よぞらとほしとくま
1~5
いつもより星がキラキラと
輝いている夜。
おなかをすかせたくまさんは
釣りをしていましたが、
すっかり日がくれてしまいました。
さびしそうにパチパチと
音をひびかせるたき火。
かすかな風の音と、
草むらがざわざわとゆれる音が、
この夜をよりいっそう
静かにさせました。
くまさんはだんだん
心細くなってきました。
「どうしよう、もう帰ろうかな。
でも今日はなにもつれてないなぁ。」
くまさんがもうおうちに帰ろうかと
迷っていると、
とてもきれいな色をした一匹の鳥が、
どこからかやってきました。
鳥は、なぜかくまさんのそばを
はなれようとしません。
「どうしてぼくのそばにいるのかな?」
くまさんはせっかくだから、
鳥にお話を聞いてもらいながら、
なにかが釣れるのを
待つことにしました。
「あのね、ぼくの話を
聞いてくれないかい?
ぼくは自分があんまり
好きじゃないんだ。
みんなみたいに足もはやくないし、
カッコよくもない。
ともだちも少ないし、
釣りだってへたくそなんだ。
それに今日もなにも釣れない。
ぼくってどうして
こんなにダメなのかなぁ?」
くまさんがいくら話をしても、鳥はただ
にっこりとしているだけでした。
しかし、くまさんはそのえがおを見て
ホッと安心しました。
そうしてしばらくお話ししていると、
とつぜん釣り糸がピンとはって
重くなりました。
水面はふしぎに光りだしました。
キラキラと輝く藍色の水面が、
くまさんにはまるで
宇宙のように見えました。
のぞきこんで見ると、
なにかがゆらめいています。
「あの光はいったいなんだろう!?」
重くしなった釣りざおを引っ張ると、
あらわれたのはなんと
まばゆいばかりに輝く星でした。
そばにあるたき火のあかりが
いらないくらい、
明るく光っていました。
釣りあげた時の水しぶきが
きらきらしています。
「ねぇ!星だ!星が釣れたよ!!」
くまさんはとてもおどろきました。
そんなこと、一度だってないし、
聞いたこともありません。
くまさんはつりあげたその星を、
まん丸のひとみにうつしました。
あまりに美しかったので、
しばらく目をはなせませんでした。
そしてあまりにふしぎな
できごとだったので、
くまさんのしんぞうはどきどき、
大きな音をたてました。
心がとてもわくわくしました。
その星をながめて
くまさんは考えました。
「どうしてここで星が釣れたんだろう。
きっと、空に住んでいるだれかが
落としたにちがいない。」
くまさんはその星を、
どうにかして持ちぬしに
返してあげたいと思いました。
つづく
また見てね(*^^*)
お知らせ
★今回使用したイラストの制作過程は、日を改めて順次公開する予定です。
★絵本を制作した経緯は、こちらの記事でお話ししています(^^)
ご覧くださり、ありがとうございました(*^^*)