11.『マネキン』(1987年)
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マイケル・ゴットリーブ監督作品、アンドリュー・マッカーシーが主人公ジョナサンを、キム・キャトラルがヒロイン・エミーを演じたロマンティック・コメディ映画です。
キム・キャトラルといえば『セックス・アンド・ザ・シティ』のサマンサ役で有名ですが、本作では若き日の彼女をたっぷり眺めることができます。
芸術家志望で浮世離れした感覚を持つジョナサンと、マネキンに転生した古代エジプトの女性エミーの、人とモノの禁断の恋愛を軽妙なタッチで描いています。この映画のメッセージはジョナサンが冒頭で人間の恋人ロクシーに言う「現実はつまらないよ」というセリフに込められています。
現実の常識やプライドに振り回されず、「夢」の中に生きた方が楽しく幸せに生きていける。ラストまで観ればこの映画が、そんな楽観的な人生観に裏打ちされていることが理解できるはずです。
また本作は登場人物たちもとっても魅力的です。圧倒的な美しさとチャーミングな演技で観客を魅了するエミー、強烈なオネエキャラでジョナサンの同僚のハリウッド(メシャック・テイラー)、中二病気味のおじさん警備員フェリックスとそのヘタレの警備犬・ランボーなど、ずっと観ていたくなるキャラクターばかりです。
楽観的な世界観とこれらの登場人物が、本作を観ればきっと笑顔になれる幸せな映画にしています。
12.『僕のエリ/200歳の少女』(2008年)
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監督は本作で国際的評価を得たトーマス・アルフレッドソン、主演は少年オスカーのカーレ・ヘーデブラント、ヒロイン・エリはリーナ・レアンデションが演じています。吸血鬼の「少女」エリと、人間の少年・オスカーが不器用ながらも心を通わせ、恋に落ちていくという異色のラブストーリーです。
幼いラブストーリーなので基本的には心温まる映画ですが、同時にブラムス・トーカーの『吸血鬼ドラキュラ』を下敷きにした描写もしっかり盛り込まれており、吸血鬼映画としても高いクオリティに仕上がっています。
しかし本作の最も重要なメッセージは、宗准教授が「映倫(映画倫理委員会)の大失態」と呼ぶ作中の修正や、邦題に覆い隠されてしまっています。本作を観た後は、ぜひ何が「映倫の大失態」によって隠されているのか、それによってどんなメッセージが明らかになるのかを調べてみてください。きっと「映画の見方」が大きく変わるはずです。
生きるってどういうことだろう?
「生きるとは?」という疑問は誰もが一度は抱いたことがあるはずです。それは人間ならではの悲哀かもしれません。優しさや誠実さ、あるいは「夢」なのかもしれません。以下で紹介する6本はそうした人生の重要な疑問について映画の登場人物たちと一緒に考えられる作品群です。
13.『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』(1985年)
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森崎東監督作品、主演・倍賞美津子。「校内暴力」「未成年の妊娠・中絶」「コザ暴動」「原発ジプシー」「フィリピン人の出稼ぎ者の労働問題」「原発内の劣悪な労働環境」。当時タイムリーだったであろう社会問題を、貧困層の人々の視点からこれでもかと言うほどてんこ盛りで観せてくれる映画です。
一般的には「喜劇映画」とされていますが、喜劇と呼ぶにはハードすぎる現実が作中では描かれています。原田芳雄演じる宮里は原子力発電所の定期検査に携わる「原発ジプシー」として命を削り、平田満演じる野呂先生は校内暴力に巻き込まれて職を失い、全国を行脚するヌードダンサーであるバーバラ(倍賞美津子)は心のどこかにいつも孤独を抱えています。
しかし登場人物たちはそんな厳しく悲しい現実に直面しながらも、「あふれる情熱、みなぎる若さ、共同一致団結、ファイトー!」と叫びながら明るく前に進もうとします。
落ち込んだ時やくじけそうな時に本作を観れば、きっと「もうちょっと頑張ろう」と思える、そんな映画です。
14.『素晴らしき哉、人生!』(1946年)
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3度もアカデミー監督賞を受賞したフランク・キャプラの監督作品で、主演はジェームズ・ステュアート。アメリカ映画協会(AFI)が選ぶ「感動の映画ベスト100」では1位に、同協会の「アメリカ映画ベスト100」では11位にランクインしているほか、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに大きな影響を与えたことでも知られる名作です。
ジェームズ・ステュアート演じる主人公ジョージ・ベイリーは勤勉な実業家で、当時まだ新しかった住宅ローンをビジネスとして成功させ、町の住民の信頼を得ていました。しかしあることがきっかけで彼は絶望的な状況に立たされます。「生まれてこなければよかった」と考えたベイリーが選んだ道は自殺でした。
そこに天使が現れ、「ジョージ・ベイリーが生まれなかった世界」を見せ、自分が世界にとってどれだけ大切な存在なのかを理解させようとします。
