中国造船業、高付加価値船舶まで侵食

中国造船業、高付加価値船舶まで侵食

 インドの海運会社バルン・シッピングは昨年7月、液化天然ガス(LNG)を運ぶ超大型タンカー(VLGC)6隻、金額にして4億2000万ドル規模の発注を行った。全世界の造船所が受注不振にあえぐ中、まとまった量の発注だったため、韓国から現代重工業と大宇造船海洋が受注競争に参入した。業界ではガスタンカーの技術に優れた韓国勢の一騎打ちを予想する声が大勢だった。しかし、業界誌「トレードウインズ」はこのほど、最終的に受注したのは後から参戦した中国の江南造船だった。

 業界関係者は「バルン・シッピングが金融保証を造船所側に一任してもらいたいといった条件を付け、韓国の造船所が受注を断念したと聞いている」と話した。その上で、「中国政府は発注元に保証を行ったり、建造費用の一部を貸し付けたりして金融支援を行ってきた。世界貿易機関(WTO)のルールに違反しているのではないかと論議を呼ぶ部分がある」と指摘した。

■高付加価値船舶に進出する中国

 中国の中船黄埔文冲船舶は先週、アイスランド海運大手のエイムスキップから2200TEU(20フィート標準コンテナ換算)クラスの耐氷コンテナ船3隻を受注した。極地を航行する耐氷コンテナ船はヒーターや凍結防止システムが必要で、高付加価値船舶に含まれる。金海重工は昨年末、ギリシャの船会社から30万DWT(載貨重量トン)クラスの超大型タンカー(VLCC)2隻を受注した。

 韓国造船業は2007年以降、受注残高では中国に次ぐ2位に転落したが、それでも「世界最高の造船大国」というタイトルを維持してきた。技術力の面で中国を一歩リードしていたからだ。しかし、受注不振が続く中、韓国造船業がこれまで固有の領域と考え、中国造船業が容易には追い付けないとみていたガスタンカー、VLCC、海洋プラントなどの高付加価値船舶市場で中国に脅かされる状況となっている。

 造船・海運業界の市場調査機関、クラークソンによると、滬東中華造船は10年以降、LNGタンカーを相次いで受注し、同分野で6位まで浮上した。15年には韓国、日本と並び、世界最大規模の2万TEU級のコンテナ船受注にも成功した。VLGCもまだ受注実績こそ多くはないが、10年に市場に参入し、韓国を追い上げている。

全洙竜(チョン・スヨン)記者
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