≪関西のニュース
鑑識の決め手は「瞳の中」
更新:02/01 20:02
科捜研の女もビックリ。刑事ドラマの世界が現実にありました。徳島県警はスマートフォンに残された被害者の写真から容疑者の男を割り出し、逮捕に成功しました。手がかりは瞳です。
「目は口ほどに物を言う」と言いますが、まさにこの瞳に隠された情報が犯罪捜査にいかされたのです。いったいどういうことなのか?逮捕に成功した徳島県警鑑識課を訪ねてみると…
「どうも、おはようございます」
現れたのはリーゼントがばっちり決まった秋山博康次長です。秋山次長と言えば…
「おい小池!テレビを見てたらすぐに出頭しなさい」(秋山博康次長・2010年)
2001年に徳島県で起きた放火殺人事件の小池俊一容疑者を全国指名手配し、追い続けた名物刑事です。いまは捜査一課から鑑識課に異動したリーゼント刑事。去年、犯罪捜査30年のなかでも最も完璧な証拠に出会ったといいます。
「こんな証拠いままで初めてだと。度胆抜かれました。なんやこれって」(リーゼント刑事 秋山博康次長)
日夜、指紋や足跡の鑑定など地道な捜査を行う鑑識課でリーゼント上司の度肝を抜いたのが、いたって普通の髪型の写真係・浪花孝一係長です。
「お願いします」
浪花さんは防犯カメラや写真の映像の解析などの業務を一人で担っています。そんな浪花さんにある日、現場の捜査員からこんな依頼が飛び込んできました。
「目に人の影のようなものがある。調べてほしい」
去年、県警が迷惑防止条例違反の疑いで逮捕した男のスマートフォンの中に別の事件の被害者の写真があり、その被害者の目に誰かが映っているというのです。さっそく浪花さんが解析したところ…
「頭の形が見えそうで、画像処理すれば見えるようになるのではと」(徳島県警写真係 浪花孝一係長)
解析すると被害者の目には容疑者の男が写っていて、これが決め手で男を逮捕できたというのです。
「犯人を知っている人が見れば、あんたやろと、ちょっと納得する写真だった」(浪花孝一係長)
では写真を撮ったときに撮影者は被写体の目に映りこむのか?マスクとメガネで変装した犯人役の記者が被害者役のスタッフを撮影し、浪花さんに解析してもらいました。
目の表面に人物が写っている箇所を特定し、明るさを調節するなどして際立たせます。しばらくすると撮影者の様子がわかるようになってきました。
「マスクしてますよね?これ黒縁のメガネとかですか?」(浪花係長)
「正解です、メガネしてます」(記者)
目にはっきりと写っていればいるほど人物や場所の特定はしやすく、大きな手掛かりになるといいます。犯罪の証拠にいかされる目、そもそもなぜ目の表面に画像が写るのでしょうか?角膜画像解析の専門家は…
「周りの光は目の中に入っていき人が見ているが、その光が表面で反射してカメラで撮られるという形です」(京都大学院情報学研究科 中澤篤志准教授)
部下の活躍に目を細めるリーゼント刑事も新たな捜査手法に可能性を感じています。
「これから犯罪をしようと思っている人に思いとどらませる未然防止につながれば最高」(徳島県鑑識課 秋山博康次長)
犯罪者は見られている、そう!目は口ほどにものを言うのです。