米国防長官、安保条約5条の「尖閣適用」を明言

「米国は日本国民と肩を並べ歩みを共にする」

マティス米国防長官(左)との会談に臨む安倍首相(3日午後5時39分、首相官邸で)=青山謙太郎撮影

安倍首相は3日、来日したマティス米国防長官と首相官邸で会談した。

マティス氏は、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条が沖縄県の尖閣諸島に適用されると明言した。両氏は、北朝鮮の核・ミサイル問題を含む東アジア情勢の安定に向けた連携や、米国の「核の傘」による拡大抑止の維持を再確認した。10日にワシントンで行われる首相とトランプ米大統領との首脳会談を前に、強固な同盟関係を改めて国際社会に示した形だ。

トランプ政権の閣僚の来日はマティス氏が初めて。会談は、マティス氏が首相を表敬訪問する形式で約50分間、行われた。

会談の冒頭、首相は「(マティス氏が)最初の訪問先に東アジアを選んだのは日本重視の表れだ」と歓迎し、マティス氏は「米国は日本国民と肩を並べて歩みを共にする」と応じた。

両氏は、中国が強引な海洋進出を進める東シナ海や南シナ海について懸念を共有した。その上で、マティス氏は「尖閣諸島は日本の施政下にある領域であり、日米安保条約5条の適用範囲だ。日本の施政を損なういかなる一方的な行動にも反対する」と表明した。

これに対し、首相は「日本は防衛力を強化し、自らが果たしうる役割の拡大を図っていく」と伝え、日米同盟の一層強化していく考えを示した。

また、東アジア情勢について、マティス氏は同盟国への拡大抑止を含めた米国の関与を約束した。

北朝鮮の核・ミサイル開発に関しては、両氏は「断じて容認できない」との認識で一致した。首相は拉致問題解決に向けた政府の取り組みを提起し、マティス氏は理解を示した。

沖縄県米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設については、両氏が「唯一の解決策」との認識を再確認した。首相は移設を着実に進める政府方針を強調し、マティス氏は評価した。

一方、トランプ氏が主張する在日米軍駐留経費の日本側の負担増は、議題に上らなかった。会談では日米同盟の重要性の確認を優先し、両国の立場が異なるテーマを避けたとみられる。日本政府は首脳会談に向け、引き続き米政府と調整を進める方針だ。

マティス氏は3日、岸田外相や菅官房長官とも会談した。4日には稲田防衛相と会談し、共同記者会見を行う。

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