本作は映画論云々よりも、「生きるとは?」「人生とは?」というメッセージ性に重きを置いた作品です。確かに宗教色は強めですが、それを補って余りある普遍的な人生訓がこの作品には込められています。
15.『丹下左膳餘話 百万両の壺』
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山中貞雄監督作品、大河内伝次郎主演の時代劇映画です。もともと「丹下左膳」シリーズは伊東大介監督が担当していましたが、日活内部の事情で急遽山中監督が担当することになり、本作が誕生しました。
しかし山中監督が描いたのは強くて男らしい丹下左膳ではなく、原作者の林不忘が怒り出すほど弱々しく、女性の尻に敷かれている丹下左膳だったのです。しかしこれが観客には大ウケし、現代に至るまで名作として語り継がれています。
本作には「今の日本だったら、こうはいかないよなあ」と少し虚しくなるほど、優しい世界が描かれています。父無し子となった少年を拾ってくる丹下左膳と、この子供に「あんな子供追っ払ってよ!私が好きになるわけないじゃない!」などといって冷たく当たりながらも溺愛する喜代三演じるお藤はその代表的存在です。心が荒んだときに、ぜひとも観たい作品と言えるでしょう。
なお、本作は豊川悦治主演でリメイク版も製作されています。興味のある方はこちらも合わせて観てみてください。「人情時代劇もなかなかいいもんだな」とついつい呟いてしまうこと間違いなしです。
16.『いまを生きる』(1989年)
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ピーター・ウィアー監督作品、ロビン・ウィリアムズ主演のヒューマンドラマです。ロビン・ウィリアムズ演じる教師・キーティングは、母校であり由緒正しい進学校「ウェルトン校」に赴任し、自己流の教育を展開します。
これに刺激を受けた生徒たちは、初めは戸惑いながらも他の教師の退屈な授業にはない魅力を感じ、キーティングに師事するようになります。しかしそれが徐々に生徒たちの問題行動につながり、親や教師の間で問題になっていきます。
生徒たちの葛藤を大人の目線で観るのも本作の見方の一つですが、ぜひとも自分が生徒になった気持ちで本作を観ることをオススメします。キーティングの授業には「自由思想とは?」「自分の人生を生きるとは?」という、社会人にとっても重要な問いに対するヒントがたくさん盛り込まれているからです。
そうして生徒たちと一緒にキーティングに学べば、きっとラストは画面が見えないほど号泣することでしょう。もちろん筆者は号泣しました。
17.『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(1992年)
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『ビバリーヒルズ・コップ』のマーティン・ブレスト監督作品、アル・パチーノが主演したヒューマンドラマです。アル・パチーノ演じる盲目の退役軍人フランクは自身の未来に絶望し、ある計画を目論んでいました。
しかしあるとき心優しい青年・チャーリーと出会い、彼の誠実な生き方を通じて自分の人生を考え直し、新たな第一歩を踏み出していきます。生き方に迷ったとき、あるいは絶望したとき、この映画を観ればきっと次の一歩を踏み出す勇気をもらえるはずです。
本作は心温まる物語も魅力ですが、素晴らしい演技が見られます。そのほか焦点の合わない盲人の演技や、軍人然とした立ち居振る舞い、激昂した時の語気や表情、仕草など、どれをとっても完璧です。
それもそのはず、アル・パチーノは本作で第65回アカデミー賞主演男優賞、第50回ゴールデングローブ賞主演男優賞(ドラマ部門)を受賞しています。
18.『ガタカ』(1997年)
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アンドリュー・ニコル監督作品、役者には主人公ヴィンセントにイーサン・ホーク、恋人役アイリーンにユマ・サーマン、相棒役ジェロームにジュード・ロウを擁したSF映画です。
DNA技術が高度化され、生まれる前に遺伝子を操作して優秀な人間を産むのが当たり前の時代が舞台です。その世界で「不適正者」として生まれた主人公ヴィンセントには「宇宙飛行士になる」という夢がありました。
しかし宇宙飛行士は適正者の職業で、どんなに優秀でも不適正者は採用されません。そこで彼はDNAブローカーに依頼し、圧倒的に優秀な遺伝子を持ちながら脚の自由を失った男ジェロームと社会的に入れ替わることにします。
無事宇宙局「ガタカ」に入社したヴィンセントは、外部から全く気づかれないように、徹底的な対策を講じていましたが、ある事件をきっかけに歯車が狂い始めます。
本作の大テーマは「優秀な遺伝子か?たゆまぬ努力か?」です。私たちはついつい「自分には才能がない」「だから夢を諦める」と言い訳をします。しかしヴィンセントは「お前には無理だ」という周囲の忠告を無視して、ひたむきに夢を追います。その結果、彼は遺伝子では優秀な人たちよりも格段に高い実績を残していくのです。
本作のSF描写は非常に禁欲的で、派手なCGなどは一切ありません。そのため作品全体が静かな雰囲気に覆われています。しかしその根源にはこんなにもアツいテーマが込められているのです。自分の中で夢をくすぶらせている人には、きっと観て欲しい作品です。
「映画鑑賞力」を磨こう!
