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【社会】

妊娠中の退職扱い無効 地裁立川支部「合意の立証が不十分」

 東京都多摩市の建築測量会社に勤務していた女性(31)が、妊娠中に勝手に退職扱いされたのは合意がなく不当だとして地位確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁立川支部は請求を認めた。一月三十一日付。未払い賃金など約二百五十万円の支払いも命じた。

 荒木精一裁判官は「自由な意思に基づいて退職したかについての会社側の立証が尽くされておらず、認められない」と述べた。

 妊娠による降格が問題となった訴訟では最高裁が二〇一四年、降格を原則禁止し「女性が自由意思で同意しているか、業務上の必要性など特殊事情がなければ違法で無効だ」との判断を示した。

 原告代理人の増田崇弁護士は今回の判決を「妊娠中の女性を退職に追い込んでも、合意があったと会社側が説明できなければ無効となる可能性がある。波及する範囲は広い」と評価した。

 判決などによると、女性は一五年一月に妊娠が判明。相談した上司に「現場の業務は難しい」と、関連の派遣会社で働くよう指示されて登録をした。六月になって元の会社から「退職扱いになっている」と連絡を受けた。

 荒木裁判官は判決理由で「妊娠中の退職の合意があったかについては、慎重な判断が必要」とした上で、原告の女性について「会社側から具体的な説明がされておらず、会社に残るか、退職して派遣登録するかを検討するための情報がなかった。自由な意思に基づく選択があったとは言い難い」として、合意があったとする会社側の主張を退けた。

 

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