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企業が求めるTOEICスコアのボーダーライン

プレジデント 2/5(日) 11:15配信

■企業が求めるTOEICの点数は

 市場のグローバル化に伴い、英会話能力や「TOEIC600点以上」などスコアの獲得を求められるケースが増えている。勉強法に悩む読者も多いだろう。

 そこで今回は、TOEICのスコアを100点以上伸ばすことに成功した男女500人にアンケートを実施。さらに、本調査で「信頼している著者」ナンバーワンとなった中村澄子氏に話を聞いた。

 最初に見えてきたのは、肝心な目標スコアのズレである。

 「ここ1~2年で、求められるTOEICのスコアは急激に上がっています。大企業の一般的なボーダーラインは730点ですが、楽天やソフトバンクのように800点とする企業も。また、中小企業でもM&AやTOBで突然外資になるケースもあります。リストラの心配なく、やりがいのある仕事に挑戦したいなら、安全圏は企業が提示するスコア+50点。800点と考えましょう」(中村氏)

 いざリストラとなったとき、「仕事ができない人はクビ」と言うより、「TOEICのスコアが足りない人はクビ」と決めたほうが、人事としても気が楽だ。さらに、転職組や新卒者に関しては、社員よりもボーダーラインが高く設定される場合が多い。すでに700点以上獲得している人も、油断は禁物といえるだろう。

 とはいえ、「自分には無理だ」と絶望する必要はない。アンケート結果を見ると、「学習期間は1年未満」という人が半数を超え、「3カ月~半年未満」という人も1割近くいる。中村氏も、短期間の大幅な得点アップに関しては「十分可能」と言い切る。

 「大手通信会社の女性は、私の教室に通って3カ月、2回の受験で390点から890点になりました。無受験から1回で900点を出した主婦の方もいます。教室に通わなくても、半年程度しっかり勉強時間をとれば、800点も夢ではないでしょう。ただし、やり方さえ間違えなければ」

■どのくらい勉強すればいいのか

 カギとなるのは、勉強をはじめる前の「情報収集」だという。情報収集というとネット検索しがちだが、ネットには我流のTOEIC攻略法を掲げる人や、オタク的に得点アップを狙う人の情報があふれている。それらは「仕事のためにスコアを上げたい」というビジネスマン向きではない。

 「口コミ情報がおすすめです。まわりで本当にスコアを上げた人を探して話を聞き、勉強法やテキストを参考にするのが確実です。また、大手の書店に行き、自分に合ったテキストを探すのも必要な時間」(中村氏)

 勉強に取り組む前の「準備段階」に時間をかけることが、結局は得点アップへの近道になるようだ。では、具体的にはどの程度勉強すればいいのか。アンケートでは「1日の勉強時間は1時間未満」という人が半数を超えたが、中村氏の意見は少し違う。

 「正直、1日1時間では勉強不足。通勤の往復2時間と、家に帰ってからの1時間。合計3時間が平日に必要な勉強時間です。休日も1日3時間は勉強時間をとりましょう。『仕事が忙しいから週末まとめて勉強する』という人もいますが、特にリスニングとリーディングは筋トレや楽器の練習と同じ。英語に触れない日をつくると、なかなか上達していかないんです」

 短期間での得点アップを狙うためにも、日々の生活リズムに勉強時間を取り込む工夫が必要だろう。

 そして2016年5月にはTOEICの出題形式に10年ぶりの変更があった。

 「前回の改編のときも、最初の1年は試験内容が不安定でした。当然、市販のテキストもあまり洗練された内容ではありません。企業のIPテストなら現状の出題形式が1年間続くので、スコアを上げるならそちらが狙い目です」(同)

■TOEIC100点アップする人はどのくらい勉強しているのか

 ※本調査は仕事をしている20歳以上の有職者で、TOEICの点数が100点以上伸びた男女500人(男380人、女120人)にインターネット調査したものです(調査期間:2016年1月15~21日)。

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中村澄子
本調査で「信頼している著者」ナンバーワン。エール大学でMBA(経営学修士)を取得。東京・八重洲でTOEIC対策を指導する教室「すみれ塾」を主宰。著書にシリーズ累計80 万部超の『1日1分レッスン!  新TOEIC TEST 千本ノック! 』ほか、2月新刊『時間がない人ほど上達する英語勉強法』など著書多数。
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大高志帆=文 山本祐之=撮影 アイブリッジ=アンケート調査協力

最終更新:2/5(日) 11:15

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