私は在宅で通信教育の添削をしています。
ほぼ毎日答案を目にしているのですが,添削していて気になることがあります。
それは子供の学習に対するやる気の二極化。
二極化と言っても半分に分かれているのではありません。やる気がある子供の方が少数で,中間とやる気ない子供が過半数を占めるのです。
やる気のない答案3選
1.真っ白な答案
解答欄が真っ白け。一問二問なら『難しい問題で歯が立たなかったのかな…』となりますが,さすがに全問白答で提出された答案を初めて見たときは驚きました。一つも解答せず答案用紙だけ送ってくるなんて何のために提出したのか謎過ぎます。こんな真っ白答案は私調べで全体の1%。
2.模範解答コピペ答案
上と逆で、全問解答してあり,しかも正答なのですがその答えが模範解答と一字一句違わないというコピペ答案。バレないようにと敢えて一か所間違えておく偽装答案も含めたら全体の10%(私調べ)。
ちなみに,偽装かそうでないかは添削している側からすると割と見分けがついちゃいます。
3.判読不能答案
寝ながら書いたのか,もしくは敢えて利き手じゃない方で書いたのかと疑いたくなる字で書きなぐってある答案。ひらがなのか数字なのかアルファベットなのかも分からず,無駄に時間を割くので添削者泣かせ。字から気持ちが答案にないことがありありと分かります。軽度から重度を含め私調べで全体の40%。
やる気のない答案の特徴
初歩的ミスが多い
判読不能答案に見られますが,ケアレスミスや問題文の指示違反などの初歩的ミスが多いです。見直しをしていないこと,集中力が切れていることが分かり,勉強に対する意欲の低さが伺えます。
なぜ意欲が低いのか?それは…
勉強の目的を見失っている
やる気ない答案3選は『答案を提出すること』自体が目的になってしまっています。勉強をして何がしたいのかという目的がないのです。勉強をして志望校に受かりたいとか、その学問を突き詰めて好奇心を満たしたいとか、勉強の先にある目的がなければ勉強に意味は見出せません。本来の目的を見失ってしまっています。
受け身の姿勢
学校の勉強とは別に通信教育を受講している以上,勉強への意欲は感じられます。問題は『誰』の意欲かということ。やる気のない子供は恐らく親に受講させられ,受け身のまま添削に臨んでいるのでしょう。やらされている勉強,形だけの勉強では身につくはずもないですね。
添削者としてアドバイスしていること
勉強の目的を見失い,受け身な姿勢ゆえに勉強しても身につかない子供たち。そんな子供には,勉強に対するハードルを下げることで少しでもやる気を持ってもらいたいと考えています。
自力にこだわり過ぎない
添削問題を始め,問題集やドリルなど,絶対に自力で解答しなきゃいけないと思い込まなくて良いと思います。 参考書片手に調べながら解答することも十分に勉強になります。絶対自力で!と思うと分からない問題が続いた時に気持ちが折れて躓きやすくなってしまいます。気持ちが折れるくらいなら,ガンガン調べて納得して解答していく方がよっぽど効率いいですよ。
復習に重きを置く
力試しをして全くできなかったからと言って落ち込む必要はありません。点数に捕らわれ落ち込んでばかりいないで,せっかく浮き彫りになった自分のウィークポイントを無駄にしないようにしっかり復習をしましょう。復習をして失敗・ミスを潰すことこそ実力アップへの近道です。
親としてできること
親の立場で子供に勉強のやる気をおこさせるにはどうしたらいいか考えてみました。
勉強の目的を一緒に考える
やはり目的がないことにはやる気はなかなか起きません。幼い子供なら新しいことを学ぶ楽しさを,中高生なら将来の夢や興味を持っていることに絡めて勉強の目的を一緒に考えられたら良いですね。親としてはなかなか難しい課題ですが…。
学習の流れを体得させる
実は,”勉強のやり方”を分かっていない子が多いです。
の流れを理解させましょう。それが分かっていないと答案を提出した時点で終わりだと思ってしまい,ウィークポイントがそのままになってしまいます。だからいつまでたっても同じ間違いを繰り返し,成績が上がりません。
読解力をつける
国語や英語などの文系科目の文章題が苦手なだけでなく,科目問わず設問の文の意図が読み取れない子が増えています。社会だろうと算数・数学だろうと,問題文をきちんと読み取れなければ正しく解答することなどできません。
国際化社会で生き抜くために英語学習の重要性が叫ばれていますが,日本語がきちんとできなければ英語を含め全ての教科の試験において実力を発揮することができないと思います。国語力・日本語力はあらゆる学問の基礎ですから,絵本の読み聞かせや読書の習慣を親がなるべく早い段階で取り入れた方が良いですね。
おわりに
やる気がある子の答案は一味違います。
・悩みながらも一生懸命導き出した答え
・疑問点を解消しようとする意欲
・目標に向かう能動的姿勢
が答案から感じられるんです。そしてやはり学力の伸びは目を見張るものがあります。
与えられた時間で成果を出さなきゃいけないのは仕事をしている大人も子供も一緒。どうせやるなら目標をもって能動的に!苦手を克服することで強みに変えること。大人も子供も伸びしろのある人間になりたいですね。