【パリ=竹内康雄】4~5月のフランス大統領選に向け、主要候補者が4、5日にリヨンなどで集会を開き有権者に支持を訴えた。極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首は移民の抑制など144の政策を盛った公約を発表し、自国の利益を最優先に据える立場を鮮明にした。与党・社会党はアモン前国民教育相を正式に大統領選候補に選出した。
ルペン氏は4日、リヨン市で大統領選の公約を発表。公約は大統領選の勝利を見据え、より具体的な政策を並べた。フランスに流入する移民の数を大きく減らし、国内の不法移民を国外に送還する。ユーロ圏から離脱するほか、欧州連合(EU)にとどまるかを問う国民投票を実施する。
さらに5日の演説ではトランプ米大統領誕生や英国のEU離脱決定などを挙げ、「歴史の風向きは変わった」とボルテージを上げた。
中道系の独立候補、マクロン前経済産業デジタル相は4日、リヨンで8000人の支持者を前に女性の社会進出や欧州統合の重要性を訴えた。FNの「国民の名のもとに」というスローガンを取り上げ、「彼らは自分のためだけに動いている」と批判した。
政権与党の社会党は5日、1月29日の予備選で勝利したアモン氏を正式な大統領選候補に決めた。急進左派のメランション氏は同日、リヨンで会合を開いた。
家族への不正給与疑惑が浮上している中道右派、共和党のフィヨン元首相は目立った行動を取らなかった。AFP通信によると、同氏は大統領選は辞退しない意向で、近く今後の方針を説明する。
ただ直近の世論調査ではフィヨン氏について7割近くが「大統領選を続けるべきではない」と回答。別の調査では大統領選の第1回投票の順位はルペン氏、マクロン氏に続く3位に落ちており、上位2候補による決選投票に残れない可能性が出ている。