ああ、なんかちょっとさびしいタイトルになってしまったけど気にするのはやめましょう。
ブログで収入を得ている人は「確定申告が必要か」ということを調べると思います。そして副業での所得が20万円以下なら確定申告は不要という答えを見つけると思います。でもこれは所得税のはなし。
たとえ副業の所得が20万円以下でも『住民税』は申告は必要です。
では住民税の申告はどうやるのでしょう?
確定申告についてはたくさん情報があるけれど、住民税のみの申告については情報が少ない気がします。
ということで、市役所に行ってブログ収入の住民税の申告の仕方を聞いてきたので書きますね。
※この記事は勤め先の会社から給与をもらっている副業ブロガー向けの記事です。
会社に勤めている人の税金の基礎的な話
まずは会社に勤めている人の税金の話をします。読み飛ばしていただいても結構です。
会社から給与を貰っている人は以下の二種類の税金を給与から天引きされていると思います。
- 所得税
- 住民税
所得税と住民税は給与明細の控除欄にあります。
※課税対象にならないほど収入が少ない人や自分で納付している人(普通徴収)などの場合、天引きはされません
■特別徴収と普通徴収■
給与から税金を差し引いて、会社が従業員の代わりに納税することを特別徴収といいます。
自分で税金を納付することを普通徴収といいます。
住民税は給与所得以外を普通徴収にすることもできます。会社に副業を知られたくない場合はこの普通徴収で納税します。ただし自治体によっては普通徴収にできない場合があるかもしれません(いろいろな自治体があるのですべてを把握できません)。また、副業がバレる原因は住民税のほかにもあります。(社内の密告とか…)
会社に勤めている人は年末調整をしていると思います。11月頃に扶養控除申告書や保険料控除申告書を書いて提出してますよね。この申告書を使って会社では一年間の正しい『所得税』を計算します。
毎月の給与から差し引かれる所得税は概算の額です。なので年間で再計算をして正しい税額を算出して、差額を戻したり、場合によっては追加で徴収したりします。(一般的には戻るケースが多いです)
この再計算が年末調整です。年末で調整してるから年末調整なんですね。
会社では年末調整をした後に以下の書類を発行します。
- 源泉徴収票
- 給与支払報告書
名称は違いますが、記載内容はほぼ同じです。まったく同じと言ってもいいでしょう。様式(フォーマット)も同じです。
『源泉徴収票』はあなたに渡されます。(収入が一定額を超えると税務署にも行きます)
源泉徴収票は一年間で会社からあなたに支払った額と控除した額の証明です。
『給与支払報告書』あなたが住む市区町村に送られます。
市区町村は給与支払報告書を基にあなたの住民税の計算をします。
そして5月頃になると各市区町村から会社へ住民税の決定通知書が送付されます。文字通り『住民税が決定した通知書』です。決定通知書には従業員ひとりひとりの一年間に収める住民税額がすべて記載されています。
■住民税の決定通知書で副業がバレる?■
住民税の決定通知書は二種類あります。
- 個人向けの決定通知書
- 会社向けの決定通知書
この二種類が会社へ送付されます。
個人向けの通知書には、住民税額の他に住民税の計算の基礎となる雑所得などの情報が細かく記載されています。この個人向けの決定通知書は会社から個人に配布されます。持っていますか?