最後に紹介するのは複雑なメタファーをところどころに挟み込んで、重層的な鑑賞を要求してくる2本の作品です。表面的なストーリーを追うだけでなく、作品に込められた様々なメッセージを読み解く力をつけたい人には、もってこいの作品となっています。
19.『ミツバチのささやき』(1973年)
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寡作な監督として知られるビクトル・エリセ監督作品、アナ・トレント主演のスペイン映画です。舞台は内戦が終結した直後1940年のスペイン。小さな村に住む少女アナがアメリカのホラー映画『フランケンシュタイン』を観たことをきっかけに、少しずつ自我を目覚めさせ、「自分の意思で行動すること」を身につけていくまでを描いています。
本作は非常に静かな映画です。セリフも多くはなく、主人公が幼い少女なのでわかりやすい物語の解説もありません。初見では「いわゆるわかりにくいヨーロッパの映画」と思う人も多いでしょう。しかし実はあちこちに映像的、台詞的なヒントが隠されています。
それらを繋いでいくと前述したような少女の自我の目覚めを描いた物語が見えてくるのです。その頃には「映画観賞力」がアップしているはずです。意味がわからないうちは苦しいかもしれませんが、そんなときはとにかく可愛いヒロインのアナ・トレントに癒されましょう。
本作は1973国政に対する批判を微妙なメタファーで数多く組み込んだ作品としても知られています。これにはエリセ監督自身が1940年生まれのスペインバスク地方の生まれであることも、大いに関係しています。アナの物語を読解したあとは、そうした政治的なメッセージの解釈に挑戦してみても良いかもしれません。
20.『イージー・ライダー』(1969年)
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デニス・ホッパーが監督・脚本・出演、ピーター・フォンダが脚本・制作・出演を担当したロードムービーです。アメリカン・ニューシネマの代表作とされ、1998年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録されています。
本作は1960年代のアメリカ文化を活写した映画としても評価されていますが、その根源にあるテーマは「自由とは何か?」です。このテーマを念頭においていれば、なぜ主人公の2人が農夫の家で食事をご馳走になり、ヒッピーのコミューンで受け入れられた理由も理解しやすいのではないでしょうか。
あるいはなぜ立ち寄る町の人々からは忌み嫌われ、LSD(麻薬)に酔いしれて泣き叫ばなければならなかったのか、どうして「あのラスト」でなくてはならなかったのかも、理解できるはずです。見辛い映画かもしれませんが、ぜひその中に込められた自由についての深い洞察を読み取ってみてください。
また本作の魅力はピーター・フォンダのファッションやバイクのかっこよさ、ジミ・ヘンドリックスなどが参加したサウンドトラックにもあります。サウンドトラックは別途CDにもなっているので、気に入った場合は入手も可能です。
映画がもっと面白くなる20本
映画は面白い。これには映画好きなら誰もがうなずくはずです。ここに挙げた作品は、ただでさえ面白い映画をもっと面白くしてくれる魅力に溢れています。上から順番に観るもよし、テーマ別に観るもよし、ランダムに数字を選んでそれと同じ通し番号の作品を観てもよし。
便宜上4つのテーマに分けましたが、テーマをまたぐ名作揃いなので、どこからどうみても楽しめるはずです。自分なりの楽しみ方で、この最強リストを使い倒してください。
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