小説をずっと書きたいと思っていたけど、どう書き始めればいいのか分からなくて…という経験はありませんか?あるいは何かにインスピレーションを感じたり、自分の夢がきっかけとなって小説を書きたいと思ったことがあるかもしれません。早速その熱い想いを入力し始めたまでは良かったけれど、すぐに行き詰ってしまった。そんな経験はありませんか?
でも何も驚くことはありません。だって、どんな作家や小説家も経験していることなのですから。特に小説を書き始めた駈け出し作家の頃は、誰しもが経験することなのです。
すごくイライラした気持ちになりますよね?
しかし幸いにも、これにはすごい解決策があるのです!その秘策とは、入力開始前に自分の書きたい小説の構造を把握すること。これで、いとも簡単に小説を書きあげることができるようになります。
この記事の中では、自分の小説の構造を組み立てていく際に最も重要となる「唯一のステップ」について説明します。驚くほど簡単に、刺激的でワクワクするようなフィクションを創り出すための効果的且つ基本的コンセプトと言えるでしょう。そしてなによりも、自分が始めたことをすべて完成と仕上げに導くことがとても容易にできるようになります。
では、このステップとはどんなものでしょうか?それは、「プロット(筋書き)」と「ストーリー」の本質的な違いを理解することにあります。
「プロット」VS「ストーリー」
私達は「プロット(筋書き)」と「ストーリー」という言葉を、ほぼ同じ意味で使う傾向にありませんか?両者を同じものとして捉えるのは簡単です。事実、ほとんどの作家、編集者、フィクションの世界の専門家ですらこの両者の明らかな違いを理解しておらず、区別さえしていません。しかし、この違いを把握することで、あまりにも小説が簡単に書けるようになるので、皆さんがショックを受けるかもしれませんね。その違いとは、次のとおりです。
•プロット(筋書き)とは、主人公の物理的な旅です。
•ストーリーとは、主人公の感情的な旅です。
皆さん方が書く小説(短編小説、演劇、脚本)には、この両方が含まれるのです。プロットとは「主人公に起こる出来事」、そしてストーリーとは「主人公の内面的変化の様子」です。
難しいことではないでしょう?そして、物理的なもの(プロット)と感情なもの(ストーリー)を表現したい時に、これら2つの単語を別々にかつ慎重に継続的に使い分けることができると、自分が書いたものを全く新しい段階の明確性にまで引き上げることができるようになるのです。
「アクション(作用)」VS「リアクション(反作用)」
プロットとストーリーを考える上で、もう一つの方法があります。それは「アクション(作用)」と「リアクション(反作用)」という考え方です。いくつかのアクション(作用)が起こると(プロット)、キャラクターはそれに反作用します(ストーリー)。実際、小説とは「作用と反作用」の一連の繰り返し以外の何者でもありません。わずかな設定、会話、天気の話以外は、全て「作用と反作用の世界」といっても過言ではありません!
ですから、次のことを是非覚えておいてください。
•プロットとは、登場人物を開始地点から最終地点まで移行させることです。その途中で多くの困難に出会ったりしますが、その物理的側面をプロットと呼びます。
•ストーリーとは、登場人物を最初の状態から最後の状態まで移行させることです。その途中で多くの困難に出会ったりしますが、その感情的側面をストーリーと呼びます。
これでご理解していただけたはずです。それを意識しておくと、皆さんが自分の小説を書いている間ずっと、プロットとストーリーをどう使っているか簡単に確認できるようになります。プロットはアクション(作用)ですから、進みが遅くてダラダラしていると感じれば、アクションを追加すればいいのです。しかし、物事があまりにも速く進んでいると感じた場合は、ストーリーを追加して進行をスローダウンします。この二つが協同で働くことによって、小説のペースをキープすることができます。
中には、ほぼプロットのみで構成される小説もあります。私はクライブ·カッスラーのアドベンチャー小説を思い浮かべます。ジェーン·オースティンのように、ほぼストーリーのみで構成される小説もあります。しかしすべての小説はどんなに強調したい事があっても、この両者を交互に行ったり来たりしています。成功する小説とは、この両者を多く含むことが必要なのです。
ストーリーとプロットの違いを理解できれば、文章を書く上で最強の武器の一つを手に入れたと言っても過言ではありません。どんなに成功を治めた有名作家でも、ほとんどこの違いを知らないという事実には驚かされます。確かに無意識且つ直感的にこの両者を適用できている作家もいますが、多くの作家は理解しておらず、それが彼らの作品に如実に表れています。
オズの魔法使いの「プロット」と「ストーリー」
多くの人が見たことのある映画「オズの魔法使い」を例に考えてみましょう。映画の中で出てくるプロットの要素をそれぞれ名付けてみます。:家が竜巻に巻き込まれて、少女は魔女のところに落ちる。面白い旅の仲間と出会う。一人の魔法使いがあるミッションを出す。バケツの水をかけて魔女を溶かす。ここでは感情的内容は「皆無」です。
