村瀬信也
2017年2月7日05時10分
将棋ソフトによる不正疑惑は後にその証拠がなかったと判明し、日本将棋連盟の会長辞任につながった。6日、新会長が誕生したが、棋士の間には連盟の判断をめぐり不満の声が今も根強く残る。連盟はなぜ処分を急いだのか。これまでの説明や第三者調査委員会の報告書から経緯をたどる。
3日後に開幕が迫った竜王戦七番勝負(読売新聞社主催)の挑戦者が交代する――。連盟が前代未聞の発表をしたのは昨年10月12日のことだった。
三浦弘行九段(42)は9月、竜王戦の挑戦者になった。しかし、7月に久保利明九段(41)が、10月に渡辺明竜王(32)が三浦九段の不正の疑いを指摘。連盟は同12日、三浦九段に昨年末までの出場停止処分を科した。この結果、渡辺竜王に勝てば優勝賞金4千万超を獲得できた竜王戦に出場できなかった。
記者会見での執行部の説明は、当初から歯切れが悪かった。不正行為の直接証拠をつかんでいなかったためだ。それでも処分を決断したのは、「竜王戦の開幕直後、不正疑惑が週刊文春で報道される」という情報を得ていたからだった。
連盟が委嘱した第三者調査委員…
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