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富士通と富士電機、関係薄れ持ち合い縮小
株売却1000億円規模

2017/2/7 18:38
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 富士通富士電機は7日、株式の持ち合いを縮小すると発表した。両社は相互に発行済み株式の10%超を持ち合っており、グループ会社を除いてはそれぞれ最大の株式保有先となっていた。富士電機は保有する富士通株の7割強にあたる1億6889万株を売却する。売り出し価格は今月8~10日に決めるが、7日の終値ベースでは1143億円に上る。富士電機株を7433万株保有する富士通は、株価動向を見ながら売却時期と株式数を今後決めるとしている。

 富士通は1935年に富士電機製造(現・富士電機)の電話交換機などの事業を継承する子会社として設立された。富士通が富士電機から独立した後も両社は協力関係の維持のために10%超の株式を持ち合い、取締役を相互に派遣するなどの関係を続けてきた。

 富士通がIT(情報技術)を中核分野と位置づけ、富士電機がインフラ機器に集中する中、両社の事業分野は徐々に離れてきた。2015年度の取引金額は互いに数十億円程度にとどまり、共同事業もデータセンターやスマートグリッドなどの分野に限られていた。

 富士電機は売却の理由を「企業統治指針(コーポレート・ガバナンスコード)にもとづく保有株式や株主利益の見直し」と説明する。富士通もコーポレート・ガバナンスコードに株式持ち合いの見直しを掲げており、両社は数年前から「最大株主であり続ける必要はないのでは」と議論してきた。

 社外取締役の派遣も段階的に取りやめた。富士電機の伊藤晴夫元社長が15年6月に富士通の社外取締役を退任し、富士通の黒川博昭元社長が16年6月に富士電機の社外取締役を退任したのが最後となった。両社の株価を見ながら、16年10月ごろから株式持ち合いの見直しの議論を本格的に進めてきた。

 15年4月に800円台だった富士通の株価は、構造改革費用が利益を圧迫することなどを受けて低迷していた。16年7月には300円台前半まで下がったが、主力のITサービス事業が堅調で構造改革も積極的に進める様子が好感され、昨秋には600円台まで回復。富士電機が株式を売却する好機となっていた。

 富士電機が売却する株式の内訳は直接保有分が約5千万株、同社の退職給付信託の保有分が1億1889万株。富士電機は株式の売却益を2017年3月期の特別利益に計上する。

 1000億円規模の売却には富士電機の事業拡大という「野心」が透ける。同社は創業100年にあたる2023年度までに連結売上高1兆円の目標を掲げている。北沢通宏社長は常々「300億~400億円規模のM&A(合併・買収)を検討していく」と語っており、今回の株式売却は事業拡大の号砲となるかもしれない。

(竹居智久、世瀬周一郎)

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