会社向けの通知書には、個人ごとに年間の住民税額と月ごとに収める住民税額が記載されています。会社はこの決定通知書に記載されている月ごとの税額を給与から差し引きます。
会社向けの決定通知書には雑所得などの情報はないケースが多いと思います。雑所得などは会社には不要な個人情報だからです。なので最近では個人向けの決定通知書はシールで隠されて会社の人にも内容が見えなくなっています。(このあたりは自治体によって対応はさまざまです)
したがってほとんどの会社は個人の雑所得などを知るすべがありません。しかし住民税で副業がバレることがあります。
同じ市区町村に同じくらいの給与の従業員がいた場合、会社向けの決定通知書を見て、明らかに住民税額が多い人がいたら、給与以外の所得があるという推測ができます。そこまでチェックしてるかどうかは会社によりますが、偶然発見してしまうこともあります。
例えばこの山田さんと鈴木さん、給与が同じくらいだとしたら住民税額が違うのはちょっと怪しいです。なので給与以外に所得があると思われるかもしれません。(他の所得があったとしても副業とは限らないんですけどね)
会社向けの住民税決定通知書はこのように一覧になっているので比較しやすいです。
税額の差は独身の人ほどわかりやすいです。扶養親族がある人はいろいろな条件で所得が変わるため、住民税額にもバラツキが出やすいからです。
この会社バレの問題を避ける方法が住民税を普通徴収にするというものです。特別徴収では給与からの天引きになるので税額が会社に知らされますが、普通徴収にすれば雑所得などは会社に知らされません。なので普通徴収なら会社にはバレません。たぶん。(保証はできません)
雑所得:所得には種類がいくつかあります。個人ブログの所得は『雑所得』と呼びます。
ここまでの話をまとめますね。
年末調整をすることで、会社と市区町村が連絡を取り合い、所得税と住民税の手続きが完了します。(住宅ローン控除1年目の人や医療費控除などを受ける場合はこのあと確定申告が必要です)
会社から支給される給与所得の税金の手続きは会社がやりますが、ブログの収入など、給与所得以外の税金の手続きは自分でやる必要があります。
さて、ここからが本題です。
ブログの所得が20万円以下でも税金の申告は必要
ブログでお小遣いを稼いでいる人の中には以下のケースも多いと思います。
- 会社で年末調整をやった
- 確定申告はしない
- ブログの所得は20万円以下
このように、年間で20万円以下の所得があり、確定申告をしないサラリーマン・OL・パート・アルバイトのブロガーは多いのではないでしょうか。
■収入と所得と経費■
収入と所得を間違える人は多いです。日常生活で所得という言葉はあまり使いませんからね。ここで簡単に説明しますね。
収入は、アドセンスなどの広告で得られた利益です。
所得は、収入から経費を差し引いた額です。
経費は、サーバー代やドメイン使用料など、ブログで利益を得るために使った費用です。パソコン代を含めることもできます。(後述します)
収入−経費=所得
となります。
この計算の結果、所得が20万円以下なら確定申告(所得税の申告)は不要です。
※公的年金に加入している場合は計算が異なります
収入が給与のみであれば、年末調整をすることで所得税と住民税の手続きは終わります。
医療費控除などを受けたり、ブログの所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。確定申告をすれば所得税と住民税の手続きは終わります。
確定申告をしない会社勤めの個人ブロガー(この記事の対象者)は、住民税のみ手続きが必要になります。なぜなら、住民税は所得が20万円以下でも申告が必要だからです。
確定申告が不要なら住民税も不要にしてくれればいいのに…と思いますが、確定申告の主たる目的の所得税は国の管轄(国税)、住民税は地方自治体の管轄(地方税)、ルールが違うので仕方ありません。
ではここから住民税の申告の仕方を説明します。
住民税の申告の仕方
住民税を収めるのは市区町村の役所です。なので住民税は市区町村の役所で手続きをします。税金といっても税務署ではありません。
住民税=市区町村の役所
所得税=税務署
ということです。
■確定申告と住民税■
確定申告は税務署で手続きをしますが、その情報が市区町村にも送られるので所得税と住民税が同時に手続きできる仕組みになっています。
住民税の申告の受け付け期間は自治体によって違います。
期限は3月15日までの自治体が多いです。
受け付け開始は自治体によってさまざまです。
年明けから
2月1日から
2月16日から
などなど。
住民税は市区町村によって対応が違うので、まずはネットで調べたほうが良さそうですね。
手続きの方法を調べる
自治体によってはネットで住民税の手続きができるところもあるようです。まずはお住いの市区町村のホームページをチェックしてみてください。
ネットを見ても要領を得ない場合や、ネットで手続きできない場合は直接役所に行きましょう。そのほうが話が早いです。
私が行った市役所では案内が出ていました。納税の手続きの季節ならではですね。
ちなみに住民税を担当する部署の部課名は自治体によって違います。市民税課や税務課という名称が多いですね。
