当社の仕込み水は、当社蔵内の水場に今も地底から渾々と湧き出ています。
江戸時代の参勤交代の頃(寛永十二年頃)から、涸れたことのないこの泉を当時は「万年の泉」と呼んでいました。この泉が今も涸れることなく湧き続けていることによって、当社は酒造りが続けられています。
その湧き水は、波介山からその麓・出間へ流れ、水質は、清流仁淀川水系の軟水。ほのかな甘味があり、優しいのどごしと味わいが特徴です。
これからも、私たちはこの泉を守り続けていきます。
級別廃止や地酒ブームによって、県独自の酒造好適米への要望が強まり、昭和六十三年高知県酒米研究会が発足しました。そして酒造適正米「土佐錦」(※1)、酒造好適米「吟の夢」(※2)、「風鳴子」(※3)が誕生しました。 当社では、酒造好適米の最高峰「兵庫県産山田錦」をはじめ、高知県産酒米を使用し、美味しい日本酒造りを追求し続けています。
(※1 ) 主食用米として検討されながら、試験が中止になっていた「中国81号」は酒造適性試験を重ね、平成6年「土佐錦」として生まれ変りました。その特性は、大粒で吸水性が良く、粗タンパク質含有量が低いため、酒造適正米に優れています。また、雑味がなく、酸やアミノ酸が少ない淡麗辛口の土佐酒に仕上がります。
(※2) 「吟の夢」は、高知県産第一号の酒造好適米です。酒米の雄「山田錦」をもとに、その特性を受け継ぎ、土佐の気候風土にあった酒米が平成10年に誕生しました。適度の酸味とフルーティな香り、軽やかな旨み、キレの良さが特長です。
(※3) 「風鳴子」は高知県産酒造適正米第二号として平成14年に誕生しました。南国・高知県ならではの早期栽培に適しています。個性的な酒造りに期待されています。
高知県産酵母は平成に入り盛んに研究されています。当社では主に高知県産酵母を使用し、新しい酵母での酒造りも積極的に取り組んでいます。
開発年 | 酵母名 | 特徴 |
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平成3年 | KW-77 | 酒酵母とワイン酵母をかけあわせた酵母。特徴ある香味と強い発酵力を兼ね備えています。 |
平成4年 | A-14 | 醪での発酵力やアルコール耐性が強い酵母。アミノ酸が少なく、酸は中程度、 味は軽く、甘い香りがあります。 |
平成5年 | CEL-19 | カプロン酸エチルが多く酢酸イソアミルが少ない。 デリシャスりんごの香りが強く、リンゴ酸が多く爽やかな酸味があります。 |
平成5年 | CEL-24 | 発酵力は弱く、カプロン酸エチルとリンゴ酸が酵母CEL-19の2倍あり、甘酸っぱく非常に香りが高い低アルコール酒ができます。 |
平成7年 | AC-17 | カプロン酸エチルは酵母CEL-19の半分、酢酸イソアミルが多く、発酵力が強い。酸味の効いたバランスいい香りが特徴です。 |
平成25年 | AC-95 | カプロン酸エチル、酢酸イソアミルがともに多く、香りが高い。 |