蹴球探訪
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【首都スポ】五輪目指すスケボー美少女!! 西村碧莉「海外で活躍するプロに」2017年2月6日 紙面から
2020年東京五輪の追加種目になったスケートボードに、期待の美少女スケーターがいる。笑顔がキュートな15歳の西村碧莉(あおり)=東京都江戸川区出身。ストレートヘアにキャップをかぶって滑る姿が、男子顔負けで格好いい。遊びで始めたスケートボードで、「最初は戸惑いもあったけど、新たな目標ができた」と、19歳で迎える東京五輪を目指す。そして、その視線の先には、五輪代表を足掛かりにした壮大な夢もある。 (フリージャーナリスト・辛仁夏) ノリノリのアップテンポな音楽が流れるスケートパークでの練習で、男子に引けを取らない軽快なパフォーマンスを繰り出す。ザーッとボードを駆って、ポンとジャンプ、タンと着地を決める。技が決まると、一緒に滑る仲間のスケーターと言葉を交わし、爽やかな笑顔が広がった。 昨年10月に米国・ロサンゼルスで行われたストリートリーグ最終戦「スーパークラウン世界選手権(SLS)」。補欠から繰り上がった西村は、日本人女子として初出場を果たした。世界で8人しか出場できず、「これ以上ない大会」と本人が興奮するほどの世界最高峰のストリートコンテストだ。 最年少スケーターでアジア人初の登場に、大きな注目が集まったのは言うまでもない。「奇跡的に出場できてヤバイ状況でしたけど、楽しめました」という強心臓ぶりを発揮して、堂々の5位に入る大健闘を見せた。 「みんなが目指すSLSに出られてすごくうれしかったです。バスケットボール会場をスケートパークにして、周囲に観客席があって選手が技をするたびに『ウォー』と歓声が上がり、日本では絶対に味わえない感覚でした。選手もノリノリで会場のみんなが楽しんでいて、その舞台に出られた自分は幸せで楽しめました」 学生時代にスケートボードをやっていた父親から誘われ、小2で始めた。最初は動く板にきちんと乗れなかったが、乗り始めて半年ほどで乗れるようになったという。 「遊びでやってみないかと言われ、3姉妹同時に始めました。楽しそうだったのにやってみたらすごく難しかったんです。だけど、ちょっとした技ができるようになってきて、自分が乗れているという感覚がうれしくて楽しくて、どんどんはまっちゃった感じです」 本来は、街中の手すりや段差を使って技を繰り広げながら滑る遊びだが、いまはスケートパーク内に設定された「ストリート」セクション(障害物)を使って技の習得や練習に励んでいる。ボードを駆使しながら跳んだり滑り降りたりと、そのパフォーマンスにはけがのリスクがつきまとう。それでもボードに乗り続ける魅力について、こう語る。 「常に恐怖心がある中で、新しい技に挑戦して、それができたときの達成感はすごくうれしいです。大体の人が挫折する基本のトリック技で段差や手すりにジャンプして上がる『オーリー』という技ができたときのことはいまでも忘れられないです」 恐怖感をしのぐほどの達成感を得られるからこそ、打ち身や擦り傷から手首の骨折などの大けがまで経験しても、止められないのだろう。恐怖心に打ち勝てば、技の習得もレベルアップもできるから、やるしかない。 3月の中学卒業後は通信制の高校に入り、スケートボード活動に専念する。新たな一歩を踏み出す節目の今年は、積極的に海外遠征に出かけてトップスケーターとのセッションで実力を磨く覚悟でいる。 「スポンサーがつき、新たな目標に向かって自覚を持って100%の力を出してやっていきたい。そして、五輪出場を踏み台にして、スケートボードが盛んなロサンゼルスを拠点に海外で活躍できるプロスケーターになりたいです」 これが小学高学年から持っている夢だ。「遊びの延長線でやっているスケートボードで米国に家を建てて生活ができれば最高」と、希望に燃えている。 ◆姉・詞音「競い合える仲」 姉妹に聞く「2人で東京五輪出場」が合言葉の西村姉妹。碧莉から見た3歳上の姉・詞音(ことね)、姉から見た妹は? −お互いにとって、どんな存在? 碧莉「友達よりも高め合えて、ライバルとしてやれることがいいです」 詞音「一番近い存在なので競い合える仲ですね」 −東京五輪については? 碧莉「夢は姉妹で出場することです。お姉ちゃんには頑張ってけがから復帰してもらって、早く一緒に滑りたいです」 詞音「昨年2月に左膝の前十字靱帯(じんたい)を断裂して、6月の手術後は週1回病院に通いながらリハビリをしています。とりあえず、いまの目標は足を治して早く復帰して、オリンピックを目指します。姉妹で出ることに意味があると思うので、2人で一緒に頑張っていきたいですね」 −お互いの長所は? 詞音「自分にはない器用さがあって、細かい技も丁寧で、スタイルもあるし、形が誰よりも格好よくて着地もいいですね」 碧莉「詞音のすごいところは怖くてもとりあえずやってみる、自分にはない根性があるところです。何か新しい技に挑戦するとなったら、私よりも最初にやっています」 <西村詞音(にしむら・ことね)> 1998年(平成10)年11月29日生まれの18歳。東京都江戸川区出身。葛西南高3年。156センチ、47キロ。11歳でスケートボードを始める。今春の高校卒業後は「スケートボード一本に集中」するため、進学せずスケーター中心の生活に入る予定。全日本レディースは13年優勝、14年3位、15年2位。 <西村碧莉(にしむら・あおり)> 2001年(平成13)年7月31日生まれの15歳。158センチ、45キロ。松江第一中3年。8歳で姉たちと一緒にスケートボードを始める。全日本レディースで2014、15年と連覇。16年から本格的に海外転戦を始め、5月の米シアトルでの大会で2位となり、6月の「Xゲームズ」に初出場(8位)。10月にはスーパークラウン世界選手権に日本女子として初参戦し5位入賞、11月にはアジア選手権(上海)で優勝。両親、姉2人、弟の6人家族。 ◆ア・ラ・カルト◆▼15歳からスポンサー ムラサキスポーツをはじめ、オークリー、スケートボード関連ブランドの「SUPRA」「DEATHWISH」「SHAKE JUNT」からサポートを受ける。 ▼SKATE!! 長女・沙菜さん(20)、次女・詞音、三女・碧莉、長男・哲偉瑠(ている)くん(5)と、きょうだい4人の名前の頭文字をつなげると「SKATE」に!「最初の3人の『S・K・A』は偶然で、哲偉瑠が生まれる前にそれに気づいて、最初は『TE』で始まる名前にしようということになりました」(碧莉) ▼憧れのスケーター 「Moose(ムース)」ことルイス・デ・ロス・レイズ。「滑っている姿形が好きで一目ぼれです。自分もあんなスケートをしたい。ムースの滑りをまねながら自分のスタイルを出していきたい」と瞳がハートマークに。 ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」。トーチュウ紙面で連日展開中。 PR情報
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