ブックキュレーター作家 夢枕獏
私(夢枕獏)の創作の原点になった本
今年で作家生活40年になる。「小説家」は小学校の高学年から、将来なりたい職業の一つだった。昔から冒険的要素が強い不思議な話が好きで、それらの読書体験がいまの僕の創作の原点になっている。さまざまに影響を受けた本の一部を紹介したい。
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この本が発表されたのは、僕がデビューする直前、24歳の時。それまで僕はSFを読み漁っていたのだが、どう見ても時代もの、伝奇ものという世界観を持つこの作品に圧倒された。江戸時代を舞台にしているけれど、SF作品なのだ。第3巻の最後の一文の“SF度”にしびれた。
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僕が小学生の頃、生まれて初めて自分のお金で買った本。当時僕が買ったのは分厚いハードカバーで『恐竜の足音』というタイトルだった。その後、シャーロック・ホームズと出会い、どちらもコナン・ドイルという同じ作者が書いたと知って驚いた。
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どの話というのではなく、シリーズ全部を推薦したい。多大な影響を受けた物語だ。話はたいてい、馬車でベーカー街に訪ねてきた人が、「ホームズ先生、助けてください」と依頼してくるところからはじまる。僕の『陰陽師』シリーズでは、主人公の安倍晴明と源博雅が話していると、助けを求める人が牛車でやってくる(笑)
「シャーロック・ホームズ シリーズ」は本書の他にもあります。
ブックキュレーター
作家 夢枕獏1951年、小田原生まれ。東海大学卒業。『上弦の月を喰べる獅子』で第10回日本SF大賞、『神々の山嶺』で第11回柴田錬三郎賞、『大江戸釣客伝』で第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞、第46回吉川英治文学賞を受賞。著書に「キマイラ」シリーズ、『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』『秘帖・源氏物語 翁‐OKINA』『魔獣狩り』『餓狼伝』『陰陽師』『獅子の門』『大帝の剣』など多数。近刊に『平成釣客伝 夢枕獏の釣り紀行』『ヤマンタカ 大菩薩峠血風録』がある。
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