News Up 日本中の水道管がピンチ?!
ことしに入り、インターネットで連日、書き込みが見られる「水道管破裂」。先月末には、大阪のアメリカ村で「道路から噴水」、今月に入って長野県では「誰も住んでいなかった実家で水道管が破裂していたようで水道料金が30万円だった」など自分たちの身近な場所で水道管をめぐるトラブルの書き込みが相次いでいます。なぜ今、水道管のトラブルが続いているのでしょうか。
日本水道協会によりますと、こうした水道管のトラブルは年間、全国で2万件にのぼっています。ことしに入り、インターネットでも連日にわたって東京や北海道などから「住宅街で水道管が破裂した」とか「水道管の破裂で自宅が断水」といった書き込みが見られます。また先月2日には金沢市で水道管が破裂して、道路が一時、冠水したほか、先月31日には山形県鶴岡市でも水道管の漏水によって道路が陥没しました。
水道管トラブル 全国で
日本水道協会によりますと、こうした水道管のトラブルは年間、全国で2万件にのぼっています。ことしに入り、インターネットでも連日にわたって東京や北海道などから「住宅街で水道管が破裂した」とか「水道管の破裂で自宅が断水」といった書き込みが見られます。また先月2日には金沢市で水道管が破裂して、道路が一時、冠水したほか、先月31日には山形県鶴岡市でも水道管の漏水によって道路が陥没しました。
原因は水道管の老朽化
これらのトラブルによる漏水は、年間、東京ドームおよそ800杯分、金額にすると1500億円にも上ると考えられています。これらのトラブルの原因は水道管の老朽化です。水道管は高度経済成長期までに一気に設置されたもので、今、更新の目安となる法定耐用年数の40年に一斉に達しています。これらの水道管が破裂を起こしているのです。このような水道管は全国でおよそ8万キロに上っているにもかかわらず、年間の更新のスピードは1%未満。このままでは交換を終えるのに100年かかる状況です。取材を始めると全国で老朽化した水道管の交換が進んでいない理由が分かってきました。
なぜ交換進まない?都市の事情
大都市・大阪では、老朽化し交換しないといけない水道管がおよそ700キロ残っていて、すべてを交換するには10年近くかかる見込みです。大阪のような大都市で交換が進んでいない理由の1つは、工事の難しさです。大阪など大都市では、ガス管や下水道管など別のインフラの管が地面の下に網の目のように張り巡らされています。水道管の交換工事を始めるとこれらの別の管が障害物となり、工事に時間がかかるのです。もう1つの理由は人口の多さです。大阪・東淀川区の全域をカバーする水道管の交換工事の現場では、水道管が埋まっている幹線道路の交通量が多いため、工事の時間が夜間の5時間余りと限定されていて、およそ600メートルの工事に4年もかかる見通しです。
なぜ交換進まない?地方の事情
さらに厳しい状況なのが地方です。瀬戸内海に浮かぶ島、香川県の小豆島にある土庄町では、最も多かった昭和30年に比べて半数ほどの1万3000人余りに人口が減少しています。この人口減少はそのまま、水道料金の収入の低下に直結しています。このため、老朽化した水道管を維持管理するための費用が足りないのです。土庄町ではおよそ170キロある水道管のうち、交換が必要なのは30キロ余り。すべてを交換するには10億円以上の費用が必要だと見込まれていますが、交換工事に充てることができる年間の予算は5000万円ほどです。
さらに深刻な状況はほかにもあります。水を作るためのもとになる浄水場などの施設も水道管と同じように老朽化が進み、更新の時期を迎えているのです。水道管のみならず浄水場などの施設の更新を進めるためには大幅な水道料金の値上げしかないのが現状です。このため、小豆島のある香川県では、水道事業の広域化を進めていて、県全体で料金を一律にしようとしています。しかし、事業の広域化は地方でも比較的人口の多い都市部に負担を強いることになるため、一部の自治体で反対の声もあがりました。
さらに深刻な状況はほかにもあります。水を作るためのもとになる浄水場などの施設も水道管と同じように老朽化が進み、更新の時期を迎えているのです。水道管のみならず浄水場などの施設の更新を進めるためには大幅な水道料金の値上げしかないのが現状です。このため、小豆島のある香川県では、水道事業の広域化を進めていて、県全体で料金を一律にしようとしています。しかし、事業の広域化は地方でも比較的人口の多い都市部に負担を強いることになるため、一部の自治体で反対の声もあがりました。
水道管破裂の防止策進む
水道管の破裂を防ぐ取り組みや技術の開発も進められています。東京や大阪といった大都市では、水道局の職員が聴診器のような地中の水道管の漏水を音で聞き分けることができる専用の機械を使い、大規模なトラブルを未然に防止しています。大阪では、これまで政令指定都市で漏水率がワースト3位でしたが、この機械を使うことで漏水率が9%台から6%台まで減少しています。
さらに水道管自体も変わっていて、これまでの耐用年数のほぼ倍となる80年以上も使うことができるポリエチレンや塩化ビニールなどを使った水道管が新たに利用されています。
さらに水道管自体も変わっていて、これまでの耐用年数のほぼ倍となる80年以上も使うことができるポリエチレンや塩化ビニールなどを使った水道管が新たに利用されています。
家庭に水を引き込む管にも問題が…
ただ問題は、このような木の幹部分にあたる大きな水道管だけにとどまりません。枝葉の部分にあたる各家庭に水を引き込む管にも、国が健康被害のおそれを指摘し、早期に使用をゼロにするという目標を掲げている鉛を使った管、「鉛管」が使われている可能性があるのです。日本水道協会の4年前の統計では、18の府県でこの鉛管を使っている世帯が10%を超えている一方で、全国の1400余りの水道事業者の中で200余りの事業者がこの鉛管の使用実態が把握できていないという現状で、撤去が進んでいません。全国の水道事業者は優先順位をつけて、まず破裂する危険のある水道管の交換を進めているため、ここまで手が回っていないのです。今は、蛇口をひねれば当然のように出てくる水ですが、この問題について一人ひとりが考える時期が来ていると思います。