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【高橋昌之のとっておき】
中国の「アパホテル攻撃」は日本の言論の自由に対する挑戦 歴史問題で不当な圧力に屈してはならない
中国政府のアパホテルに対する“攻撃”もこれに通じるところがあります。「南京大虐殺」に関する自らの歴史観を国内で維持するために、他国の民間の言論にまで口を出し、手も出すというのは、国家として常軌を逸しています。
しかし、全国紙でこの問題を継続的に報道しているのは産経新聞だけです。朝日、毎日、読売の各紙は1月25日付の紙面で、24日の中国国家観光局報道官の記者会見を伝えたにすぎません。産経は1面トップで報じましたが、読売は国際面、朝日、毎日は社会面、とくに朝日はミニニュースという扱いでした。トランプ大統領による入国禁止問題に対しては、各紙とも1面トップで報道し、社説で厳しく批判しているにもかかわらずです。事の大小の差はあるにしても、中国の言動に対する危機感が不足していると言えるのではないでしょうか。
中国は「南京大虐殺」について、関連資料を記憶遺産とするよう国連教育科学文化機関(ユネスコ)に申請し、2015年10月9日に登録されました。日本政府は即日、「資料は中国側の一方的な主張に基づいており、真正性や完全性に問題があることは明らかだ」などと抗議しましたが、遅きに失した感は否めません。
このように中国は歴史問題で日本に対する攻勢を強めています。日本は歴史を直視しなければなりませんが、そのためには客観的な事実に基づき自由に議論していくことが必要で、他国の圧力に屈して自虐的になればいいというものではありません。今回の中国による「アパホテル攻撃」の問題は改めて、その姿勢を堅持することの重要さを突きつけていると思います。
(編集委員)
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