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業務委託契約がすぐわかる!フリーランスにとってのメリットから契約書の書き方まで

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エンジニアがフリーランスとして企業から仕事を受注する際は、「業務委託契約」を結ぶのが一般的です。

けれども、業務委託契約がどういうものなのかをきちんと理解している人はあまり多くないのではないでしょうか。

実は、業務委託契約にはいくつかの種類があり、詳しく確認しないまま契約すると、想定していた以上の負担になったり、ときには思わぬ責任を問われたりすることもあります。

そんなトラブルを避けるためにも、業務委託契約の基本から実際の契約書の注意点まで、ここでしっかりとおさらいしておきましょう。

<目次>
■まずは業務委託契約の基本を知ろう
■業務委託契約を結ぶための準備をしよう
■業務委託契約書の主な項目
■疑問や不安があるならば相談を

※この記事は2016年8月時点での情報をもとに作成しています
 

まずは業務委託契約の基本を知ろう

業務委託契約のメリット


フリーランスが企業と業務委託契約を締結する場合、フリーランスと企業は雇用関係ではなく、ビジネス上の取引関係となります。

このような業務委託契約を交わすメリットは、企業とフリーランスの双方にあります。

企業が自分と契約することでどんなメリットを感じているか知ることも重要なので、両者のメリットを以下にまとめてみました。

 
<業務委託契約のメリット>
   
企業 ・人材育成の手間なく専門スキルを持ったエンジニアを確保できる
・アウトソーシングを活用することで社内の人的リソースを最適化できる
フリーランスの個人 ・保有しているスキルや業務の内容次第で高収入が期待できる
・時間の自由度が比較的高い
・上司部下の関係がなく、人間関係のストレスがない
 
請負契約と委任契約


業務委託契約は実は法律上定められた契約類型ではなく、民法上は「請負契約」と「委任契約」の2つに大別されています。両者の大きな違いのひとつは、仕事の完成義務があるかという点があげられます。

まず、請負契約には仕事を完成させる義務があります。たとえばシステムを構築し、納品する契約において、仕上がったシステムに欠陥があったり、当初から期待されているクオリティを満たしていなかったりすれば、仕事を完成したと認められない可能性があります。

その場合、仕事を請け負ったエンジニアは完成されたシステムを構築し、納品するまで義務を果たしたことになりません。

一方、委任契約には、仕事の完成義務がありません。

といっても、当然、いい加減にやっていいということではなく、専門家として業務の委任を受けているため、委任された業務について専門家としての必要とされる注意義務を負い、その注意義務に違反することがあれば、何らかの責任を追及されることになります。

ちなみに、委任契約には「準委任契約」が含まれます。法律行為に関する内容を委任する場合が委任契約、それ以外が準委任契約になります。

法律行為に関する内容の委任については弁護士等の資格を有する方しか受けることができないため、エンジニアが受ける仕事で委任契約である場合は準委任契約になります

 
<契約の種類>
   
請負契約 仕事の完成義務を負い、納品物に対して報酬が支払われる
委任契約 仕事の完成義務を負わない(仕事内容は法律行為に関するもの)
準委任契約 仕事の完成義務を負わない(仕事内容は法律行為に関するもの以外)
派遣契約 マニュアル化された仕事のみを行う
 

業務委託契約を結ぶための準備をしよう

どのような業務委託契約を目指すのか


業務委託契約のメリットについては前項で紹介しましたが、実際に契約書を交わすとなると、どのような内容を目指すかを考えておく必要があります。

当然、フリーランス側からすれば少しでも有利な契約にしたいわけですが、その点については企業側も同じ。

そこで、ここでは企業側、フリーランスの個人側の双方で、望ましい契約ポイントを挙げておきます。

 
<企業とフリーランスの望ましい契約のポイント>
   
企業 ・委託料の支払い日を可能な限り遅めに設定する
・報告義務や機密保持義務を明文化することでリスクを減らす
・所有権や著作権など、業務中の権利の有無をあらかじめ決めておくことでトラブルを防ぐ
フリーランスの個人 ・委託料の支払時期を可能な限り早める
・委託業務内容を明記し、委託業務外の業務を依頼されないようにする
・交通費などの諸費用を企業に負担してもらうような取り決めをする
・報酬の支払いに関する遅延損害金の項目を明記する
 

この内容を見ると、時には両者の思惑がぶつかる可能性があることがわかります。

ただ、契約というのは一種の“駆け引き” という側面はありますが、大切なのは両者がWin-Winの関係になることです。

当然、妥協しなければいけないこともあるでしょう。企業側が望むポイントを知ることで、着地点を探るための材料としてお役立てください。

 
業務委託契約の大まかな流れ


業務委託契約の流れは、おおよそ以下のようになっています。

①契約内容の取り決め、話し合い
②契約書の作成
③契約書の内容を確認し、必要に応じて契約内容を微調整
④業務委託契約書の製本

ここで重要になってくるのは、①の「契約内容の取り決め、話し合い」です。業務内容、報酬、業務期間などの基本事項はもちろん、進捗報告や情報管理といった細かい部分についてもここでしっかりと話し合い、決めておくことが重要です。

この時点でしっかりと意思疎通ができていれば、③での変更はほとんどないはずなので、実質的には①②④の流れだと思っておけばいいでしょう。

また、もし企業側で契約書のテンプレートのようなものがあらかじめ用意されている場合は②③④となり、③で契約書を確認する際に詳細な取り決めを調整するというケースも考えられます。
 

