仏大統領選 極右政党党首が決起集会 自国最優先に

仏大統領選 極右政党党首が決起集会 自国最優先に
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ことし春に行われるフランスの大統領選挙に向けて、有力候補の1人の極右政党・国民戦線のルペン党首が決起集会を開き、アメリカのトランプ政権の発足やイギリスのEU=ヨーロッパ連合からの離脱の決定などを踏まえ、フランスも自国の利益を最優先にすべきだという立場を鮮明に打ち出しました。
ことし4月から5月にかけて行われるフランスの大統領選挙に向けて、国民戦線はこの週末、南東部のリヨンで集会を開き、5日にはルペン党首が演説しました。

ルペン党首は「この選挙戦はフランスが主権を取り戻す闘いだ。イギリスやアメリカなどで愛国的な市民が目覚めている。私も勝利を確信している」と述べ、アメリカのトランプ政権の発足やイギリスのEU離脱の決定などを踏まえ、フランスも自国の利益を最優先するべきだと訴えました。

集会に合わせ発表した選挙公約では、憲法に自国民の利益を優先すると明記する憲法改正を目指すほか、通貨や国境管理などについてEUから国の主権を取り戻す交渉を行い、その後、EUにとどまるかどうかを問う国民投票を行うとしています。

国民戦線は以前、人種や宗教による差別的な主張を展開していましたが、現在のルペン党首のもとでは共和国の理念を前面に掲げ、移民の受け入れの規制や自国の経済の保護を訴えるようになっています。

大統領選挙に向けた最新の世論調査では、当初最有力とされた中道右派のフィヨン氏が家族のスキャンダルで支持率が落ち込み、ルペン氏が首位に立っていて、それを中道のマクロン氏と中道左派のアモン氏が追う構図となっています。

フランスの大統領選挙は、1回目の投票で過半数を獲得する候補者がいなければ上位2人による決選投票が行われることになっており、今後各候補者の間でしれつな争いが繰り広げられます。

国民戦線の選挙公約

ルペン党首が発表した選挙公約は、フランスの「自由」や「安全」、「繁栄」などを主要なテーマに据え、EU=ヨーロッパ連合にとどまるかどうかを問う国民投票の実施や、移民や難民の受け入れの制限、フランス経済の保護などを重視する姿勢を打ち出しています。

このうちEUとの関係については、通貨・立法・国境管理・経済の4つの分野について「国の主権」を取り戻すよう交渉を行い、大統領就任の半年後にEUにとどまるかどうかを問う国民投票を行うとしています。

次に、自国の国境管理を復活させて移民や難民の受け入れを制限し、不法入国者は理由にかかわらず、国外に退去させるとしています。戦争や迫害から逃れた難民についても、フランスへの入国前にそれぞれの国にあるフランス大使館などに申請することを義務づけるとしています。

さらに、両親の国籍を問わず国内で生まれた子どもには自動的に国籍を与えてきた従来の制度を廃止し、これまでより厳しい条件を満たさなければ国籍を取得できないようにするとしています。

また、相次ぐテロなどを受けて、警察官は1万5000人、兵士は5万人、それぞれ大幅に増員し、治安の確保に努めるとしています。

経済面では、自国の企業や労働者を守るため、公共事業を受注できるのは原則としてフランス企業に限り、企業が外国人を雇用した場合には税金を課すとしています。

さらに、外国からの輸入品にも新たに関税を課し、それを財源に低所得者や年金生活者の購買力を引き上げるための手当てを導入するなど、自国民の暮らしを守る姿勢を前面に打ち出しています。

主要候補者は4人

フランスの大統領選挙に立候補している主な候補者は、次の4人です。

サルコジ前政権で首相を務め、当初最有力とされていた中道右派の共和党のフランソワ・フィヨン氏。しかし、最近は家族の金銭スキャンダルが浮上し、支持率が急速に落ち込んでいます。

そして、極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首。今ではフィヨン氏を抜いて支持率で首位に立っています。

それを追うのが、オランド政権で前の経済相を務め、新たに中道の政治運動を立ち上げたエマニュエル・マクロン氏。

そして、中道左派の与党・社会党で前の教育相のブノワ・アモン氏です。

今月4日に発表された世論調査の支持率では、ルペン党首が25%とトップで、次いでマクロン氏が21から22%、フィヨン氏が18から20%、アモン氏が16から17%となっています。