住宅など5棟が全焼した火事=大分県別府市楠町で5日夜、住民提供
5日午後7時15分ごろ、大分県別府市楠町で「白い煙が出ている」と119番があり、地元消防によると民家など5棟が全焼し、2棟の一部が焼けた。火事は午後11時ごろ鎮火し、住民3人と連絡が取れず、県警が捜している。他に81歳の男性が逃げる際に足に軽傷を負い、95歳の男性が気分が悪くなって病院に運ばれた。
県警や消防などによると、連絡が取れなくなっているのは90歳前後の男性と80代とみられる夫婦。焼けたのは長屋を含む建物で、12世帯(男女計17人)が被災した。現場はJR別府駅の南東約800メートル。日中にあった別府大分毎日マラソンのコースとなった国道10号から西に約100メートル離れており、住宅や商店が密集している。
大分地方気象台によると当時、大分県沿岸には強風波浪注意報が出され、別府市の隣の大分市で午後8時39分に最大瞬間風速14メートルを観測した。
現場の近くに住む女性会社員(42)は「自分の家にも炎が迫っていた。風も強く炎が高さ10メートル以上まで上がっていた」と驚いた様子だった。
現場近くの二つの公民館には5日深夜、15世帯30人が避難していた。火事のあった長屋に住む松岡昌子さん(78)もその一人で「2階でテレビを見ていたら、こげくさい臭いがした。煙も入ってきて気分が悪くなり、1階に下りてドアから出ようとしたが開かなかった」と振り返った。ドアを手でたたいたところ、外からドアを蹴破った消防署員に救出されたといい「もう死ぬかもしれないと思った」とおびえた様子だった。【田畠広景、安部志帆子、大島透】