野口陽
2017年2月4日01時33分
絶滅の恐れのある太平洋クロマグロ(本マグロ)を保護するための漁獲規制違反が相次ぎ、全国調査をしていた水産庁は3日、結果を発表した。静岡など8県で違反操業や漁獲量を把握していない事例が見つかった。
同庁によると、静岡県では5漁船が承認を受けないまま操業し約1・5トンを水揚げしていた。本マグロは地元の漁業協同組合が漁獲量を都道府県に報告することが求められている。しかし、岩手、宮城、千葉、新潟、静岡、和歌山、熊本、鹿児島の8県で水揚げされた約10・9トンは、報告がなかったり、漁獲量の集計が不明確だったりと、漁獲の実態を把握していなかった。
長崎県と三重県で昨年、承認を受けていない漁船が繰り返し水揚げを行ったり、操業自粛期間中にもかかわらず水揚げをしたりする悪質な事例が発覚。今回の調査はマグロ漁を行う全39都道府県の2015~16年の水揚げを対象とした。
水産庁は、規制の周知不足や、漁業者が規制を守る意識が低いことなどが背景にあると見る。
太平洋クロマグロは14年に、国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定された。中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)も小型の太平洋クロマグロの漁獲量を半減することを決定。日本では操業を「承認制」とし、15年からは日本の沿岸ごとの漁獲上限が設けられた。
サンマやマアジなどの7魚種は現在、罰則付きの漁獲制限が行われている。水産庁は、太平洋クロマグロをこの対象に加える検討を始めている。日本はマグロの消費量が多く、資源管理の甘さは国際社会から批判を招く恐れもある。(野口陽)
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