開城工業団地、人の往来が消えて「暗黒の世界」に

 韓国政府は北朝鮮が昨年の4回目の核実験(1月6日)に続き、長距離ミサイル発射(2月7日)を強行したことを受け、2月10日に開城工業団地の操業の全面中断を発表した。韓国政府は開城工業団地への電力供給をストップし、その影響で団地内の水道水供給も止まった。

 これに対し、北朝鮮は▲工業団地内の韓国側人員の追放▲工業団地内の全ての韓国側資産の凍結▲軍事統制区域に指定――などで対抗した。3月10日には南北間の経済協力、交流関連の既存の全ての合意を無効にすることと開城工業団地内の韓国側資産の清算を一方的に宣言した。しかし、韓国政府関係者は「北朝鮮側に開城工業団地の生産設備を搬出する動きはない」と話す。

 現在開城工業団地は人や車両の往来がほとんどない「暗黒の世界」だ。韓国政府は進出企業124社の被害を補填するため、財政支援と代替産業用地の提供を行った。昨年末現在で進出企業とその勤務者には総額5011億ウォン(約496億円)の支援金が支払われた。これまでに10社余りが工業団地内の工場を韓国側または海外に移転した。しかし、進出企業による非常対策委員会は業界の被害額が8152億ウォンに達するとして、政府に追加支援を求めている。進出企業は6日、国会で「開城工業団地、企業の生存と再開の道」というテーマによるセミナーを開催する。

 開城工業団地では昨年の閉鎖当時、約5万5000人の北朝鮮側労働者が働いていた。稼働初期から閉鎖まで北朝鮮側労働者の賃金として流入した資金は6160億ウォンだった。

キム・ミョンソン記者
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