ただし、ストーリーの要素を探し出すのはかなり難しいことです。でもそれが分かると、この映画が時代を超えた古典的代表作品となった理由がお分かりいただけるでしょう。:飼い犬のトトと引き離された時のドロシーの悲しい気持ち。自分の家が魔女のところに落ちた時の失望感。魔女と魔法使いの両者への恐怖感。新しい友達と離れ離れになる時の悲しさ。そして最も重要なこと。それは、「自分自身で問題を解決する力がある」というこのお話の最大のテーマに彼女が気付いた瞬間です。
こういったストーリーのイキイキした各要素は、プロットの要素への感情的反作用から生まれているのです。ストーリーとプロットがコンスタントに共鳴し合うことで、ストーリー全体を通じて維持すべき「ドラマティックな緊張感」が創り出されています。これこそが読者を虜にする秘訣なのです。感情的な反応や反作用がなければ、プロット展開だけで読者の心を揺るがすことはありえません。逆にプロット展開がなければ、登場人物にもやる気が見られなくなり、ひいては読者も読む気が失せてしまうでしょう。
よってストーリーを創り出す時は、まず感情面に目を向けてください。登場人物の感情はどんなものか?どう感じているのか?心の中にはどんな葛藤があるのか?結局のところ、感情的に与える影響こそが、唯一心を揺さぶるものなのです。
しかし、そこで止まってしまってはいけません。ストーリーは、プロットなくして経過を進めることはできないのです。どうすれば登場人物の気持ちを文字で表現できるのでしょうか?思ったことをどう表現するのでしょうか?心の葛藤をどうやったら明らかにできるのでしょうか?
プロット展開の際に、必ず感情的価値に対する物理的作用の全瞬間を試してみてください。感情的価値がほとんど、いや全くない状態のまま、ある出来事が終結するとしたら、書き手である皆さんは自らさらに良いものを模索しなければならい状態に陥ってしまいます。
例えば、家から走り出たドロシーにある農夫が遭遇するという場面を想定してみましょう。農夫はドロシーを呼び止めることもできるし、エムおばさんには言わないからと約束して共謀者になることもできます。いずれにしても、この場面は感情的ストーリーにどんな貢献をしているのでしょう?しかし、彼がドロシーのキャラクターを揺り動かすことはありません。鑑賞者は、どんな農夫かイメージはつかめるでしょうが、彼は映画の最後まで再登場することはありません。このプロット展開は、感情的には全く寄与していないのです。「ならカットしましょう」となります。
お分かりのように、自分創り出すプロットは自分が伝えたいストーリーによって決まり、伝えたいストーリーはどんなプロットを選択するかで決まるのです。このコンセプトは、その重要性をいくら強調しても、し過ぎることはありません。
•プロットとは、物理的なものです。
•ストーリーとは、感情的なものです。
これまでより、ずっと良いものが書けます。
メジャーなフィクション作品の中にも、ストーリーを欠いているものがどんなに多いことか!とりわけハリウッド映画において言えることですが、この問題はテレビや本屋にも転がっています。
偉大な作品例として、マイケル·クライトンを挙げてみましょう。誰しもが、このベストセラー作家にはエキサイティングな糸を紡ぐ能力が備わっていたに違いないと思うでしょう。しかし彼の作品を読むと、本の中で登場人物のキャラクター展開は全くといっていいほどありません。私は最近、通勤途中にジュラシックパークで知られる「Lost World(失われた世界)」をオーディオブックで聞いているのですが、全キャラクターや登場人物の2次元性に改めて愕然としています。登場人物達は、恐竜が住むジャングルの中をただただあやつり人形のように行進しているだけです。一体どうやったら、読者は段ボールを切り抜いたようなこの登場人物達と結びつくことができるのでしょう?登場人物が食べられたからといって、なぜ読者が気にしなくてはならないのでしょう?私にとっては取るに足らないものでした。
映画ジェームズボンド・シリーズは全て、壮観なスタントで幕が開きます。 その1つがボンドと殺人鬼ジョーズが、一つのパラシュートをはさんで飛行機から急降下するオープニングの場面です。空中で壮絶な闘いを繰り広げた末にボンドはパラシュートを奪って着地し、ジョーズは血の海で終わるのです。
これは映画の幕開けとしては、エキサイティングな演出法です。ただ問題なのは、感情的な観点から見ると全く面白くないということです。このオープニングの段階では、映画でのボンドのキャラクターと出会っていません。もし出会っていれば、ボンドが(映画の原作とは違って)薄っぺらだなと気付くかもしれません。自分の中に良い思い出がない限り、ジョーズって前作でどんな役柄だったかすら思い出すことができないのです。
全シーンがプロットのみで、ストーリーが皆無であることが問題なのです。
