私の会社では、節分に豆を交換し合うという謎儀式がある。
昔は会社の金でパーッと気前よく豆を撒いていたそうなのだが、景気の悪化で廃止。
無くなるのは寂しいと上司が自腹で豆を配るようになり、気がつけば各自が豆を持ち寄り交換するイベントになった…とのこと。
つまり500円程度の豆の大袋を職場に持っていき、同僚の机の上に置いておくと別の豆が戻ってくるよ、と言う謎の豆物々交換。
これが結構楽しい。
続けるうちにみんな豆に凝り始めてきて、どこで売ってんだこれ?みたいな不思議商品を仕入れてくる。
そのうち柿ピーの小袋なんかでは飽き足らなくなってきて、ピスタチオだの、カシューナッツだの多種多様な豆をビニール袋に「まぁどうぞどうぞ」とざらざら注ぎ込む。
出来上がるのは様々な種類の豆が詰まった謎袋だ。
4時過ぎになるとみんな豆交換に勤しみだす。
就業時間間際には、ポリポリポリポリ、職場に豆を食べる音だけが響く。
ここはハムスター小屋か。
たまにベビーサラミや、酢昆布なんかも混じっていて、節分とは何だっけ?と改めて疑問に思うけれど楽しいからいいだろう。
ビールが欲しくなるけれど、仕事中仕事中と己を戒める。
先程から殻付きピーナッツがやめられない止まらない。
とにかく不思議な春の豆祭りである。
『コーヒーピー』が好きなんだ、とこだわりのコーヒーP大袋を振る舞う人がいた。
我が家は豆の板垣木の実入りアソート大袋を買うと必ずコーヒーPが余ってしまう。
コーヒーPはいらない子説を唱えていたので、これをセレクトするのか!と少し驚いた。
しかしお勧めのコーヒーPは確かにほろにがで美味しかった。
コーヒーP氏宅では板垣の大袋からコーヒーPが真っ先に無くなるのだそう。
単独で食べるのもいいが、柿ピーと交互に食べるのもまた良し、と教わったので今度は柿ピーと混ぜるメソッドでチャレンジしてみたい。
コーヒーP家では梅味の柿の種がいつも不人気との事。
他の人にも聞いてみると、みんなそれぞれ人気、不人気の袋があり、底に残るのはいつも同じ味だと言う。
コーヒーP派と梅派が一緒に暮らせば、板垣の大袋が綺麗に無くなるのにね、と同僚が言った。
ポリポリポリポリ、豆を無心に食べる職場の仲間を見ていたら、いろんな年代、いろんな趣味嗜好の人間がいるからこそ、豆の大袋のように仕事が片付くのかなぁ、なんて思った。
とはいえ味や形は異なっても、豆は豆。
塩辛やチョコレートは仲間外れになってしまうのかも知れない。
それでも色んな味が混ざった不思議な豆詰め合わせ袋を眺めていたら、この中ならグミだってハムだって、アリなんじゃない?と思えてくるから不思議。
ワクワク春の豆祭りは、多種多様が愛おしく思えてくる、不思議なイベントでございました…とさ。
今日は金曜日。ビールと豆を、のんびり頂きます♪