収入印紙の役割と金額


契約書の内容については次の項で詳しく解説しますが、ここでは④の製本時に必要となる収入印紙について触れておきます。

契約書は通常、同じものを2通作成し、企業とフリーランスの個人が1通ずつ保管しますが、その際、請負契約では収入印紙の貼付が義務付けられています。

製本時には、収入印紙やページのつなぎ目部分に割印を押し、契約書の差し替えができないようにするのが通例です。

収入印紙がなぜ必要なのかというと、業務委託契約書は記載金額が1万円を超えると、国が定める「課税文書」となり、印紙税の納税義務が発生するからです。

収入印紙は、通常は契約書の作成者が負担するのが通例ですが、費用を折半することもあります。企業の慣習やルールもあるため、ケースバイケースだと思っておくといいでしょう。

気になる印紙税額ですが、定期的に見直されるため、業務委託契約書を交わす際には必ず確認するようにしましょう。印紙税額一覧は国税庁のホームページで確認できます。

・印紙税額(PDF)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran.pdf

フリーランスのエンジニアに関係するのは、この中の「2号」にある「請負に関する契約書」と「7号」にある「継続的取引の基本となる契約書」です。両者は、契約期間の長さによって分類され、印紙税額が違うので注意が必要です。 

 
   
2号文書 契約期間が3ヶ月以内で更新に関する取り決めがない場合
契約金額の記載がなければ200円、記載があれば記載金額に応じて200円~60万円の印紙を貼付
7号文書 契約期間が3ヶ月以上の場合は継続的取引と見なされ
一律で4000円分の収入印紙を貼付
 

業務委託契約書の主な項目

業務委託契約書の基本的な書式


業務委託契約の基本的な知識や大まかな流れについて理解したところで、業務委託契約書に盛り込まれる実際の内容について紹介します。

契約書の名称は「業務委託契約書」で問題ありませんが、より具体的に案件名や担当する業務内容を記載することもあります。とくに決まりはないので、クライアント企業と協議して決めるといいでしょう。

基本的な書式としては、「委託者○○○(以下「甲」という。)と受託者△△△(以下「乙」という。)は、以下のとおり業務委託契約を締結する。」といった文章で始まり、以降は各項目について詳細な取り決め内容を記載します。

最後に「本契約成立の事実を証して、本書を2通作成する。

甲乙それぞれ署名捺印のうえ各1通を保管する」といった一文を入れ、その下に署名捺印欄があるのが一般的です。
 

業務委託契約書の内容と書き方


では、各項目の具体的な内容について見ていきましょう。

・業務委託内容の記載
業務内容とその範囲を決めます。委託範囲外の業務を行うことを防ぐために、細かく具体的な内容を記載するといいでしょう。また、契約形態が委任契約か請負契約かという点についても確認しておきます。

・業務委託料、業務遂行時に発生した費用の負担
業務の報酬、支払い日、支払い方法などを記載します。また、業務中に発生した交通費や資料代などの諸費用をどちらが負担するかについても定めておきます。

・契約期間および契約更新について
契約開始日と終了日を記載します。契約更新がある場合は、延長される期間や自動更新する際の条件などについても記載しておきます。

・知的財産権の所在
業務遂行中、あるいは業務終了後に発生した所有権や著作権などの知的財産権をどちらが有するのかを記載します。

・受託者の報告義務および方法
フリーランスの個人が企業に対して業務の進捗状況を報告する義務について記載します。報告のタイミングや方法についてもここで定めます。

・機密保持義務
フリーランスの個人が業務遂行中に知り得た企業情報を第三者に漏らさないよう義務付けを記載します。また、これは一方向的な義務ではなく、フリーランスの個人情報についても、企業に機密保持義務があることを明記しましょう。

・損害賠償義務、損害金の支払い義務
納期の遅延や情報流出など、契約違反により相手に企業側を与えてしまった場合の賠償責任の範囲などを記載します。また、企業側が業務委託料の支払いを遅延した場合、法定利率内での利息を支払う義務を記載することもあります。

・契約解除、協議
契約違反となる行為があった場合に、契約を解除できるということ、さらにはその方法について記載します。また、契約書に記載されていない項目でトラブルが発生した場合には、話し合いで解決する旨等を記載します。


業務委託契約書の主な項目について説明してきましたが、上記以外では、納品方法や検収方法、もし客先での作業がある場合は詳細な場所や業務の時間なども決めておくといいでしょう。

インターネットで検索すると、業務委託契約書のひな型ファイルが数多く見つかるので、実際の契約前にダウンロードして予習しておくのもおすすめです。

自分で契約書をつくる必要に迫られたときも、ひな形ファイルがあれば文面作成の参考になります。

また、契約形態や業務内容、あるいは企業によっては、特殊な契約内容が入ってくることもあります。その際は柔軟な姿勢で話し合いに応じ、お互いに納得できる業務委託契約書の作成に努めましょう。
 

疑問や不安があるならば相談を


業務委託契約書というのは、細かい取り決めを行うものなので、どうしても面倒に思えてしまいます。

けれども、それはお互いにトラブルを避け、気持ち良く仕事をするために必要だからだということがご理解いただけたのではないでしょうか。

もしも契約内容に疑問点があるなら、きちんと確認することが重要なのです。

とはいえ、詳細な項目の中にはわかりにくいものもありますし、ときには法的な判断が必要になるケースもあります。

とくにこれからフリーランスになる方は、契約書に慣れていないため戸惑うことも多いでしょう。

不明な点や不安な点があれば、法的な判断については弁護士などの有資格者に、その他一般的な相談であれば、ぜひレバテックフリーランスへご相談ください。

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