トランプ米大統領は5日、テレビインタビューで米国もプーチン大統領のロシアと変わらないと語ったことで共和党の有力議員から批判された。
トランプ氏はプーチン氏との関係を改善したいと述べた。プーチン氏は旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身で、20年近く前に権力を握って以来、野党の政治家や反体制派、ジャーナリストの殺害を命令したと非難されている。
■「我々がそれほど潔白だと思っているのか」
米FOXニュースのインタビューでビル・オライリー氏に「プーチン氏は人殺しだ」と詰め寄られると、トランプ氏はこう答えた。「人殺しはたくさんいる。我々にも多くの人殺しがいる。我々の国がそれほど潔白だと思っているのか」
米プロフットボールNFLの王座を決めるスーパーボウルの中継前にも放映されることになっていたこのインタビューは、何人かの共和党議員の反発を招いた。ネブラスカ州選出のベン・サス上院議員は、米ABCテレビの「ディス・ウイーク」で米国はプーチン氏のロシアのようでは「全くない」と語った。「世界の歴史上、最も自由が生きている国であるアメリカ合衆国と、プーチン氏の縁故主義を守っている人殺しの悪党との間に、道徳的な同等性は全く存在しない」と同氏は述べた。
ミッチ・マコネル共和党上院院内総務もトランプ氏に反発した。「私は米国は特別だと思っている。米国は違う」と米CNNテレビに語った。「我々はロシア人がするようなやり方では全く動いていない。全ての米国人に分かるはっきりした違いがあると思う。私は明らかに、この問題を彼と同じように見ていない」
マルコ・ルビオ上院議員は、こうツイートした。「民主党の政治活動家が共和党に毒を盛られた、あるいはその逆のことがあっただろうか。我々はプーチン氏と同じではない」
この一件は、昨年の米大統領選にロシア政府が介入したとされる問題を米議会が調査する中、トランプ政権にとって対ロシア政策が敏感な問題であり続けていることを浮き彫りにする。
トランプ氏に対する共和党の批判は今のところ数人の重鎮にとどまり、批判派が「謝罪行脚」と呼んだオバマ前大統領の外遊に対する攻撃ほどではない。2009年にはヘリテージ財団が、オバマ氏は米国の権力の「おごり」を非難するなどの発言で自分自身の国を「辱めた」と述べた。