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同性パートナーも同じ墓に…新しい弔いの形を

LGBT研修で講師の榎本さん(奥)の話を聞く僧侶と職員ら=東京都中央区の證大寺・銀座道場で2017年1月31日午前10時41分、篠崎真理子撮影

「多様な性受け止めたい」

 同性のパートナー同士で一緒の墓に入りたい--。昨年再興400年を迎えた東京都江戸川区の證大(しょうだい)寺が、こうした願いに応えていこうと性的少数者(LGBTなど)に寄り添う寺づくりを進めている。寺を挙げて僧侶のLGBT研修なども始めており、当事者から「寺院業界は体質が古いイメージがあるので、多様な性を受け止めようという取り組みはインパクトがあり、とても勇気づけられる」と期待の声が上がっている。

     證大寺ではこれまで、永代供養墓を除き非親族同士の埋葬を断ってきた。しかしここ数年、友人や内縁関係でも同じ墓に入りたいという希望が寄せられるようになってきた。

     「今まで断ってきた中にはLGBTの人たちもいたかもしれない」。井上城治住職(43)は、寺が新しい弔いの形に対応できていないと自覚し昨年10月、千葉、埼玉両県で運営する霊園の一角に、従来の制限を外した墓「&(安堵(あんど))」を整備した。「家」の墓ではなく、守っていく子孫がいないことも考えられるため、死後一定期間たつと永代供養墓に合葬する契約だ。

     こうした取り組みを通じて「寺は本来、だれもが集いやすい場でなくてはならない」(井上住職)との意識が僧侶や職員の間に広がり、LGBTの抱える課題に真摯(しんし)に向き合おうと決めた。

     1月末に開いた内部研修会には僧侶7人と職員11人が参加。講師は、企業のLGBT研修などを手掛ける「レティビー」(東京都千代田区)の榎本悠里香社長(27)が務めた。

     自身もレズビアンであることをオープンにして活動している榎本さんは、以前に結婚式場のスタッフから「同性婚を認めれば、動物や物とも結婚できるのかと、際限がなくなるのでは」と言われ傷付いた経験などを語った上で「LGBTといっても、どうしたいのかは一人一人異なる。その人が求めていることに寄り添った対応を」とアドバイスした。

     今月9日にも中高年のLGBT当事者数人を招き、僧侶らとの意見交換を行う予定だ。同寺広報担当の船井隆作さん(43)は「保守的な存在の寺が、全体でLGBT対応や意識改善に取り組むのは全国的に見て珍しいはず。老いや死を見据えたLGBTならではの『終活』相談にも応えられるよう学びたい」と話す。【篠崎真理子】

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