近くにコストコがあるんで、たまに家族で買い物に行きます。
今日も家族で行ってきたんですけど、相変わらず人が多くて、フードコートには行列ができていました。
コストコのフードコートって、お得ですよね。
ボリュームのあるホットドックと、おかわり自由なソーダのセットで180円とか、1枚でお腹いっぱいになるスライスピザ300円なんてメニューがあって、とっても魅力的です。
ホットドックやピザは、そのままだと大きくて食べにくいので、みんなプラスチックのナイフとフォークを使って食べるみたいですね。
そんなプラスチックのフォークを使いながらピザを食べていたんですが、ふと歴史上の有名人のことを思い出してしまいました。その人、フランス人なんですけど、絶対にフォークを使わなかったことで有名だったんです。
今日はそんな、フォークにまつわるマナーと歴史について書いてみたいと思います。
- フォークを一般化させたのは、イタリア人
- 17世紀頃にヨーロッパに普及したフォーク
- 神に対する冒涜?
- 爆食王「ルイ14世」
- 当時のフランス
- 絶対にフォークを使わなかった「ルイ14世」
- フォークが普及する時代
- フォークのマナー
フォークを一般化させたのは、イタリア人
食卓にフォークを並べて、料理を食べる際に使ったという最初の記録絵図は、1023年の写本に出てくる図だとされています。
それ以前には、古代ギリシアやローマ帝国で使われていたという記録もあります。
フォークと言っても、製図用のコンパスのような、かんざしのようなものです。
最初にフォークを使い始めたのは、イタリアの貴族だと言われています。
ベニスの貴婦人たちが、肉料理を手づかみで食べるのを嫌がって、フォークを使い始めたのが最初だと言われています。
このフォークが一般化したのは、ルネッサンスの時代です。
この時代にイタリアを旅行した人は、イタリア人がフォークでパスタを食べている様子を、珍しがって記録や絵画に残し始めたと言われています。
17世紀頃にヨーロッパに普及したフォーク
イタリアの食卓で使われ始めたフォーク。17世紀頃には、イギリスやフランスといった国々にも、フォークが持ち込まれるようになりました。
でも、イギリスやフランスでは、フォークがなかなか受け入れられなかったそうです。
当時イギリスの女王だったエリザベス1世も、専用のフォークを3本持っていたそうですが、指を使って食べることが多かったそうです。
その理由は、フォークで食べ物を口に運ぶのが、人間の尊厳を傷つけるものだと考えられていたからなんです。
神に対する冒涜?
エリザベス1世が初めてフォークを使った際、臣下から
「手を使わずに料理を食べるのは、全能の神に対する冒涜です!」
と言われたそうです。
当時の教会も、フォークを使うのは神に対する冒涜だという姿勢を取っていました。神から与えられた「指」を使わないのは、神に対して失礼にあたるというのが、その理由だったそうです。
爆食王「ルイ14世」
「太陽王」の異名を持つ、フランスのルイ14世は、美食家で大食漢だった人物としても知られています。
ベルサイユ宮殿での食事の様子は、しばしば公開されていたそうです。
ルイ14世が、ゆで卵を優雅にそして巧みに食べるという話は、どこかで聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。王がゆで卵を食べようと手を伸ばすと、周囲からは歓声が上がっていたそうです。
他にも、ルイ14世には食に関する様々な逸話があります。
王の食事は、とにかく量が多かったそうです。
王の1日は、朝8時から9時頃の起床から始まります。
礼拝などの朝の日課が終わると、いよいよ朝食です。
最初にスープを4杯、これは毎食欠かさなかったそうです。それからキジを1羽、ハムの盛り合わせ、サラダ1皿、羊肉料理、皿一杯のお菓子とフルーツ、そして最後にゆで卵が数個と続きます。
全部合わせて、当時の貴族1人が食べていた量の、倍くらいだったそうです。
日中の公務を終えると、午後10時頃に晩餐となります。
晩餐会の食事を運ぶために、毎晩パリからベルサイユ宮殿まで行列ができていたそうです。
行列では、スープ、サラダ、肉料理、魚料理、果物、お菓子、そして忘れてはならないゆで卵と、全部で8種類のコース料理が、全部で8コース分、合計64種類の料理が運ばれていました。
王はこの64種類の料理の中から、20種類ほど選んで食べていたそうです。
明らかに、食べすぎですよね。
当時のフランス
1705年から1708年頃にかけて、フランスは飢饉が続いていました。
国民が食べるものもなく、貧困と戦っている中、ルイ14世のためだけに、毎日ベルサイユ宮殿に運ばれる料理。
国民から恨まれて当然ですよね。
このことが、フランス革命の一因になったとも言われています。
いつの時代も、食べ物の恨みというのは、恐ろしいものですね。
絶対にフォークを使わなかった「ルイ14世」
飢饉で苦しむ国民のことを尻目に、ルイ14世は美食三昧の日々を送っていました。
王は食事の際、必ず決めていたことがありました。それは、指を使って食べるということです。
その理由については諸説ありますが、一番大きな理由は、宗教的な理由だったようです。
神から頂いた、自分の指を使って食べるのが、神に対する正しいマナーだと信じていたんだと思います。
王は、フォークを使わず食事することを、弟たちにも強制しています。
このことは、フォークの歴史を調べると必ず出てくる逸話です。
フォークが普及する時代
アメリカでは、1730年代にイギリスからフォークが伝えられました。
でも、やはり宗教的な理由から、19世紀まで指を使って食べる人が多かったそうです。
時代は流れ、フォークに対する意識も次第に変化していきます。
指を使って食べるのは、野蛮な行為だと考える人が増えてきました。
世界中で、清潔や衛生面について意識が高まりつつあった時代だったのも、フォークの普及に繋がったと思われます。
フォークのマナー
西洋料理のマナーを学ぶと、「ナイフとフォークの使い方」は必ず出てきますよね。
こうしたマナーは、テクニックとして身につけておけば、恥をかく機会は少なくなると思います。
でも、フォークの歴史を知ることで、食べ物に対するマナーの本質が理解できる気がします。
美食家で大食漢のルイ14世が、頑なにフォークを使うことを拒絶した理由は、本当に宗教上の理由だけなんでしょうか?
私は、料理をおいしく食べたかったからではないかと考えています。
ナイフやフォーク、箸を使って料理を食べるよりも、手づかみで食べた方が美味しい料理って、たくさんありますよね。
骨付き肉は両手で持って、ガブリと食べた方が美味しく感じるはずです。
魚も、冷めた状態で皿に盛られているよりも、炭火で串焼きにして、そのままかぶりついた方が美味しいですよね。
美食家と言われていたルイ14世ですから、指を使って食べた方が美味しいということを、本能的に、もしくは経験として知っていたんではないかと思います。
テーブルマナーをテクニックとして知っておくことは大事だと思います。
同時に、食材という多くの命に対する感謝の気持ちや、料理をつくってくれた人たちに対する感謝の気持ちを込めて、「いかに料理を美味しく食べるか」を状況に応じて考えてみるのも、料理に対するマナーなんじゃないかと思っています。