申告書を入手する
ネットで手続きできない場合は紙の申告書に記入することになります。
住民税の担当部署に行けば申告書がもらえます。私は記入の仕方(手引き)と郵送用の封筒ももらいました。提出は郵送でもOKなんですね。
ちなみに住民税とは、市区町村の税と都道府県の税を合わせたものです。なので申告書のタイトルは『住民税』ではなく『市民税・県民税申告書』などと記載されています。
住民税の申告書(オモテ面)
住民税の申告書(ウラ面)
住民税の申告書の様式は市区町村によって若干違います。(特にオモテ面の右下あたりの欄)
自治体ごとに決まった様式があるのでこの画像を印刷しても使えません。必ずあなたが住む市区町村から入手してください。
申告書をもらうときは記入の仕方なども聞いてみると良いと思います。納税者には優しく教えてくれるでしょう。
なお、ここで説明する例は私が市役所で聞いた内容を基に書いています。あなたの市区町村とは注意事項が違うかもしれません。なので、この記事はあくまでも参考にとどめてください。
前準備
住民税の手続きでは市民税県民税申告書のほかに必要なものがあります。
申告書に記入する金額の集計にも必要なので、まずは必要書類を用意します。
源泉徴収票
源泉徴収票のコピーが必要です。
所得が給与とブログの収入のみであれば、住民税は給与所得と雑所得を合算して計算します。(他の所得があればその所得の証明書類も必要)
給与所得の証明として源泉徴収票のコピーを使います。
収入の証明書類
ブログで得た収入を証明する書類です。
ブログの場合、広告が主な収入になると思います。紙の証明書類があればそのコピーでいいのですが、メールやサイトの管理画面しかない場合も多いと思います。
紙の書類がない場合は収入金額がわかるメールや管理画面を印刷します。
必要なのは年間の収入なので、管理画面で1年分を集計できるのなら、その画面を印刷しましょう。
■ポイントや商品券は収入?■
広告収入の受け取り方はいろいろあります。ポイントや商品券で受け取ることがあるかもしれません。
収入は現金でなくても課税の対象となるそうです。経済的利益を受けたら課税対象なんですね。土地の相続などもそうですね。
広告収入を円ではなくポイントで受け取った場合は円に換算して収入金額とするそうです。このあたりの詳しいことは税務署に聞いた方が確実です。税金のプロなので。
経費の証明書類
ブログのおもな経費はサーバー代やドメイン使用料、その他文房具やパソコン、書籍などになると思います。
サーバー代なども紙の領収書がないと思います。収入と同じく紙の書類がない場合は金額がわかるメールや管理画面を印刷します。
■必要経費■
経費を正しくは『必要経費』といいます。
どこまでが必要経費として良いのかわかりにくい場合がありますよね。
例えばブログのためにパソコンを買った場合は必要経費となるのか?など。
ブログにパソコンを使っていたとしても、ブログ以外でも使用しているのであれば、パソコン購入費の全額を必要経費とするのは無理です。
こういった場合、パソコンの購入費をブログとその他に分けて計算します。これを按分(あんぶん)といいます。パソコンの半分はブログで使って、残り半分は他のことで使っている場合、パソコン代の半分はブログの経費となる。といった考え方です。
ただし金額の上限は決まっています。パソコンの場合、10万円未満であれば事務用消耗品という名称(勘定科目)の経費として認められます。
12万円のパソコンであれば、ブログとその他で半分ずつ按分すると以下のようになります。
パソコンの購入金額12万円
ブログ=50% 6万円
その他=50% 6万円
パソコン代のブログの経費は6万円
といった感じです。
按分については役所が合理的な判断で納得できるものかどうかが問題になります。税金逃れのために無理な理屈で経費を増やすことできません。
パソコンのほかにも文房具などは事務用消耗品として扱うことができます。
インターネットの利用料金は通信費という経費です。
記事の執筆のために購入した本の代金は新聞図書費、ブロガー名刺を作れば宣伝広告費です。
これらすべてブログで収入を得るために支出した費用なら必要経費と考えられそうです。
ただし合理的な判断で経費と考えられるとしても、領収書や金額が記載された納品書などの証明書類がなければ申告できません。ブログを書くために買ったモノの領収書は取っておきましょう。
経費についての考え方は住民税も所得税も基本的に同じです。気になる人は国税庁のホームページを参考にしましょう。
取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします。
1 必要経費に算入できる金額
事業所得、不動産所得及び雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。
(1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
集計
収入と経費の書類がそろったら、それぞれの去年一年間の合計金額を算出します。
収入と経費が算出できたら所得も計算しましょう。
所得とは収入から経費を差し引いた金額でしたね。
収入−経費=所得
さて、それぞれいくらになりましたか?
