経営難から法廷管理(会社更生法に相当)の適用を受けていた韓進海運について、ソウル中央地裁は2日、経営再建手続き停止の決定を下した。今月中旬に破産宣告を受ければ、一時は世界7位にまで上り詰めた韓国を代表する海運会社がその看板を下ろすことになる。韓国第2位の現代商船も他人事ではなく、世界的な海運同盟への正式加入が適わなかったことでその先行きが不安視されている。
海運業の没落は決して防げなかった問題ではない。まず1次的な原因は経営の失敗だが、韓国政府も韓進海運の流動性危機を4カ月にわたり放置した。その間に現代商船との合併を含む構造改革など、活路を切り開く方法はいくらでもあったはずだ。
国が重い腰を上げて対策に取りかかった後も、金融委員会や海洋水産部(省に相当)など関係省庁は互いに連携することなく、責任を押しつけ合うばかりで国としてのコントロールタワーの機能は最初から失われていた。各省庁の担当者は国益よりも自分たちのことを優先したからだ。このことへの批判が相次ぐと、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は問題に正面から取り組むことなく、すでに経営権を失ったかつての経営者ばかりを非難した。しかも朴大統領が「政府の支援を期待するな」と発言すると、事態は完全に収拾がつかなくなり、その結果、貿易によって成長してきた大韓民国の基幹産業を担ってきた海運大手があっけなく崩壊してしまったのだ。
世界のどの国も経営難に陥った自国の海運業を放置するようなことはしない。フランス政府は経営難に陥った海運会社に6兆ウォン(約6000億円)相当の支援を行い、ドイツ政府も2兆ウォン(約2000億円)以上の支援を行っている。ところが韓国政府は「民間企業の問題には関与しない」という意味不明な論理で国の基幹産業が破産に向かう状況を放置した。韓進海運の潜在力をいかに活用し、海運業を全体をどう復活させるかという戦略的な考えや計画を持つ人間は政府内に1人もいなかったのだ。
結局大統領は国の基幹産業に対する理解が浅く、政府関係者はその下でどうすれば責任を回避できるかしか考えなかった。過程には関心を示さず結果ばかりを追求する国会もこのような風潮を後押しした。これらの無能さと無責任さは崔順実(チェ・スンシル)被告による国政壟断(ろうだん)以上に大きな罪だ。