をかんだ。

 在日韓国・朝鮮人が多く暮らす神戸市長田区。3世のパート女性(42)は「慰安婦像の設置は、日本を挑発しているように見える」と韓国側の対応に批判的だ。

 「慰安婦問題の解決はまだまだ先のように思える」とは、在日コリアンで民間団体「兵庫朝鮮関係研究会」会員の高祐二(コウイ)さん(50)=加古川市。

 韓国最大野党の幹部は、日韓合意に基づき日本が拠出した支援金約10億円を返還し合意を破棄すべきと主張する。高さんは「両国は対話を続け、問題を拙速に結論付けてはいけない」と注文する。

 韓国・朝鮮の歴史や文化の講座を開く「神戸学生青年センター」(神戸市灘区)の飛田雄一館長(66)は韓国側で合意を覆そうとする動きがあっても「日本政府は柔軟で誠実に合意を履行する努力が必要だ。市民レベルの交流を続け、それを後押ししたい」と話した。(金 慶順、藤村有希子)

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