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日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?
【第1回】 2017年2月1日
著者・コラム紹介バックナンバー
村上尚己

「トランプ相場」は“教科書どおりの現象”だ
日本の経済メディアが流す「過剰な悲観論」にダマされるな!!

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経済メディアは
「デマに等しい情報」を流していた

マーケットが反転の動きを見せたのは、翌11月10日午前のこと。ドル円相場は再び円安方向に動き、すぐさま株価も回復をはじめた。トランプショックを予言していたアナリストたちは、世の中の人々の頭に浮かんだ巨大な疑問符を打ち消すかのように、「一時的な逆行現象に過ぎない!」「1ドル100円割れも間近だ!」と声高に叫び、マスメディアもそれを後押しする報道を続けた。

みなさんのなかには、こうした情報に乗せられて日本株や米ドルを手放してしまった人もいるかもしれない。しかし、1000円下げた株価はすぐに元に戻ったかと思うと、12月にはやすやすと1万9000円台に乗せ、年初来最高値を記録した。その後の約2ヵ月半、現在に至るまで、円安のトレンドはいまだに続いている。メディアが垂れ流した「トランプショック言説」に流されたのを悔やんでいる人は決して少なくないだろう。

まともな思考力を持った方であれば、もはや少しずつ気づきはじめているはずだ。「トランプが大統領になれば、政治だけでなく経済もメチャクチャになる」といった日本国内の報道それ自体が、いかにメチャクチャなものだったかということに……。

もちろん、トランプ氏の過激な発言や政治的信条が、多くの人にとってかなり受け入れがたい印象を与えるものだったことはたしかだろう。しかしその結果、国内の経済メディアでは、マネーの基本的な原理・原則から乖離したデマが垂れ流されることになったと言わざるを得ないのである。

しかも、この問題は根深い

トランプショック報道は、日本の経済メディアの歪みがわかりやすく現れた一例でしかなく、似たような歪曲はこれまでも至るところに見られるからだ。われわれマーケットのプロからすれば、「なぜこんなとんでもない情報が真実であるかのように報道されているのか」と驚いてしまうような経済ニュースが世の中にはあふれている。

さらに深刻なのは、メディアが拡散する歪んだ経済ニュースは、投資家にとってだけでなく、日々の経済活動に参加するありとあらゆる日本人にとっても有害だということだ。

 「日本はもう豊かだ」「もう右肩上がりの成長はいらない」――メディアが広めるこの種の言説が、日本人をますます貧乏にしている。たとえば下図のように、日本人の賃金が他国と比較しても圧倒的に伸び悩んでいるという事実を、そもそも知らないという人も多いだろう。本連載および私の最新刊『日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?』の目的の一つは、みなさんにこの「歪み」に気づいていただくことにある。

各国賃金の推移
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村上尚己(むらかみ・なおき)

アライアンス・バーンスタイン株式会社 マーケット・ストラテジスト
1971年生まれ、仙台市で育つ。1994年、東京大学経済学部を卒業後、第一生命保険に入社。その後、日本経済研究センターに出向し、エコノミストとしてのキャリアを歩みはじめる。
第一生命経済研究所、BNPパリバ証券を経て、2003年よりゴールドマン・サックス証券シニア・エコノミスト。2008年よりマネックス証券チーフ・エコノミストとして活躍したのち、2014年より現職。独自の計量モデルを駆使した経済予測分析に基づき、投資家の視点で財政金融政策・金融市場の分析を行っている。
著書に『日本人はなぜ貧乏になったか?』(KADOKAWA)、『「円安大転換」後の日本経済』(光文社新書)などがあるほか、共著に『アベノミクスは進化する―金融岩石理論を問う』(原田泰・片岡剛士・吉松崇[編著]、中央経済社)がある。また、東洋経済オンラインにて「インフレが日本を救う」を連載中。


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