東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 国際 > 紙面から > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【国際】

入国禁止令、全米で差し止め命じる 大統領側は「合法」

 【ニューヨーク=北島忠輔】ロイター通信などによると、イスラム圏七カ国からの入国を禁止する米大統領令が憲法に違反するとして西部ワシントン州などが差し止めを求めていた訴訟で、同州シアトルの連邦地裁は三日、全米で大統領令の一時差し止めを命じる決定を出した。

 決定は全米で効力を持ち、入国管理当局は航空各社に、適正な査証(ビザ)を持っている人の搭乗を認めるよう通知した。一方、スパイサー米大統領報道官は三日夜に声明を出し、「大統領令は合法で適切だ」と正当性を主張。さらに、司法省が差し止め命令の執行停止を直ちに求める方針を示した。

 同地裁は「州側が大統領令によって取り返しのつかない損害が発生することを立証した」と指摘。大統領令の違憲性などについて最終判断するまでの間、暫定的に差し止めるよう命じた。米メディアは「決定は州政府側が違憲判断を勝ち取る可能性を示した」と伝えている。

 訴訟は一月三十日にワシントン州が提訴。ミネソタ州も原告に加わっていた。州側は「大統領令は、出身国や宗教に基づいた実質的な差別をするよう州政府に義務付ける内容で、合衆国憲法に違反している」と主張していた。

 一方、連邦政府側は「大統領は国土安全保障と移民の入国について決める権限を持っている」と主張。さらに「州政府は大統領令の差し止めを求める立場にない」と反論していたが、同地裁は退けた。

 大統領令をめぐっては、ニューヨークなど複数の連邦地裁が強制送還など一部措置の停止を命令した。今回の決定は、大統領令全体の一時差し止めに踏み込んだ。大統領令はトランプ氏が二十七日に署名した後、十五州と首都ワシントンの司法長官が「憲法違反だ」と共同声明を出して撤回を要求。マサチューセッツ州やバージニア州も差し止めを求めて提訴した。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】

PR情報