文部科学省の組織的な天下りあっせん問題は、関与を認めて辞めた前事務次官…
閣僚の責務と使命を忘れ、国会、そしてその国会に代表を送りこんでいる、主…[続きを読む]
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文部科学省の組織的な天下りあっせん問題は、関与を認めて辞めた前事務次官だけでなく、歴代の複数の事務次官もかかわってきた可能性がある――。
仲介役の人事課OBは「月2日勤務で報酬1千万円」の大手生命保険顧問の職をあてがわれていた――。
きのうの衆院予算委員会の集中審議で、文科省の組織ぐるみの関与が次々に指摘された。
だが、参考人として出席した前次官は謝罪を重ねながらも、「法律違反には当たらないと軽信していた」。OB職員も「人助け」だとして第三者からの要請や指示は否定し続けた。
歴代次官や人事課がどうかかわったのか、あっせんが文科行政や税金の使途をゆがめていないか、などの疑問についてはあいまいなまま。さらに踏み込んだ究明が欠かせない。
天下りあっせんは、かつては各省庁の人事担当課が業務として担ってきた。官民の癒着を招く、官製談合の温床になるなどと批判され、第1次安倍政権で国家公務員法を改正。08年末から現役職員によるあっせん禁止などの規制を始めた。
問題のOBが仲介役になったのは、その直後の09年ごろ。OBを使う「抜け道」は、法改正の時から指摘されていた。今回、それが表面化したと見ることもできる。
天下りあっせんは、文科省だけの問題なのか。集中審議では他省庁の実態も問われた。
民進党の江田憲司氏は、税関と地方財務局の職員60人が15年7月1日に退職し、9月1日に40人が一斉に再就職した事例を紹介した。税関から物流や貨物へ、財務局からは地方銀行、金融機関などに再就職していると指摘し、役所の組織的なあっせんの有無をただした。
麻生財務相は「あっせんの事実はないと思う」と答えたが、さらなる調査が必要だ。
国家公務員法は、現役の官僚に利害関係のある企業への求職活動を禁じている。
しかし08年以降、政府に届け出られた再就職約1万1千件のうち、1割を超す1285件が離職当日か翌日の再就職だったことも指摘された。違法性はなかったのか精査すべきだ。
国会の役割は大きい。証人喚問も含め、実態解明への努力を続けてほしい。
現行の天下り規制をつくった安倍首相の対応も問われる。
首相は全府省庁への調査を指示したが、聞き取りだけで全容解明は難しい。「国民の疑念払拭(ふっしょく)に必要なことは何でもする」という掛け声だけでは困る。
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