共同記者会見に臨む稲田朋美防衛相(右)とマティス米国防長官=東京都新宿区で2017年2月4日午前11時16分、宮武祐希撮影
稲田朋美防衛相は4日午前、防衛省でマティス米国防長官と約1時間25分会談した。トランプ政権発足後、初めての日米防衛相会談で、東シナ海や南シナ海での中国の活動について「アジア太平洋地域の安全保障上の懸念」との認識を共有した。南シナ海への関与強化も確認。核・ミサイル開発を進める北朝鮮については「日米両国と地域の安定に対する重大な脅威」との認識で一致した。
会談後の共同記者会見で稲田氏は「日米同盟が日本とアジア太平洋地域の平和と安定の確保のために重要であり、同盟の抑止力、対処力を一層強化すべく連携していくことを確認した」と強調した。マティス氏も「同盟関係は永続的で、アジア太平洋地域の安定の要石であることに変わりはない。引き続き協力体制をとっていきたい」と応じた。
中国による南シナ海での活動についてマティス氏は「中国が信頼を踏みにじった」「対決的行動を高めており脅威になっている」と強く批判した。稲田氏は米軍による「航行の自由」作戦に対する支持を表明し、日本としても周辺国への能力構築支援などで関与を強めていく考えを示した。
米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約第5条の沖縄県・尖閣諸島への適用や、米国による「核の傘」を含む拡大抑止の維持も改めて確認した。日本の島しょ部への侵攻や朝鮮半島有事などを想定した自衛隊と米軍の共同計画の策定が課題となっており、作業を今後加速させるとみられる。
会談では、沖縄の基地負担軽減で協力するとともに、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設が「唯一の解決策」とする方針を確認した。防衛省は週明けにも辺野古沿岸部で埋め立て本体工事の海上作業に着手。県による埋め立て承認の取り消し処分を違法と結論づけた最高裁判決に従い、作業を着実に進める姿勢を示す。
日米両政府は2015年春に新たな日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)を策定。会談で日米同盟の抑止力と対処力の強化を確認したことで、トランプ政権下でも新ガイドラインに基づき、米軍部隊の武器等防護(米艦防護)や後方支援、サイバー防衛など、日米共同対処の具体化を進める見通しだ。【梅田啓祐、村尾哲】