ここでは以下の例で話を進めますね。
収入:100,000円
経費:30,000円
所得:70,000円
住民税の申告書の書き方
ここから住民税の申告書の書き方を説明します。
住民税の申告書の様式は市区町村によって若干違います。記載項目もたくさんあります。でもブログの所得(雑所得)のみの申告であれば金額の記入が必要なのは『雑所得』の欄だけ(3箇所)なので安心してください。
■確定申告のような難しさはありません■
確定申告で疲弊する人は多いです。よく「大変だ」と嘆きの声を聞きます。
確定申告(所得税)は申告納税方式といい、納税者が税額を計算しなければなりません。これでは大変ですね。
一方、この記事の対象となる会社勤めのブロガーの場合、住民税の申告書のみなので、雑所得の欄を記入して必要書類を添付するだけでOKです。税額を計算する必要はありません。(手続きの要領は自治体によって違うかもしれませんが)
税額を計算しなくて良いのなら確定申告のような大変さはありませんね。
では金額を記載する項目を見ていきましょう。
記載項目1 『収入金額等』
はじめに収入金額を書きます。
収入金額は、メールや管理画面を印刷した収入の証明書類の合計金額です。
記入するの場所は『収入金額等』の『雑 その他』です。
記載項目2 『所得金額』
つづいて所得金額を記入します。
所得金額は収入金額から経費を差し引いた額でしたね。
記入する場所は『所得金額』の『雑 その他』です。
記載項目3 『雑所得(公的年金等以外)に関する事項』
次は裏面です。(一番上の項目)
『雑所得(公的年金等以外)に関する事項』に以下の4項目を記入します。
- 種目
- 所得の生ずる場所
- 収入金額
- 必要経費
「種目ってなに?」と思うかもしれませんが、決まった種目名があるわけではありません。どのような種類の所得なのかわかりやすく簡潔に書けば大丈夫です。ブログの場合は「広告収入」となる人が多いと思います。
所得の生ずる場所は、個人ブロガーなら自宅の住所になると思います。
収入金額は、表面で書いた収入金額です。
必要経費は、経費の合計金額です。
金額に関する記入事項は以上です。
記載項目 自分の情報
あとは名前や住所などを記入して押印すれば申告書は完成です。あ、マイナンバー(個人番号)の欄もありますね。
記載項目 普通徴収
会社に副業がバレないための大事な情報を忘れてました。
住民税の申告書(オモテ面の右列やや上)には以下の項目があります。
『給与所得及び公的年金等に係る所得以外の市民税・県民税の納税方法』
ここの『普通徴収(自分で納付)』にチェックを入れると、給与所得以外の住民税は普通徴収になります。会社には普通徴収の情報は渡らないのでブログの所得がバレません。たぶん。(何度も何度も言いますが絶対バレないとは限りませんよ)
バレてもいいよ〜という人や、普通徴収なんて面倒くさいと思う人は『特別徴収(給与から差引き)』にチェックします。
ちなみに普通徴収にすると、雑所得などの分の住民税は自分で納付することになるので納付書が自宅に郵送されます。支払いはコンビニでもできます。
申告書の提出
書き上がった住民税の申告書を役所に提出する際は前準備で用意した以下の書類を添付します。
- 収入の証明書類
- 経費の証明書類
- 源泉徴収票
これらの書類は申告書に貼らず一緒に提出します。
提出は直接役所に持参してもいいのですが郵送でも受け付けています。私は役所へ申告書をもらいに行ったときに郵送用の封筒ももらったのでポストに投函すれば手続き完了です。
住民税の申告の手続きは以上です。
お疲れ様でした。
さいごに
なんとなく気付いた人もいると思うことを書きます。
収入金額が少ないブロガーの場合、所得金額も少ないです。
収入から経費を差し引いた結果、所得金額が1,000円だったとしましょう。
住民税の税率は所得の10%です。(自治体によって若干違います)
つまり所得金額が1,000円の場合、住民税額は100円になります。
この100円の税金を徴収するためにかかる役所の職員の人件費はいくらになるでしょう。間違いなく100円では済みません。
これでは役所も赤字です。誰も得しません。みんな不幸です。
所得税(確定申告)が所得の20万円以下なら不要という理由はこんな事情もあるようです。
しかし住民税には20万円以下なら申告不要というルールはありません。なので税額が100円でも申告しなくていいとは言えません。
こんなときは必要経費をよく考えましょう。
1,000円分の経費、なにかありませんか?
ほら!よく思い出して!
ブログに載せる写真を撮るためにカメラを買ってませんか?
スマホはブログにも使ってませんか?
ブログ運営や記事の資料として買った本やモノはありませんか?
ほかにもなにかあるでしょう。
もちろん脱税目的で無理やり経費とすることはできません。でもブログで収益を得るために購入しているモノって意外と多いのではないでしょうか。
申告する際はこのあたりもよく考えたほうが良さそうです。
あと、税金についてわからないことがあったら専門家に聞きましょう。住民税なら市区町村の税務課など。所得税なら税務署です。もちろん税理士でも。
それではまた。