ソウル市内の新韓銀行本店ディーリングルームでは2日、歓声とため息が聞こえた。取引時間内にウォン・ドル相場が1ドル=1145ウォンから1154ウォンの範囲で乱高下したからだ。ウォン高を予想したディーラー、その逆を予想したディーラーで悲喜が分かれた。終値は前日比11.3ウォンのウォン高ドル安となる1146.80ウォンだった。
トランプ米大統領の発言で為替相場が変動し、韓国経済に波紋を広げている。ウォン・ドル相場はトランプ氏が大統領に当選した直後の昨年11月9日に1149ウォンのウォン高水準を付けた後、昨年末には1210ウォンまでウォン安が進んだ。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを予告し、トランプ氏も1兆ドル規模のインフラ投資を約束したことでドル高が加速したためだ。ウォン安を受け、昨年11月以降、韓国の輸出が増加に転じ、半導体、ディスプレー、石油精製など主力産業の企業業績も上向いた。韓国企業の中には1250ウォンを超えるウォン安水準を予想する企業が多かった。米投資銀行モルガン・スタンレーは今年のウォン・ドル相場を1300ウォンと予想した。
しかし、1月中旬にトランプ氏が「ドル高が米国企業を殺している」と述べ、全世界に事実上の「為替戦争」の宣戦布告を行うと、ウォン高が加速し始めた。このため、韓国企業は今年の経営計画を見直している。
子女の留学費用などを両替しなければならない一般市民も戸惑っている。カナダに子女を留学させているKさん(45)は「ウォン安が進むというので多額の両替をしたが、結果的に損をした」と話した。