でもこれが小説だったらどうでしょう。私たちはボンドの頭の中に入り込んでいき、こんなボンドの声を聞くことができたかもしれません。「俺がもし死んだら、踊る騎士を救うことはできない。秘書のマニーペニーをからかうこともできなくなる。始めたことをやり遂げることができなくなる」と。この後悔こそがストーリーとなり得るにも関わらず、映画の中ではこの部分が完全に欠落しているのです。
確かに、映画の中では問題はより深刻です。なぜなら、私達はキャラクターや登場人物の内なるもの、つまり心の中の対話を聞くことができないからです。キャラクターの想いを聞くことができないからです。しかし、本ではこれが存在します。本では、キャラクターの頭の中だけに集中して全時間を費やすことができるからです。私達は登場人物が悲しいということを読者に伝えることはできませんが、その代わりに、登場人物の行動を通じて読者にそのストーリーを示さなければならないのです。
涙が登場人物の顔をつたって落ちると、私達はプロット(アクション)を介してストーリー(感情)を明らかにしていきます。読者はプロットではなくストーリーによって心を動かされ、その経験を覚えていて、それをまた繰り返し得たいと望むのです。
一方、プロットという仕掛けは、どんなに壮大であっても、初回しかそれを感じさせません。だからこそボンド映画は、前作よりもさらに壮大なスタントで幕を開ける必要があるのです。もちろん小説の中では、全く逆の過ちを犯す可能性があります。つまり物理的世界では何もエキサイティングな出来事が起こらないのに、登場人物の頭の中ばかりに時間を費やしてしまうということです。ステファニー·メイヤーの著書であるトワイライト・シリーズの多くは、この問題に苦しんでいます。
プロットは二の次というと、皆さんは驚くかもしれません。要するに、まず強固なストーリーを構築して意味を成すプロットの詳細を後から追加する方が、一連の事象構築後に、なぜ人がそのような行動をするのかという合理的理由を見つけようとするよりも、はるかに簡単だということです。結局のところ、私たちが描く作用や事象の中には全く論理的に説明がつかないことがあるため、そこで行き詰ってしまうのです!私の著書と執筆レッスンでは、すごいストーリーの構築方法をお見せしてからプロットを後から追加していきます。この設定が完了したら、皆さんは「プロット」と「ストーリー」間で完璧なバランスが保てるようになっているでしょう。
自身の小説の中で「プロット」と「ストーリー」を使う
さあ、ここまでで秘策が分かりましたね。次はどんなステップでしょう?
プロットとストーリーの違いは、執筆を成功させる上での必須知識です。理解できた今こそ、自身で主人公を創り出し、物理的・感情的な旅にその主人公を送り出す時なのです。
三幕構成という言葉を聞いたことがありますね?ギリシャ演劇で数千年も前に考案されたものですが、現在でも数多くの人気小説や映画の中で用いられています。
しかし、ストーリーを十分管理できる小さなサイズにバラバラに分けるよりも、さらに簡単な方法があります。私はそれを「ストーリー構成のチェックポイント」と呼んでいます。これにより軌道を維持し、プロットとストーリーを交互に使い分け、主人公の物理的および感情的な旅のバランスをとることが難なくできるようになります。
私が主宰している執筆ワークショップでは、こういったテクニックと併せて様々な執筆方法を紹介しています。受講者は「プロットは物理的なもので、ストーリーは感情的なもの」というコンセプトにしばしば立ち帰ります。これこそ、小説を書く際に知っておくべき最重要点です。
もう既に小説を書き始めていらっしゃる方には、既存の素材に即適用できるテクニックを執筆ワークショップで紹介します。これには皆さん、目から鱗でしょう。具体的には、一つの小説を「シーンと連続」と呼ばれる200もの短い作用・反作用反応のペアに分割する方法を紹介し、プロットとストーリーのバランスの取り方を学びます。この「シーンと連続」の考え方は、小説のペースをコントロールする上でも活用いただけます。シンプルな計画を策定するだけで、執筆の成功がほぼ約束されたようなものです。
まだ小説を書き始めていない方。おめでとうございます!皆さんは理想的な位置にいます。白紙の状態から取り掛かり、完璧な計画を作り上げることができるのですから!莫大な量の時間を無駄にすることも、大がかりなやり直しも必要なくなります。
執筆ワークショップでは、皆さんの目標達成に必要な知識を全て学んでいただけます。出版に向かって邁進しましょう!是非お待ちしております!
スティーブ・アルコーン氏(Steve Alcorn)について
Steve Alcorn氏は(@ themeperks)、世界中ほぼ全てのテーマパークで使用されている製品の設計を担当するアルコーン・マクブライド社(Alcorn McBride)のCEO最高経営責任者です。これまでに7冊の書籍を出版し、代表作How to Fix Your Novel(小説の修正方法)などがあります。この十年間で、世界中にある1500校もの大学のオンライン・プログラムを通じて、一万人以上のフィクション作家志望の学生を指導してきました。 プログラムの詳細につきましては、writingacademy.comでご覧ください。