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中国メディアも嘆く 中国人観光客のマナー「洗面台で子どもが放尿」「路上でツバ」-。ホテル・旅館も困惑

中国メディアも嘆く 中国人観光客のマナー「洗面台で子どもが放尿」「路上でツバ」-。ホテル・旅館も困惑

横浜中華街で行われた「国慶節」を祝うパレードと、沖縄県尖閣諸島

 もはや世界共通の認識となっている中国人観光客のマナーの悪さ。1~7日の中国の国慶節(建国記念日)に伴う大型連休でも、日本の観光地で中国人団体客のあきれた行状が見受けられた。中国政府も自国の旅行客向けにマナーを改善を促す法律を施行したが、今のところ効果は薄そうだ。

赤信号で道路で飛び出しも

 中国最大の日本情報サイト「レコードチャイナ」は、中国中央テレビが6日に「訪日中国人の恥ずべき行為が明るみに出た」と報じたという記事を配信。テレビ局記者が日本の観光地の土産物店を取材したところ、中国人観光客のマナーについて「全体的に見れば向上した」との声が多く聞かれた一方で、「洗面台で子供に放尿させる親がいて驚いた」「赤信号にもかかわらず道路に飛び出し写真撮影をしていた」など恥ずべき行為も指摘されたという。

 香港で発行されている日刊英字新聞「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は9月26日付紙面「早晩、中国人観光客は海外でよりよい振る舞いを学ぶだろう」で、路上で唾をはく中国人の慣習が海外で悪い印象を与えていると指摘。「約1億人を数える海外に行った中国人観光客は、振る舞いを学ばなければならない」と主張する。目に余る中国人旅行客のマナー違反は、世界中の観光地で問題になっているようだ。

 日本政府観光局によると、2014年1~8月の訪日中国人旅行客の累計は前年同期比84%増の154万人と、年間最多だった12年通年の142万人を超えた。尖閣諸島の国有化以降、中国政府は日本と距離を置いているにもかかわらず、中国国民の日本熱は高まるばかりなのは皮肉な話だ。

 中国人の“お上りさん”はなぜ、公衆道徳を守らないのか。都内の旅行会社で中国人向けツアーを担当するベテラン添乗員は「中国人の富裕層には2種類のタイプがあります」と解説する。海外留学をするなど欧米志向の中国人と、国内で事業を成功させたいわゆる「コテコテ」の中国人だ。コテコテでかつ、初めての海外旅行というパターンが最も手が付けられないという。

日本人客といざこざ

 この添乗員がちょうど1年前、中国人団体客のツアーに同行して静岡県伊豆市の温泉旅館に泊まったときのことだ。旅館の従業員が、食堂内で大声で話をしていた中国人数人を注意したところ、その中国人は反省するどころか逆に食ってかかったという。この旅館では、浴槽に入るときにかけ湯をしなかったり、浴室内で大声を出したりして、日本人宿泊客との間でいざこざが起きたこともあった。

 こうしたトラブルは、中国と日本の文化の相違から起こる。中国では、食事中や入浴中に大きな声で会話をするのはマナー違反ではないからだ。この添乗員は「格式を重んじるホテルや旅館は、中国人の受け入れをやめたいのが本音だ。しかし、それを表明すれば『差別』だと問題にされてしまうことを恐れている」と明かした。

中国政府がマナー法律を施行しても…

 中国政府も自国の旅行客のマナーの悪さを十分、自覚している。昨年10月に施行された中国版の旅行業法「旅游法」では、旅行者は旅行中に社会公共秩序と社会道徳を尊重しなければならず、現地の風俗習慣、文化伝統などを尊重し、旅行マナーなどを守らなければならないと明文化された。罰則はなく、努力目標的な意味合いしかないが、国が自国民に対し観光旅行まで細かく法律にするのが権威主義の中国らしい。

 前出のベテラン添乗員によると、「法律施行後、ブログで中国人が海外の遺跡に落書きをしたことについて『恥ずべきものだ』と批判していたのを読んだ」という。中国人の意識は少しずつ変わっているようだが、目立った効果はまだない。

 もちろん、観光立国を目指す日本の関係者は、訪日中国人の旺盛な消費活動「爆買い」に期待する。彼らの購買意欲を取り込み、消費税増税後の落ち込みから回復したいのが本音だ。ここは、中国人旅行客のモラルが成熟するまで辛抱強く付き合うしかないかもしれない。

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